職員と子どもの距離感、どこで線を引く?抱っこ・膝・ハグに迷ったときの3つの基準【放デイ職員向け】
膝に乗ってくる。
後ろから抱きついてくる。
かわいいし、うれしい。でも、これでいいのかとも思う。
断ったら傷つけそうで、そのままになっている。
この記事では、気持ちではなく場面で線を引く考え方をまとめます。
先に結論
① 距離感は、好き嫌いや優しさではなく場面と形で決めます。
② 基準は3つ。人の目があるか/その子ができることを奪っていないか/ほかの職員でも同じにできるか。
③ 断るときは拒否ではなく、別の形に置きかえます。
④ 2人きり・死角になる場所は避けます。ガイドラインにも書かれています。
⑤ 特定の職員とだけの関係は、その人が休んだ日にしわ寄せがいきます。

だいち先生、抱っこをせがまれて断れません。
冷たくしたくないんですが、このままでいいんでしょうか。

冷たくするかどうかの話じゃないよ。
どこまでが仕事の形かを、先に決めておく話だ。
迷うのは、優しさと線引きが逆に見えるから
応じれば喜ぶ。断れば悲しむ。
その場だけを見ると、応じるほうが正しく見えます。
ただ、距離感はその場だけの話ではありません。
明日も、来月も、担当が替わったあとも続きます。
線を引く3つの基準
① 人の目があるか
- 同じことを、ほかの職員が見ている場所でもできるか。
- 見られたら困る、と少しでも思うなら、その形はやめておきます。
- 廊下の奥、教材室、車の中など、死角になる場所では特に。
② その子ができることを奪っていないか
- 手をつながないと歩けない子と、つながなくても歩ける子は分けます。
- 安全のために必要なのか、安心のためだけになっているのかを見ます。
- 一人でできていたことが、その職員がいるとできなくなるなら、見直す合図です。
③ ほかの職員でも同じにできるか
- 自分だけができる関わり方は、自分が休んだ日に困る形です。
- 「この人じゃないとだめ」は、その子の選択肢が減っている状態でもあります。
- 引き継げる形かどうかを、基準の1つにします。

③がいちばん耳が痛いです。

なつかれるのは悪いことじゃない。
ただ、関係を自分に集めない。
ほかの職員にも渡していくのが、この仕事の形なんだ。
場面ごとの目安
よくある場面
- 手をつなぐ 移動中の安全のためなら必要な場面があります。理由があるかどうかで判断します。
- ハグ・抱きつかれる 正面から受け止めず、横に並ぶ・肩をぽんと叩くなどに置きかえます。
- 膝に乗る 座る場所を用意します。「ここ、となり」と場所で示すと伝わりやすくなります。
- 抱っこ・おんぶ 体格差によっては職員のけがにつながります。腰を痛めてからでは遅いので、事業所の決まりを確認します。
- 髪や体をさわられる 嫌なら嫌と言っていい場面です。「それはやめてね」と短く伝えます。
どれも、その子の個別支援計画と事業所の方針が先にあります。
迷ったら、自分で決めずに児発管に確認してください。
断り方=置きかえる
「だめ」だけで終わると、拒否として伝わることがあります。
置きかえの形
- 形を変える 「抱っこはしないけど、となりに座るね」。
- タイミングを変える 「いまは片づけ。終わったら話そう」。
- 理由を短く言う 「先生の仕事だから、みんなと同じにするね」。
- 毎回同じにする 日によって変わると、試す場面が増えます。
長い説明より、短い言い方を毎回そろえるほうが伝わりやすくなります。
高学年・思春期は、年齢ではなく場面で
「小学6年生だからもう抱っこはしない」と年齢で切ると、うまくいかないことがあります。
見るのは年齢ではなく、その場面で必要かどうかです。
この時期に足しておくこと
- 本人に確認する 「さわっていい?」と聞いてから手を添えます。
- 同性・異性で分けない 同性の職員なら平気、という線引きにはしません。
- 着替え・トイレは事業所の手順どおりに 自分の判断で変えません。
ほかの職員の距離感が気になるとき
知恵袋に、こんな相談がありました。
ある職員が特定の子のスキンシップをすべて受け入れていて、その職員がいる日だけ、一人でできることもできなくなっている。
伝えても変わらず、管理者は「好きな職員ができるのはいいこと」と考えていて、相談できる相手がいない、という内容です。
この見立ては、感覚の問題ではありません。
その職員がいない日と、いる日で様子が変わる。これは記録に残せる事実です。
出し方
- 人ではなく場面で出す 「〇〇さんの関わり方が」ではなく「あの子が一人で準備できる日とできない日がある」。
- 記録を材料にする 日付と場面を並べて、児発管に渡します。
- 個人で注意しにいかない 職員同士の指摘は、対立になって止まることがあります。
- それでも動かないときは、外に相談先がある 自治体の障害福祉の窓口が相談先になります。
言い出しにくいときの出し方はこの記事にまとめています。
制度の側では、どう書かれているか
ガイドラインの記述
職員からの虐待は「密室化した場所で起こりやすいことから、設置者・管理者は、送迎の車内を含め、密室化した場所を極力作らないよう、常に周囲の目が届く範囲で支援を実施できるようにする必要がある」
「実習生やボランティアの受入れや地域住民との交流を図ることなどを通じて、第三者の目が入る職場環境を整えることも重要である」
2人きりを避けるのは、疑われないためだけではありません。
その子を守るための形として、国の文書に書かれています。
関連する制度の動きは日本版DBSにまとめています。
記録に残すこと
書き方の例
- 「登所時にハグを求める場面があった。となりに座る形に変えたところ、そのまま活動に入った」
- 「〇〇が不在の日、荷物の準備を一人で行った。いる日は声をかけを待つ場面が多い」
- 「外出時、手をつながずに歩いた。横断歩道の前では自分で止まった」
人ではなく場面で書くと、そのまま次の話し合いの材料になります。
記録の言い回しは支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. 断ったら泣いてしまいました。
A. 泣いたから間違い、ではありません。置きかえの形を用意して、毎回同じにしていきます。そばにいることは変えなくて大丈夫です。
Q. 職員同士で線がばらばらです。
A. 一人で決められる話ではないので、児発管に「どこまでにしますか」と確認します。ばらつきそのものの扱い方はこの記事にあります。
Q. 保護者から「抱っこしてあげてください」と言われました。
A. その場で約束せず、事業所として答えます。家庭での関わりと、事業所での関わりは同じでなくて構いません。
Q. 自分が異性なので、必要以上に避けてしまいます。
A. 避けるのではなく、人の目がある場所で関わる形にします。距離をとりすぎると、その子と関われる職員が減ります。
Q. 抱っこで腰を痛めました。
A. けがとして報告します。我慢して続けると、支援そのものを続けられなくなることがあります。
扱いは労災の考え方にあります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 距離感は気持ちではなく場面と形で決めます。
- ② 基準は人の目・その子の自立・ほかの職員でもできるかの3つ。
- ③ 断るときは置きかえ。毎回同じ言い方にします。
- ④ 高学年は年齢で切らず、場面で必要かどうかで見ます。
- ⑤ ほかの職員の関わりが気になるときは、人ではなく場面を記録にして出します。

断れなかったのは、その子を大事に思っているからだ。
線を引くのは、突き放すことじゃない。
あなたが休んだ日も、その子が困らない形にしておくことだよ。
今日のあなたに、はなまる。
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