他害の場面に居合わせたら?その場でやる3つと、個人で決めてはいけないこと【放デイ職員向け】
目の前で、手が出た。
相手の子が泣いている。ほかの子が集まってくる。
止めなきゃ、と思うのに、どう動けばいいのか分からない。
この記事では、その場でやることを3つに絞って、順番でまとめます。
先に結論
① その場は3つだけ。周りの子を離す → 自分の安全 → 人を呼ぶ。
② 体を押さえる形は、個人の判断でしません。身体拘束の線があります。
③ 1人で対応し続けない。密室で1対1になる形も避けます。
④ 落ち着いたあとは、原因探しよりその場で起きたことの記録。
⑤ 記録では、その子を悪者にした書き方をしません。

だいち先生、他の子に手が出た場面で、固まってしまいました。
止めに入ればよかったんでしょうか。

その場で迷うのは当たり前だよ。
だから順番を先に決めておく。
考える回数を減らすほうが、体は動く。
その場でやる3つ|順番が決まっている
① 周りの子を離す
- 手が出ている子を動かそうとするより、それ以外の子を動かすほうが早く済むことがあります。
- 「こっち」と短く言って、場所を指します。説明はあとです。
- 見ている子が増えると、場面が長引きやすくなります。
② 自分の安全を確保する
- 正面に立たない 斜め前か横に立ちます。正面は手も足も届きます。
- 距離をとる 腕1本ぶんより、もう少し外側に立ちます。
- 身につけているものを確認する メガネ、ネックストラップ、髪。つかまれると危ないものは外します。
③ 人を呼ぶ
- 大声で名前を呼ぶより、合図を決めておく 「ヘルプ」の一言、笛、インカム。事業所の決まりに合わせます。
- 誰が来るかまで決めておく 「気づいた人が来る」だと、誰も来ないことがあります。
- 来た人と役割を分ける 1人は本人、1人は周りの子、1人は記録。

止めるのが1番だと思っていました。

止めることと、被害を小さくすることは別なんだ。
周りの子が離れていれば、それだけで被害は小さくなる。
押さえるかどうかは、個人で決めない
とっさに体を止める場面はあります。
ただ、その線引きは制度で決まっています。
ガイドラインの記述
「職員が自分の体でこどもを押さえつけて行動を制限すること」等は身体拘束に当たり、運営基準により「こどもの生命又は身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、禁止されている」。
やむを得ず行う場合は切迫性・非代替性・一時性の3要件をすべて満たすことが必要とされ、「いかなる場合にどのような形で身体拘束を行うかについて、設置者・管理者は組織的に決定する必要がある」。
身体拘束を行った場合は記録が必要で、「必要な記録がされていない場合は、運営基準違反となる」。
つまり、どこまでやるかは事業所として決めておくものです。
その場の職員が1人で線を引くものではありません。
今日できること
- 職場の決まりを聞いておく 「手が出た場面ではどこまで止めていいですか」と、落ち着いているときに確認します。
- 指針があるか確認する 身体拘束の指針は、事業所に整備が求められているものです。
- 止めたら報告する 押さえたかどうかにかかわらず、その日のうちに報告します。
研修で聞いた話を自分の場面に落とす書き方は研修の感想の書き方にまとめています。
1人で、密室で対応しない
知恵袋に、こんな相談がありました。
無資格のアルバイトとして働いている人が、癇癪の対応をいつも1人で任され、鍵のかかる出入口で1対1で向き合っている。
蹴られ、殴られ、心が折れかけている、という内容です。
この形は、本人にとっても職員にとっても危険です。
ガイドラインでも、職員からの虐待は密室で起きやすいとしたうえで、こう書かれています。
ガイドラインの記述
設置者・管理者は「送迎の車内を含め、密室化した場所を極力作らないよう、常に周囲の目が届く範囲で支援を実施できるようにする必要がある」。
こうなっていたら、相談の対象です
- 特定の職員だけが、いつも同じ子の対応に入っている。
- 対応中、ほかの職員から見えない場所にいる。
- けがをしても報告する流れがない。
「自分が慣れているから」で引き受け続けると、線が引きにくくなります。
児発管や管理者に、体制の話として出してください。
言い出しにくいときの出し方はこの記事にあります。
落ち着いたあとにやること
順番
- けがの確認 相手の子、本人、職員。見た目に出ていなくても、痛みを聞きます。
- 周りの子のフォロー 見ていた子にも声をかけます。「こわかったね」で十分です。
- 本人のフォロー 落ち着いてから。責める時間にしません。
- 報告と記録 その日のうちに。時間がたつほど、細かいところが抜けます。
- 家族への連絡 事業所の判断で行います。自分で決めずに確認します。
ガイドラインには、家族への連絡についてこう書かれています。
ガイドラインの記述
「事故の種類を問わず、家族には、事故が発生した場合は必ず連絡を行い、こども本人や家族の気持ちを考え、誠意ある対応を行う必要がある」。
また、事故につながりそうな「ヒヤリ・ハット事例の情報を収集し、検証を行う機会を設ける」ことが必要とされています。
ヒヤリハットの書き方はこの記事にまとめています。
職員がけがをしたときの扱いは労災の考え方にあります。
記録では、悪者にしない
「〇〇くんが叩いた」だけで終わると、次に使えません。
ガイドラインには、行動の見方についてこう書かれています。
ガイドラインの記述
「現在の行動上の課題やその行動の意味等にも着目する機能的アセスメントを行い、それを踏まえて、こどもが安心して過ごせるための環境調整」を行うこと。
「行動上の課題を誘発させないよう、予防的な観点をもって支援を行っていく」ことが必要とされています。
書き方の例
- 「15時10分、工作の場面。机が隣だった〇〇と道具の取り合いになり、手が出た。職員2名で対応」
- 「直前に、道具が1セットしかない状態だった。次回は人数分用意する」
- 「本人は5分ほどで落ち着き、そのあと自分から片づけを手伝った」
場面・直前の状況・そのあと。この3つがあると、次の環境調整に使えます。
記録の言い回しは支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. 止められずに見ているだけになってしまいました。
A. 周りの子を離せていれば、それは動けています。全部を止めることが役割ではありません。
Q. 相手の保護者から直接聞かれたら、どう答えますか。
A. その場で答えず、管理者や児発管につなぎます。他の子の情報を伝える線は決まっています。
Q. 自分がけがをしましたが、言い出しにくいです。
A. 小さなけがでも報告します。あとから痛みが出たときに、報告がないと扱いが難しくなります。
Q. 同じ子で何度も起きます。
A. 回数だけでなく、直前に何があったかを毎回残します。共通点が見えると、環境を変える手がかりになります。
Q. こわいと感じる自分は向いていないのでしょうか。
A. こわいのは、危険を正しく感じ取っているからです。感じないほうが危ない場面もあります。
まとめ
この記事のポイント
- ① その場は周りの子を離す → 自分の安全 → 人を呼ぶの3つ。
- ② 押さえる形は個人の判断でしません。3要件と組織的な決定があります。
- ③ 1人で・密室で対応し続ける形は、体制の相談ごとです。
- ④ 落ち着いたあとは、けが・周りの子・本人・報告・家族の順。
- ⑤ 記録は場面・直前の状況・そのあと。行動の意味に目を向けます。

止められなかった、と思った日ほど、ちゃんと見ていたということだ。
順番を1つ覚えておけば、次は体が動く。
今日のあなたに、はなまる。
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