ちょっかいが止まらない子への対応|注意が目的になっているときの外し方と、相手の子を先に守る3手【放デイ職員向け】
消しゴムを取る。背中をつつく。わざと肩にぶつかる。
「やめてね」と言うと、一度は止まる。
5分後、また同じ子に手が伸びている。
今日だけで、何回名前を呼んだか分からない。
この記事では、注意しても止まらないちょっかいへの関わり方をまとめます。
先に結論
① 何度注意しても止まらないとき、注意そのものが目的になっていることがあります。
② 反応は小さく、短く。名前を呼び続けません。
③ ちょっかいが出る前に、別の関わり方の出番を作ります。
④ 先に守るのは相手の子。席と距離を変えます。
⑤ 記録は「またやった」ではなくいつ・誰に・直前に何があったか。

だいち先生、同じ子が一日中ちょっかいを出していて、そのたびに注意しています。
でも全然減りません。

その子にとって、注意されることが、いちばん早く大人が来る方法になっているのかもしれない。
だとしたら、注意するほど増えることもあるんだ。
注意しても止まらないのはなぜか
知恵袋に、保護者からこんな相談がありました。
子どもが周りの大人に何度も絡みにいく。
何度叱っても、しばらくすると、また同じことをしにいく。
どうしてなのか、という内容です。
叱られても繰り返すのは、叱られた内容が伝わっていないからとは限りません。
相手の反応が返ってくることそのものが、目的になっている場合があります。
ガイドラインの記述
「現在の行動上の課題やその行動の意味等にも着目する機能的アセスメントを行い、それを踏まえて、こどもが安心して過ごせるための環境調整や、自発的なコミュニケーションスキル等を身につけていくための『標準的な支援』を行うことが必要である」
止めることより先に、その行動で何が起きているかを見ます。
何のためのちょっかいか、を見分ける
同じちょっかいでも、目的はいくつかあります。
よくある形
- 大人に来てほしい ちょっかいのたびに職員が来る。来ないと、別の子にも手が伸びる。
- 相手と関わりたい 遊びに入りたいけれど、入り方が分からない。
- やることがない 待ち時間や、活動の切れ目に多い。
- 相手の反応がおもしろい 特定の子にだけ向く。相手が大きく反応する子であることが多い。
決めつけはしません。1〜2週間、直前の場面と相手の反応を記録すると、形が見えてきます。
その場でやること
順番
- ① 相手の子を先に守る 「こっちの席に移ろうか」と、相手の子のほうを動かすか、間に入ります。
- ② 短く止める 「手はおひざ」など、してほしい行動を1つだけ。説明はしません。
- ③ すぐ別の出番を渡す 「これ配ってくれる?」など、手と体を使う役割に切り替えます。
けんかに発展したときの入り方はけんかの仲裁にまとめています。

何もなかったことにするみたいで、相手の子に悪い気がします。

だから相手の子を先に守るんだ。
相手の子への声かけは、あとで忘れずにする。
ちょっかいを出した子に長く付き合うのは、その後回しでいい。
反応を小さくする
大人の反応が大きいほど、ちょっかいの「効き目」が上がることがあります。
小さくする工夫
- 名前を大きな声で呼ばない 部屋じゅうに響くと、全員の注目が集まります。
- 近づいて、低い声で短く 遠くから何度も言うより、1回そばで言うほうが届くことがあります。
- 表情を変えない 怒った顔も、困った顔も、反応として受け取られることがあります。
- やりとりを続けない 「なんで?」「だって」の往復に乗りません。
ちょっかいが出る前に、出番を作る
反応を小さくするだけでは、関わりたい気持ちの行き場がなくなることがあります。
代わりに、ちょっかい以外で大人と関われる方法を用意します。
先に渡すもの
- 係・役割 配る、数える、道具を運ぶ。人と関わる役割だと、なお向いています。
- 話しかけてよい時間 「おやつのあと、先生と5分話そう」と先に約束しておきます。
- ほめる場面を増やす ちょっかいを出していないときに声をかけます。静かにしているときほど、声をかけ忘れやすいものです。
- 待ち時間を減らす やることがない時間に多いなら、そこを短くします。
待ち時間の減らし方は順番が待てない子に、
活動への入り方は活動に入れない子に書いています。
からかい・いじりとの線
ちょっかいが、からかいやいじりに変わっていることもあります。
線を見るところ
- 相手が嫌がっているか 笑っているように見えても、離れたがっていないか。
- いつも同じ相手か 特定の子に向き続けているなら、関係の問題として見ます。
- 1対多になっていないか 周りが乗ってきているなら、場面を止めます。
この3つのどれかに当てはまるなら、職員1人で抱えず、児発管や管理者に共有します。
自分が軽く見られていると感じるときはこの記事にもつながります。
記録に残すこと
書き方の例
- 「宿題の時間、隣の〇〇の消しゴムを3回取った。直前に宿題のプリントを配り終えていた」
- 「配り係を頼んだ日は、ちょっかいが見られなかった」
- 「おやつのあとに5分話す約束をした日は、おやつ前の活動での回数が少なかった」
回数だけでなく、直前の場面と、こちらが変えたことを残すと、次の手が見えてきます。
記録の言い回しは支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. 無視するのは冷たくないですか。
A. 無視するのは「ちょっかいへの反応」だけで、その子自身ではありません。ちょっかいを出していないときに、こちらから声をかける回数を増やします。
Q. 相手の子の保護者から苦情が来ました。
A. その場で答えず、事業所として対応します。ほかの子の情報を伝える線は決まっています。
答え方は他の子のことを聞かれたときにまとめています。
Q. 職員にちょっかいを出してきます。
A. 同じ考え方です。反応を小さくして、別の関わり方の出番を渡します。体への接触が続く場合は、距離の線を事業所で決めておきます。
距離の線は職員と子どもの距離感に書いています。
Q. 何をしても減りません。
A. 1〜2週間の記録を児発管に渡して、支援の方針として相談します。個人の関わり方だけで抱えなくて大丈夫です。
まとめ
この記事のポイント
- ① 注意しても止まらないとき、注意そのものが目的になっていることがある。
- ② その場は相手の子を守る → 短く止める → 別の出番。
- ③ 反応は小さく、短く。やりとりを続けない。
- ④ ちょっかいが出る前に、関われる出番を先に渡す。
- ⑤ 記録は直前の場面と、変えたことをセットで。

何回も名前を呼んで疲れたのは、その子も相手の子も放っておけなかったからだ。
呼ぶ回数を減らして、出番を1つ増やしてみよう。
今日のあなたに、はなまる。
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