放デイで子ども同士のけんかにいつ入る?入る・入らないの判断軸3つと、終わったあとの3手【現場目線】
部屋の向こうで、声が大きくなった。
おもちゃの取り合いから始まって、だんだん言い方がきつくなっていく。
入るべきか、もう少し見ているべきか。
迷っているうちに、片方が手を出す。
入れば「大人がすぐ止める」になり、待てば「見ていたのに止めなかった」になる。
この記事では、入る・入らないをどこで決めるかを書きます。
先に結論
① 入るかどうかは3つで決めます。安全・言葉・時間。
② 止めることが目的ではありません。国のガイドラインにも、葛藤を調整する力や折り合いをつける力が育つよう支援すると書かれています。
③ 入るときは、引き離すより間に入る。
④ どちらが悪いかを決めません。謝ることを求める場にしません。
⑤ 終わったあとに3手。別々に聞く・記録に残す・職員間で共有する。

だいち先生、けんかが始まったとき、いつ入ればいいのか分からなくて…。
止めていいのか、見ていたほうがいいのか、毎回迷います。

迷うのは基準を持っていないからだよ。
その場の空気で決めようとすると、毎回ぶれる。
3つだけ決めておこう。
入る・入らないの判断軸3つ
見るのは、けんかの中身ではありません。
次の3つです。
判断軸
- ① 安全 手や足が出た、物が飛んだ、出そうな距離になった。→ すぐ入ります。
- ② 言葉 人格や存在に向かう言葉が出た(「死ね」「消えろ」「お前なんか」)。→ 入ります。
- ③ 時間 同じやり取りが続いて、出口がなくなっている。→ 入ります。
3つとも当てはまらないなら、近くで見ているで構いません。
近づくことと、止めることは別です。
迷ったときは、近づいてください。
近づくだけで収まる場面があります。
そして、近づいていれば、手が出たときにすぐ入れます。
言葉の激しさについては、言われた側だけでなく、周りで聞いている子にも影響します。
職員が言われた場合の受け止め方は暴言を言われたときの記事に書いています。
止めることが目的ではありません
入るのは、安全を確保するためです。
けんかそのものをなくすためではありません。
国の放課後等デイサービスガイドラインには、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「仲間と関わることにより、葛藤を調整する力や主張する力、折り合いをつける力が育つよう支援すること」
「こどもの相互の関係作りや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること」
大人がすべて引き取ってしまうと、こども同士でやり取りする場面は少なくなりがちです。
だから、危なくない範囲は残します。
ただし、どこまでを残すかは、その子の計画と事業所の方針が先です。

止めないのは、放っておくことになりませんか。

近くにいるのと、放っておくのは違うよ。
そばで見ていて、危なくなったら入る。
それは見守りであって、放置じゃない。
入るときの動き方
入り方を決めておくと、体が動きます。
入り方の4つ
- ① 間に入る どちらかを引っぱるのではなく、2人の間に体を入れて距離を作ります。
- ② 短く言う 「いったん止めます」「離れます」。説明はあとにします。
- ③ 名前を呼ぶ どちらの名前も呼びます。片方だけを呼ぶと、その子が原因だという合図になります。
- ④ 場所を分ける 同じ部屋の別の場所で構いません。人の目から少し離します。
体を押さえる形は、身体拘束(体の動きを止めること)に当たる可能性があります。
個人の判断で行わず、事業所の方針を確認してください。
手が出る場面が続いているときの見方は叩かれたときの記事にまとめています。
どちらが悪いかを決めません
その場で犯人を決めると、次から言い分を話しにくくなることがあります。
聞くのは、順番と事実です。
落ち着いたあとの聞き方
- 別々に聞く 目の前で言い分を突き合わせません。
- 順番に沿って聞く 「何があった?」「そのあとは?」。理由から聞くと、言い訳を求める形になります。
- 気持ちに名前をつけてみる 「取られて嫌だったんだね」。合っていなければ、訂正してもらえば十分です。
- 謝ることを求めない その場で謝罪を引き出しても、次に残るのは「謝れば終わる」のほうです。
どうしても伝えたいときは、行動だけを短く。「押すのはなし。次は言葉で言おう」で足ります。

つい「先に手を出したのは誰?」と聞いてしまっていました。

それを聞くと、子どもは責任の話に切り替わる。
知りたいのは順番であって、犯人じゃないんだよね。
順番は、あとで記録に書くために聞く。
終わったあとの3手
その日のうちに
- ① 別々に話を聞く 落ち着いてから。長くしません。
- ② 記録に残す 時間、場面、何があったか、職員が何をしたか。けがの有無も。
- ③ 職員間で共有する 同じ場面が繰り返されていないかを見るためです。
けがにつながりそうだった場面は、ヒヤリハットとしても残します。
ガイドラインの記述
「ヒヤリハットを事業所内で共有し、再発防止に向けた方策について検討をしているか」(自己評価の項目より)
書き方はヒヤリハットの書き方にまとめています。
記録の言い方は支援記録の例文100選にも例があります。
記録の書き方の例
「15:40、ブロックの取り合いから押し合いになった。職員が間に入り、別の机に分かれて活動を続けた。けがはなし。」
「言い合いが5分ほど続いたため、職員が声をかけて別室で個別に話を聞いた。双方とも活動には戻れた。」
「同じ2人で、今週3回目。いずれも自由時間の終わりごろ。」
3つ目のように、繰り返しの有無を書いておくと、条件の見直しにつながります。
保護者にどう伝えるか
けがや、相手のいるトラブルは、伝え方を事業所で決めます。
伝えるときの線
- 相手の子の名前は出しません 「お友だちと」で足ります。
- 自分の子の様子は伝えます 何があって、職員が何をして、そのあとどうだったか。
- けががあれば、その日のうちに 小さく見えても、あとから腫れることがあります。
- 伝えるかどうか迷ったら上げます 判断するのは事業所です。
他の子について聞かれたときの断り方はこの記事にまとめています。
入れなかった日があっても
人手が足りない日があります。
別の子についていて、動けない日もあります。
知恵袋には、こういう声も残っています。
同じ場面の声(要旨)
- 学童でアルバイトをしている。配慮が必要な子についていると、ほかの子のけんかの仲裁までは手が回らない。どこまで注意していいのかも分からず、自分のできなさで気持ちが落ちる。
- 職員1人でリーダー・進行・記録まで回していた日に、子ども同士の押し合いが起きた。
どちらも人の配置の話です。入れなかった場面こそ、記録に残して共有してください。
「見ていたが入れなかった」も、書いていい事実です。
その1行が、配置を見直す材料になります。
よくある質問
Q. 毎回同じ子が手を出します。
A. その子の性質としてまとめる前に、時間帯や直前の場面をそろえて見てください。条件が同じなら、活動の側を変えられることがあります。
Q. 止めたら、こちらに矛先が向きました。
A. よくある流れです。その場は距離を取り、ほかの職員に代わってもらって構いません。あとで管理者に共有してください。
Q. 高学年と低学年のけんかは、どう入りますか。
A. 体格差があるときは、安全を優先して早めに入ります。あとで話を聞くときは、どちらの言い分も同じ長さで聞いてください。
Q. 見ている周りの子への声かけは必要ですか。
A. 短くて構いません。「大丈夫、先生が入るね」と伝えると、その場の緊張が下がることがあります。
Q. 職員によって、止めるタイミングが違います。
A. 判断軸を職員間でそろえる話です。会議や打合せで、どこで入るかを一度決めておくと迷いが減ります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 入るかどうかは安全・言葉・時間の3つで決めます。
- ② 迷ったら近づく。近づくことと止めることは別です。
- ③ 止めるのが目的ではありません。ガイドラインでも葛藤を調整する力が育つよう支援するとされています。
- ④ 入るときは間に入る・短く言う・両方の名前を呼ぶ・場所を分ける。押さえる形は事業所の方針を確認します。
- ⑤ どちらが悪いかを決めません。別々に、順番で聞きます。
- ⑥ 終わったら記録と共有。入れなかった日も記録に残します。

入るかどうか迷ったのは、どちらの子のことも考えていたからだ。
迷ったら近づく。危なければ間に入る。
それだけ決まっていれば、その場は動ける。
今日のあなたに、はなまる。
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