放デイで宿題をやりたがらない子にどう関わる?「やらせる」前に変える3つの条件と、事業所に確認する線【職員向け】
「宿題やろうか」と声をかけると、机から離れていく。
追いかければ逃げるし、放っておけば時間が終わる。
保護者からは「宿題を見てほしい」と言われている。
やらせるのが仕事なのか、無理にはさせないほうがいいのか。
この記事では、宿題の時間に迷わないための確認する順番と、始めやすくする3つの条件をまとめます。
先に結論
① 宿題を見るかどうか、どこまで見るかは事業所の方針で決まります。職員が1人で決める話ではありません。
② 国のガイドラインに「宿題」という言葉は出てきません。放デイの基本活動として決められているものではありません。
③ 声かけを変える前に、量・時間・場所の条件を1つだけ変えます。
④ 答えを教えるか、丸をつけるか、音読カードに書くかは家庭・学校との約束によります。
⑤ やらなかった日も記録に残します。できなかった記録ではなく、条件の記録にします。

だいち先生、宿題を全然やってくれなくて…。
やらせないといけないのか、無理にさせないほうがいいのか、分からなくなってきました。

それ、先に決まっていないと毎回ぶつかるところなんだ。
子どもへの声かけより先に、事業所の方針を確認しよう。
宿題は、放デイの決められた活動ではありません
国の放課後等デイサービスガイドラインを読むと、本人支援の基本活動は4つです。
ガイドラインの4つの基本活動
①日常生活の充実と自立支援のための活動 ②多様な遊びや体験活動 ③地域交流の活動 ④こどもが主体的に参画できる活動
この4つを組み合わせて提供する、とされています。「宿題」という言葉は、ガイドラインの中に出てきません。
つまり、宿題の時間を作るかどうかは、事業所が決めていることです。
知恵袋には、保護者の立場から「前に通っていた2つの事業所は宿題を見てくれたのに、新しいところは見てくれない」という声がありました。
反対に、職員の立場から「子どもが嫌がることはさせない方針なので、宿題はさせない」という事業所で迷っている、という声もありました。
最初に確認すること
- 宿題の時間があるか 毎日なのか、希望する子だけか。
- どこまで見るか 声をかけるだけか、横につくか、丸をつけるか。
- やらなかったときどうするか 連絡帳に書くのか、家庭に任せるのか。
- 保護者と何を約束しているか 契約や面談で伝えている内容があるはずです。
方針が分からないまま子どもに声をかけ続けると、職員によって言うことが違う状態になります。
言うことが違う場面の整理はこの記事に書いています。
「やらせる」ではなく「始めやすくする」
方針として宿題を見る事業所でも、やるかどうかを決めるのは子どもです。
職員ができるのは、始めるまでのハードルを下げることです。
変えるのは、次の3つのうち1つだけにします。
始めやすくする3つの条件
- ① 量 「全部」ではなく「1行だけ」「上の3問だけ」。終わりが見えると始めやすくなることがあります。
- ② 時間 おやつの前か後か。到着してすぐか、遊んでからか。その子が集中しやすい順番にします。
- ③ 場所 人が通らない席、壁向きの机、ほかの子と同じ机を避ける。音や視線が減ると取りかかりやすい子もいます。
3つを同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります。1回に1つです。
活動の条件を変える考え方は足すと減らすと活動に入れない子の記事にもまとめています。

「あと1問だけ」って言うと、それすらやらない日もあります。

その日はそれでいい。
やらなかった日も、条件を変えた記録になる。
1週間ぶんたまると、どの条件の日にできていたかが見えてくるよ。
答えはどこまで教えるか
宿題を見る方針でも、どこまで手を出すかは別の話です。
知恵袋には、指導員のパートをしている人から「小学5年生の宿題が難しくて教えられない。間違っていてもそのままにしていいのか」という声がありました。
事業所に確認する線
- 丸をつけるか つけない事業所もあります。
- 間違いを直させるか 直さずにそのまま返す形もあります。
- 答えを教えるか 考え方だけ伝える、という決め方もあります。
- 音読カードや確認欄にサインするか 学校や家庭との約束によります。
分からない問題を無理に教える必要はありません。
「ここは家で見てもらってください」と印をつけて返す形も、方針として決められます。
自分の教え方が合っているか不安なときは、その場で頑張るより、事業所で形をそろえたほうが早く解決します。
やらない日が続くときに見るところ
毎回やらないときは、その子のやる気の話として片づけません。
見るところ
- 量が合っているか 学校から出ている量が、その子に対して多いことがあります。
- 時間帯 疲れている時間、帰りの直前などは、始めにくくなりがちです。
- 周りの状況 同じ机の子が遊んでいる、ほかの活動の音が聞こえる。
- 宿題の中身 読む量が多い、書く量が多い、内容が難しい。どこで止まっているかを見ます。
量や中身が合っていないと感じたら、職員が勝手に減らすのではなく、記録に残して児発管に上げます。
学校の先生と話す機会があるときの伝え方はこの記事にまとめています。
連絡帳に書くときの言い方は連絡帳の書き方にあります。
記録は「できなかった」で終わらせない
書き方の例
- 「宿題の時間、算数プリント2問まで取り組んだ。3問目で席を立った。到着後すぐの時間だった」
- 「おやつのあとに声をかけると、漢字の書き取りを最後まで書いた。壁向きの席を使った」
- 「音読は、職員が横で1行ずつ交代して読むと最後まで進んだ」
「やらなかった」だけだと、次に打つ手が残りません。
条件と、どこまで進んだかを書きます。
記録の書き方は支援記録の例文100選に例があります。
よくある質問
Q. 保護者から「宿題を必ずやらせてください」と言われました。
A. その場で約束せず、「事業所で確認してお返事します」と伝えます。対応を決めるのは事業所です。電話で言われたときの返し方はこの記事にまとめています。
Q. 宿題の時間に、ほかの子が騒いでしまいます。
A. 宿題をする場所と遊ぶ場所を分けられないか、時間をずらせないかを見ます。人の配置の話でもあるので、打合せで出します。
Q. 「あの子だけやらなくていいの」と、ほかの子に言われました。
A. その子の事情は説明しません。「やることは人によって違うよ」で十分です。学童では、この不公平感を保護者から指摘された例もあります。
Q. 自分は勉強を教えるのが得意ではありません。
A. 教える人である必要はありません。始めやすくする、横にいる、どこで止まったかを記録する。これだけでも支援になります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 宿題を見るかどうかは事業所の方針。ガイドラインに宿題という言葉はありません。
- ② 声かけより先に、量・時間・場所を1つだけ変えます。
- ③ 丸つけ・直し・サインの線は家庭と学校との約束によります。
- ④ やらない日が続くときは量と中身を見て、記録で上げます。
- ⑤ 記録は「できなかった」ではなく条件とどこまで進んだか。

宿題で迷ったのは、その子のことも、保護者の期待も、どちらも大事にしたかったからだ。
決めるのは事業所。あなたは、始めやすくする係でいい。
今日のあなたに、はなまる。
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