放デイで子どもに叩かれるのは向いてないから?理由と対処法3つ【現場目線】
帰りの送迎が終わって、ひとりになった瞬間、涙が出そうになる。
今日も腕を叩かれた。
痛かったのは腕だけじゃなくて、「私、この仕事に向いてないのかも」って思ってしまったこと。
もしあなたが、そんな気持ちでこのページを開いたなら、この記事はあなたのために書きました。
先に、この記事の結論
叩かれるのは、あなたの関わり方のせいではありません。
「教えてくれる人がいない現場」は、国のルール上ふつうに生まれます。
この記事ではその仕組みと、明日から現場でできる小さな工夫、そして「それでもつらい時」の選択肢まで、順番にお話しします。
読み終わる頃には、少しだけ呼吸が楽になっているはずです。

だいち先生…今日、腕を叩かれちゃって。
私の関わり方が悪いんですよね。声かけの正解も、まだ全然わからないし…。

まず、これだけ言わせて。
そこまで悩めている時点で、「向いてない」は絶対ない。
向いてない人は、叩かれた理由を考えないんだ。
痛かったね。でも、きみがいま考えるべきなのは「自分の何がダメだったか」じゃないんだよ。
放デイで「向いてない」と感じてしまう本当の理由
叩かれた直後の頭の中を、少しだけ整理させてください。
多くの新人の先生は、こんな三段跳びをしています。
「叩かれた」→「防げなかった」→「私に力がないからだ」。
一見筋が通っているようで、実は真ん中が抜けています。
「防ぎ方を、誰にも教わっていない」という事実です。
思い出してみてください。
入ったばかりの頃、子どもへの関わり方を、順序立てて教えてもらいましたか?多くの現場では「とりあえず入って、子どもと関わってみて」から始まります。
つまりあなたは、教習所に行かずに路上に出た状態で運転しているのと同じなんです。
それでハンドル操作を責められたら、たまったものではありません。
「教えてくれる人がいない」のは、仕組みの話
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。
実は国のルールでは、放デイの先生の配置は「半分以上が児童指導員か保育士ならOK」という決まりになっています。
つまり、残りの半分は資格がなくても働ける。
そして、新人に教えるための研修は、制度に組み込まれていません。
やるかどうかは事業所しだいです。

だから「教えてくれる先輩がいない現場」は、きみの職場が特別ひどいわけじゃなくて、制度の上でふつうに生まれるんだよ。
きみの勉強不足じゃない。
さらに言うと、教室で支援の計画を立てる責任者の先生(児発管と呼ばれます)は、多くの教室に1人しかいません。
その1人は書類と面談で手いっぱいになりがちで、新人のフォローまで手が回らない——これも、あちこちの現場で同じことが起きています。
あなたの職場「だけ」の問題ではないのです。

私のせいじゃ、なかったんだ…。じゃあ私、どうしたらいいんですか?
「自分を責める時間」を「観察する時間」に変える
明日からできる、いちばん効果のある切り替えがこれです。
叩かれた後に自分を責めるかわりに、「叩く前に、何があった?」を思い出してみる。
紙でもスマホでもいいので、3行だけメモします。
3行メモの書き方
- きっかけ(直前に何があった?)
- 行動(何をした?)
- そのあと(どうなった?)
たとえば——
①順番を代わってもらえなかった
②近くにいた私の腕を叩いた
③別の先生が来て場所を移動した
これだけです。
うまく書けなくてかまいません。
このメモが3つ4つたまると、見えてくるものがあります。
「音が大きい時間帯に多いな」「切り替えの場面ばかりだな」。
それが見えた瞬間、あなたの中で「怖い出来事」が「予測できる出来事」に変わり始めます。
そして予測できるものは、少しずつ避けられるようになります。

プロの先生たちがやっている「行動観察」って、難しく言われがちだけど、中身はこの3行メモなんだ。
きみはもう、①を思い出せてるでしょ。それ、観察の第一歩だよ。
明日からできる、叩かれない工夫3つ
① 立ち位置を半歩変える。
正面から近づかれるのが苦手な子は多いです。
横か斜めから、少し距離を取って声をかけるだけで、手が出る場面は減ります。
② 予告してから動く。
「あと5分でお片づけだよ」「次は手を洗うよ」。
切り替えの直前が、いちばん気持ちが荒れやすい時間です。
予告は魔法ではありませんが、確実に効く保険です。
③ 一人で抱えず、声に出して助けを呼ぶ。
「〇〇先生、代わってもらえますか」は、負けの言葉ではありません。
むしろ現場でいちばん信頼される言葉です。
交代は子どもにとってもクールダウンになります。
改善しない時は職場の体制をチェック【5項目・転職判断の目安】
工夫をしても状況が変わらない時、見るべきなのはあなたの努力量ではなく、職場の体制です。
チェックは5つ。
職場の体制チェック5項目
- 叩かれたことを報告できる空気があるか
- 報告した後、対応をチームで話し合っているか
- 一人で複数の子を任される時間が長すぎないか
- ヒヤリとした出来事が記録されているか
- 「大丈夫?」と聞いてくれる人が一人でもいるか
3つ以上「ない」が付いたら、それはあなたが変わる問題ではなく、環境を変えていい問題です。
もし「教えてもらえる場所で働きたい」と少しでも思ったら、辞めるためじゃなくていい。
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子どもが叩く原因はこの3場面【先回りのコツつき】
第1位は「切り替えの場面」。
遊びをやめて片づける時、帰りの支度をする時。
楽しい時間を中断される瞬間は、どの子にとっても気持ちの段差が大きい場面です。
予告と、片づけ自体を遊びにする工夫(「よーいどんで箱に入れよう」)が効きます。
第2位は「待ち時間」。
順番待ち、送迎待ち、おやつの前。
手持ちぶさたの時間は、不安やイライラが育ちやすい時間です。
待つ場所に「待ちながらできること」(絵本、手遊び、お手伝い役)を用意しておくと、様子が変わります。
第3位は「音や刺激が多い時間帯」。
全員がそろう夕方は、教室の音量が一気に上がります。
音に敏感な子は、それだけで限界が近づきます。
静かなスペースに誘う、耳を守るグッズを使うなど、刺激そのものを減らす工夫が先回りになります。
この3つを知っているだけで、「いつ叩かれるかわからない」という漠然とした怖さが、「この場面は気をつけよう」という具体的な備えに変わります。
怖さの正体は、たいてい「予測できないこと」なんです。
叩かれた時のNG対応3つ【逆効果になります】
① 大声で叱り返す。
その場は止まるかもしれませんが、子どもが学ぶのは「大きい声を出した人が勝つ」というルールです。
次はもっと大きな行動になって返ってきます。
② 力で押さえ込む。
安全確保のために体を支えることと、罰として押さえつけることは違います。
後者は信頼関係を壊すだけでなく、身体拘束として重大な問題になり得ます。
迷ったら「安全な距離を取って、人を呼ぶ」が正解です。
③ その場で長い説教をする。
気持ちが荒れている最中の子に、言葉はほとんど届きません。
まず場面を変えて、落ち着いてから短く伝える。
「ダメ」より「こうしよう」の形で伝える方が残ります。

あっ…私、昨日ちょっと大きい声出しちゃったかも。

気づけたね。それでいいんだよ。誰でも最初はやる。
大事なのは、次の場面で1回だけ違うやり方を試してみることだ。
全部を一度に変えようとしなくていい。
行動観察メモの書き方【3行の実例つき】
さっきの3行メモの実例を2つ置いておきます。
このくらい雑でいいんだ、という見本として。
例1
①ブロックを片づけの時間になった
②「積んだやつを壊された」と私の腕をたたく
③別室で5分クールダウン。その後おやつは普通に食べた
ここから見えるのは、作品を「壊される」ことが引き金だということ。
次からは「写真に撮ってから片づける」が試せます。
例2
①おやつの前、待ち時間が長かった
②隣の子を押して、止めた私の手をたたく
③席を離して落ち着いた
ここから見えるのは、空腹×待ち時間の組み合わせ。
待つ位置と順番の工夫が試せます。
メモは誰かに見せるためのものではありません。
でも、もし職場に共有できたら、それはチームの財産になります。
報告するときはこの一言で十分です。
「昨日の場面、直前にこういうことがありました。共有しておきます」。
心が折れそうなときのセルフケア
最後に、工夫でも仕組みでもない話を少しだけ。
叩かれた日は、理屈では処理しきれない気持ちが残ります。
それは消そうとしなくていいものです。
お風呂にゆっくり入る。
好きなものを食べる。
今日のことを誰かに話す(守秘義務があるので、固有名詞を出さずに「仕事でつらいことがあった」で十分です)。
そして、このページをブックマークしておいてください。
次に同じ夜が来た時、「あなたのせいじゃない」から読み直せるように。
「他の先生は叩かれていないのに」と比べてしまう時
先輩たちが叩かれていないように見えるのは、才能の差ではありません。
その子の「引き金」をすでに知っていて、先回りが体に入っているだけです。
つまりそれは経験の差で、経験の差は時間で埋まっていきます。
あなたが今日メモした3行は、その先輩たちが何年もかけて貯めてきたものの1ページ目です。
それから、これは案外知られていないことですが、先輩たちも新人の頃はみんな叩かれています。
話さないだけです。
もし信頼できそうな先輩がいたら、「先生も新人の頃、大変でしたか」と聞いてみてください。
ほぼ間違いなく、笑いながら当時の話をしてくれます。
その瞬間、あなたの「私だけ」は消えます。
この記事のまとめ
①叩かれるのは関わり方の才能の問題ではなく、教わっていないだけ。
そして教わる仕組みがないのは国のルール上ふつうに起こる。
②自分を責める時間を「①きっかけ②行動③そのあと」の3行メモに変える。
③切り替え・待ち時間・刺激の多い時間帯に山がある。
④大声・力・長い説教は逆効果。
⑤工夫しても変わらないなら、見るべきはあなたの努力ではなく職場の体制。
——ここまで読めたなら十分です。
ミニ相談室:こんな時はどうする?

叩かれた直後って、その子にどう接すればいいんですか?何もなかったふりも変な気がして…。

無理に普段どおりにしなくていいよ。
安全な距離を取って、落ち着いた頃に短くひとこと。「さっきはびっくりしたよ。痛かったよ」って、静かに事実だけ伝える。
責める言葉じゃなくて、気持ちの授業だと思って。それで十分伝わるんだ。

同じ子に何度も叩かれると、シフトのたびに気が重くなります。担当を外してもらうのって、わがままですか?

わがままじゃない。それは「調整の相談」って言うんだ。
ずっと外れたいんじゃなくて、いったん距離を置いて立て直したい、って伝えてごらん。
ちゃんとした職場なら、それを聞いて配置を考えるのが仕事なんだから。

家に帰っても思い出しちゃって、夜眠れない日があります。これって私が弱いんでしょうか。

弱いんじゃなくて、真剣なんだよ。
ただ、眠れない日が続くようなら、それは体からの大事なサインだ。
職場に相談する、休みを取る、場合によってはお医者さんに頼る。
がんばり続けることより、あなたが壊れないことの方が、ずっと大事だからね。
よくある質問
Q. 痣になってしまった。
病院に行ってもいい?
行ってください。
仕事中のケガなので、受診の費用は労災(労災保険。仕事中のケガの治療費などが出るしくみ)の対象になり得ます。
我慢は美徳ではありません。
Q. 保護者の方に伝わったら、気まずくならない?
伝えるかどうかを決めるのは、あなた個人ではなく事業所です。
あなたは職場に報告するところまでが役割。
そこから先を一人で背負わないでください。
Q. 正直、あの子が怖くなってしまいました。
怖いと感じるのは自然な反応で、失格ではありません。
怖いまま無理に近づくより、「今は距離を取りたい」と職場に伝えて調整してもらう方が、あなたにもその子にも誠実です。

今日のあなたに、はなまる
叩かれたあと、その子の気持ちを考えたよね。
それができる人が、この仕事に向いてない訳がない。
今日もおつかれさまでした。
その場面を記録に残すとき、事実と解釈が混ざっていないかは記録チェッカーで確認できます。
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