放デイで子どもに言うことを聞いてもらえない…「なめられている」と考える前に見る3つと、通る声かけの条件【現場目線】
「座ろうか」と言っても、動かない。
同じことを別の先生が言うと、すっと席につく。
自分のときだけ、通らない。
なめられているのかもしれない、と思えてくる。
この記事では、「なめられている」と考える前に見るところと、通る声かけの条件をまとめます。
先に結論
① 「なめられている」ではなく、まだ通っていないと考えます。関係の長さだけが理由とは限りません。
② 声の大きさを変える前に、短く・1つずつ・先に見通しの3つをそろえます。
③ 厳しくして通した指示は、その人がいる間だけになりやすい形です。
④ 「自分のときだけ」は、誰が・いつ・どの場面に分けて2週間見ます。
⑤ 力で止める、脅すような言い方で従わせるのは、別の問題になります。

だいち先生、私が言っても全然動いてくれないんです。
ほかの先生が言うと、すぐ席につくのに…。
なめられているんでしょうか。

知恵袋にも同じ相談があったよ。
「自分の言うことだけ聞いてくれない。ほかの先生が一言いうと動く」って。
でも、そこで叱り方を変えにいくと、たいていこじれるんだ。
「なめられている」と決める前に
知恵袋には、放デイでアルバイトをしている学生から、こんな声がありました。
「靴下を履いて」「座って」と言っても自分のときは動かないのに、ほかの先生が一言で動く。
同じ時期に入って、同じくらいの頻度で入っている人の言うことは素直に聞く、という内容でした。
職員の側からは「自分にだけ冷たい」と見えます。
ただ、通らない理由は関係の長さ以外にもあります。
通らない理由になりやすいもの
- 指示が長い 1回に2つ以上入っていると、最初の1つで止まることがあります。
- タイミング 遊びの途中、終わりが見えない場面では入りにくくなります。
- 距離と位置 遠くから、後ろから、上から。届き方が変わります。
- 役割が見えていない その時間に誰が担当なのかが子どもに分からないと、指示が誰のものか分かりません。
- その子にとって新しい人 試しているのではなく、まだ様子を見ている段階のこともあります。
通る声かけの3条件
変えるのは、声の大きさではありません。
そろえる3つ
- ① 短く 「座ろう」だけ。理由と説明はあとにします。
- ② 1つずつ 「片付けて、手を洗って、座って」は3つです。1つ終わってから次を言います。
- ③ 先に見通し 「あと5分で終わり」「これが終わったらおやつ」。何が起きるかが先に分かると、動きやすくなることがあります。
ガイドラインにも、発達障害のあるこどもには予定等の見通しをわかりやすくすることや、具体的又は視覚的な手段を用いながら活動や場面の理解を促すことが挙げられています。
そのうえで、言い方を少し変えます。
言いかえ
- ✕「走らないで」 → ○「歩こう」(してほしい行動で言う)
- ✕「早くして」 → ○「時計の長い針が6になったら出発」(基準を見せる)
- ✕「やめなさい」 → ○「こっちで一緒にやろう」(次の行き先を示す)
- ✕「何回言ったら分かるの」 → ○もう一度、同じ言葉で短く

やさしく言うだけだと、余計に聞いてもらえない気がして…。

やさしくする話じゃないよ。
短くする・1つにする・先に見せる。
これは「通しやすくする工夫」であって、甘くすることとは違うんだ。
厳しくして通す方法の落とし穴
大きな声を出せば、その場は動くことがあります。
ただ、それで通ったのは声の大きさです。
同じ場面で毎回その方法が必要になり、声の大きい人がいないと元に戻る形になりやすくなります。
国のガイドラインには、「叱る」という言葉は出てきません。
書かれているのは、こどもが他者との信頼関係の形成を経験できることや、安心できる環境づくりのほうです。
「自分のときだけ」を分解する
全部の場面で通らないのか、ある場面だけなのか。
2週間、次の3つをメモします。
メモする3つ
- 誰が 通る職員、通らない職員。性別、声の高さ、担当している活動。
- いつ 到着直後、活動中、帰りの前。疲れている時間かどうか。
- どの場面 遊びの中断、片付け、切り替え、順番待ち。
「私だけ通らない」が、実は「切り替えの場面だけ通らない」だったと分かることがあります。
書き方は支援記録の例文100選にあります。
メモがたまったら、打合せで出します。
自分の力量の話ではなく、場面の話として出すと、人の配置や役割の見直しにつながることがあります。
通る先輩は、何をしているのか
同じ言葉でも通る人がいるのは、言う前にやっていることが違うからかもしれません。
見てみるところ
- 名前を呼んでから言っているか
- 近くまで行ってから言っているか
- 先に予告しているか 「次、片付けだよ」を早い段階で入れているか。
- その子の担当としてふるまっているか 誰がその時間を見ているかを、はっきりさせているか。
先輩に聞くときは、「どうすれば言うことを聞いてもらえますか」より、場面を出して聞くほうが答えが返ってきやすくなります。
聞き方の型はこの記事にまとめています。
よくある質問
Q. からかわれたり、あだ名で呼ばれたりします。
A. その場で強く止めると、反応が面白くて続くことがあります。困る呼び方は「その呼び方はやめてね」と1回だけ短く伝え、あとは反応を小さくします。言葉が刺さったときの立て直し方はこの記事にあります。
Q. 自分だけ避けられている気がします。
A. 話しかけてこない理由は、嫌われているとは限りません。この記事に書いています。
Q. 危ないことをしているときも、短く言うだけでいいですか。
A. 安全にかかわる場面は別です。止めることが先で、説明はあとにします。「止まって」と短く言い、体の間に入るなど、事業所の決まりに沿って動きます。
Q. どれくらいで通るようになりますか。
A. 期間では決まりません。通る場面が1つ増えたら、それが手がかりです。
まとめ
この記事のポイント
- ① 「なめられている」ではなく「まだ通っていない」と考えます。
- ② 声を大きくする前に短く・1つずつ・先に見通し。
- ③ 言いかえはしてほしい行動で言います。
- ④ 厳しくして通すと、その人がいる間だけの形になりやすくなります。
- ⑤ 「自分のときだけ」は誰が・いつ・どの場面に分けて2週間メモします。
- ⑥ 体を押さえる、脅す形は別の問題です。

通らないことを気にしたのは、ちゃんと関わりたかったからだ。
短く、1つずつ、先に見せる。
それで通る場面が1つ増えたら、それが積み上がっていく。
今日のあなたに、はなまる。
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