「えこひいき」と子どもに言われたら?配慮と不公平の違いの伝え方と、「ずるい」と言った子の気持ちの拾い方【放デイ職員向け】
「なんで〇〇くんだけ、途中で休んでいいの」。
「先生、えこひいきしてる」。
配慮として決めていることなのに、うまく説明できない。
かといって、同じにしたら、その子が困る。
この記事では、配慮と不公平の違いをどう伝えるかと、言った子の気持ちの拾い方をまとめます。
先に結論
① 目指すのは「同じにする」ではなく「必要なものが違う」を伝えること。
② 説明は短く、子どもの言葉で。その場で長く話しません。
③ 配慮を受けている子の事情は話しません。ほかの子の情報になります。
④ 「ずるい」と言った子の中身を拾います。自分も困っていることがあります。
⑤ 自分の関わりに本当の偏りがないかも、あわせて見直します。

だいち先生、「えこひいき」と言われて、言葉に詰まりました。
説明したほうがいいのか、流したほうがいいのか分かりません。

流さなくていい。でも、長く説明もしない。
「ずるい」と言った子の話にしてあげるのがいいんだ。
配慮しないことのほうが、差別に含まれる
国の放課後等デイサービスガイドラインには、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「障害者権利条約では、障害を理由とするあらゆる差別(『合理的配慮』の不提供を含む。)の禁止等が定められている」
「障害のあるこどもの支援に当たっては、こども一人一人の障害の状態及び発達の過程・特性等に応じ、合理的な配慮の提供が求められる」
つまり、全員を同じにすることが公平、ではありません。
必要な配慮をしないことのほうが、差別として扱われます。
職員が迷わないための土台として、まずここを持っておきます。
その場での返し方
子どもに条約の話をしても伝わりません。
短く、その子に分かる言葉にします。
返し方の例
- 「〇〇くんには、休むのが必要なんだ。あなたにも必要なときは、言ってね」
- 「みんな同じじゃなくて、みんなそれぞれ必要なものが違うんだよ」
- 「メガネをかけている人は、ずるくないよね。見るのに必要だからだよ」
言い終わったら、そこで終えます。
納得してもらおうとして重ねるほど、話が大きくなります。

メガネのたとえ、分かりやすいですね。

うん。ただ、その子の事情に触れないたとえにするのがポイントだ。
「〇〇くんは〜が苦手だから」は言わない。
それは、その子の情報を話してしまうことになるから。
配慮を受けている子の事情は話さない
「なんで?」と聞かれると、理由を説明したくなります。
ただ、理由を話すことは、その子の特性や家庭の事情を、ほかの子に伝えることになります。
話さないこと
- 診断名や特性の名前。
- 「〜が苦手だから」「家で〜だから」という理由。
- 配慮を受けている子の前での説明。本人がいる場で、本人の話をしません。
保護者から他の子のことを聞かれたときの線はこの記事にまとめています。
「ずるい」と言った子の中身を拾う
「ずるい」は、相手を責める言葉に聞こえます。
でも中身は、自分も困っていることが少なくありません。
「ずるい」の中にあるもの
- 自分も休みたい 疲れている、つらい、でも言えない。
- 自分も見てほしい 職員がその子のそばにいる時間が長く見えている。
- ルールが分からない 決まりが人によって違うように見えて、不安になっている。
拾い方
- 「あなたも休みたいときある?」と、その子の話に切り替えます。
- 「言ってくれたら、あなたの分も考えるよ」と、選べる道を渡します。
- 言いに来てくれたこと自体を、あとで一言返します。
全員の選択肢にしてしまう
配慮の中には、全員に広げられるものがあります。
広げられる例
- 休憩の場所 「疲れたら、どの子も使っていい場所」にすると、特別扱いに見えにくくなります。
- タイマーや見通しの表 全員に見える場所に置きます。
- ゲームの運の要素 勝ち負けの条件を全員同じにして、全員に効く形にします。
特定の子だけのルールに見えるものは、全員に開けないかを先に考えます。
勝ち負けの出方を全員同じ条件で変える方法は負けると怒る子に、
ルールを減らす考え方はルールが伝わらないに書いています。
自分の関わりも、見直しておく
「えこひいき」が、配慮ではなく本当の偏りを指していることもあります。
ガイドラインの記述(職員に求められる倫理)
「こどもの人権尊重と権利擁護、こどもの性差・個人差への配慮に関すること」
「性別、国籍、信条又は社会的な身分による差別的な取扱の禁止に関すること」
振り返るところ
- 声をかける回数が、特定の子に偏っていないか。
- 話しやすい子、なついてくる子とばかり話していないか。
- 注意する回数が、特定の子にだけ多くなっていないか。
迷ったら、ほかの職員に「自分の関わり、偏って見えますか」と聞いてみます。
特定の子との距離が近くなりすぎていないかは職員と子どもの距離感で扱っています。
よくある質問
Q. 保護者から「うちの子だけ厳しい」と言われました。
A. その場で言い返さず、事業所として受け止めます。いつ・どの場面の話かを聞いて、児発管に上げます。
Q. ほかの職員が「配慮しすぎ」と言います。
A. 配慮の内容はその子の個別支援計画にもとづくものです。職員によって扱いが違うなら、児発管に確認して線をそろえます。
職員ごとに言うことが違うときはこの記事にあります。
Q. 配慮を受けている本人が「なんで自分だけ」と気にしています。
A. 本人が選べる形にできないか考えます。「使ってもいいし、使わなくてもいい」とすると、特別扱いの感覚が薄れることがあります。
Q. 何度説明しても「ずるい」と言い続けます。
A. 説明ではなく、その子の困りごとの話かもしれません。言う場面と、その直前に何があったかを記録して、児発管に相談します。
まとめ
この記事のポイント
- ① 目指すのは「必要なものが違う」を伝えること。
- ② 返し方は短く。その子の事情には触れないたとえで。
- ③ 配慮を受けている子の理由は話さない。
- ④ 「ずるい」と言った子の困りごとを拾う。
- ⑤ 全員に開ける配慮は開く。自分の本当の偏りも見直す。

「えこひいき」と言われて詰まったのは、どの子にも公平でいたいと思っているからだ。
同じにすることが公平じゃない。
一人ひとりに必要なものを渡すことが、この仕事の公平なんだ。
今日のあなたに、はなまる。
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