はじめての現場
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放デイに新人研修がない…何も教わらないまま現場に出されたときの動き方【職員向け】

daichi

「じゃあ、○○くんと遊んでてね」

入ったばかりの日に、そう言われて現場に立たされる。

名前もまだ覚えていない子の前で、何をすればいいのか分からないまま時間が過ぎていく。

聞きたいことはあるのに、先輩は全員動いていて、声をかけるすきまがない。

放デイや児童発達支援では、これがめずらしくありません。

研修らしい研修がないまま現場に出された、という人はたくさんいます。

この記事では、なぜ研修がないのかという構造と、教わらないまま動くための具体的な手順、そしてここから先は引き受けてはいけないという線を整理します。

先に、この記事の結論

研修がないのは、あなたの覚えが悪いからではありません。新人を育てる仕組みは事業所ごとにバラバラで、そこに時間を割けていない事業所が実際にあります。

最初の1ヶ月は「教わる」より「観察して書き留める」に切り替えたほうが早く動けるようになります。

ただし、単独での送迎・薬に関わること・命に関わる場面の判断は別です。ここは早い段階で任されたら、はっきり線を引いてください。

わかば
わかば

だいち先生…入って3日目なんですけど、まだ何も教わっていなくて。
「遊んでて」としか言われなくて、自分がここにいる意味が分からなくなってきました。

だいち
だいち

それはね、わかばが飲み込みの悪い人だからじゃないよ。
教える時間が取れていない職場の側の事情が大きい。
まず、そこから説明させて。

なぜ、研修がないのか

理由は3つあります。

ひとつ目は、制度として求められている研修と、新人が現場で動けるようになるための研修が、そもそも別物だということです。

放デイや児童発達支援の事業所には、虐待の防止や身体拘束(体の動きを止めること)、感染症への対応など、実施が求められている研修があります。

ただ、それらは事業所として押さえておくべき内容で、「明日この子にどう関わるか」を教えてくれるものではありません。

新人をどう育てるかは、事業所ごとの判断にゆだねられているのが実情です。

ふたつ目は、時間の構造です。

放デイは、学校が終わってからの数時間に子どもが集中します。

その時間帯は全員が動いているので、落ち着いて教える時間が物理的に取りにくい。

午前中に研修の時間を作れる事業所もありますが、送迎の準備や記録に消えてしまうことも多いです。

みっつ目は、人手です。

職員が足りていない事業所ほど、新人を戦力として数えるところから始まってしまいます。

この点は人手不足の記事で詳しく書きました。

わかば
わかば

教えてもらえないのは、私に問題があるからじゃなかったんですね。

だいち
だいち

うん。
もちろん、丁寧に育ててくれる事業所もたくさんある。
ただ、そうじゃなかったときに自分を責めても、何も進まないからね。

最初の1週間で、覚えることを絞る

全部を一度に覚えようとすると、確実に潰れます。

最初に押さえるのは、この5つだけで十分です。

最初の1週間で覚える5つ

  • 子どもの名前と顔(フルネームでなくていい。呼び名でいい)
  • その子が嫌がること(音・触られる・急な予定変更など)
  • その子が好きなこと(これが分かると関われる場面が一気に増える)
  • その日の動線(来所→手洗い→おやつ→活動→送迎の順番)
  • 困ったときに誰へ声をかけるか(第一の相手と、その人が不在のときの相手)

逆に、最初は覚えなくていいこともあります。

書類の書式、制度の細かい仕組み、行事の段取りは、あとから追いつけます。

先に覚えるべきは、目の前の子どものことだけです。

名前が覚えられないときの、現実的なやり方

名前を覚えられないのは、能力の問題ではありません。

放デイは曜日ごとに来る子が違うので、毎日会えるわけではないからです。

週に1回しか来ない子を、数日で覚えられるほうがめずらしい。

名前を覚えるための現実的な工夫

  • 持ち物の色や靴で覚える(本人の顔よりも情報量が多い)
  • 曜日ごとにメンバー表を作って、出勤前に3秒だけ見る
  • 呼びかけるときは「ねえ」を使わず、必ず名前を口に出す(覚えるのは自分のため)
  • 覚えていないことを子どもに隠さない。「名前、もう一回教えて」は失礼にならない

最後のひとつは、意外と大事です。

取りつくろうより、聞いてしまったほうが子どもとの距離は縮まります。

聞くタイミングがないときの、聞き方

先輩がいつも動いていて、質問するすきまがない。

これは新人が最初にぶつかる壁です。

解決策は、質問の形を変えることです。

「どうすればいいですか」は、相手に考える時間を要求します。

忙しい人はこの形の質問に答えられません。

かわりに、答えが一言で済む形にします。

そのまま使える聞き方

  • 「このあと、○○くんの見守りに入って大丈夫ですか?」(イエスかノーで答えられる)
  • 「片づけは私がやりますね」(許可でなく宣言にする。違えば止めてもらえる)
  • 「あとで3分だけ、連絡帳の書き方を見てもらえますか」(時間を先に区切る)
  • 「今日いちばん気をつけることだけ、教えてください」(数を1つに絞る)
  • 「これ、明日でいいので教えてください」(相手の逃げ道を作る)

最後の形が特に効きます。

「いま」を要求されると、忙しい人は身構えます。

明日でいい、と言われた質問のほうが、結果的に早く返ってきます。

わかば
わかば

「どうすればいいですか」って、いちばん聞いていた気がします…。

だいち
だいち

うーん、あれは新人がいちばん使ってしまう聞き方でね。
悪気はないんだけど、聞かれた側は「全部説明しなきゃ」と身構えてしまう。
だから答えが返ってこない。
形を変えるだけで、ぐっと返ってくるようになるよ。

その日のうちに、3行だけ書く

教わらないぶんは、自分の記録で埋めるしかありません。

ただし、長い記録をつけようとすると続きません。

3行で十分です。

帰り道に書く3行

  • 今日うまくいったこと(どんなに小さくてもいい)
  • 分からなかったこと(明日聞く用のメモ)
  • 子どもの一言(そのまま書く。あとで宝物になる)

2行目がたまってくると、質問がまとめて聞けるようになります。

ばらばらに5回聞くより、まとめて1回聞くほうが先輩の負担も軽い。

結果として、教えてもらいやすくなります。

先輩によって、言うことが違うとき

研修がない職場で必ず起きるのが、これです。

Aさんには「そこは待ってあげて」と言われ、Bさんには「そこは止めて」と言われる。

どちらに従えばいいのか分からなくなります。

結論から言うと、どちらも間違いではないことが多いです。

その子への関わり方は、場面と体調で変わるからです。

同じ行動でも、疲れている日と元気な日では対応が変わります。

言うことが違うときの整理のしかた

  • その場では、いま指示をくれた人に合わせる(子どもの前で議論しない)
  • あとで「さっきの場面、なぜそうするのか教えてください」と理由を聞く
  • 理由を聞くと、実は同じことを言っていた、と分かる場合が多い
  • それでも食い違うなら、児童発達支援管理責任者(児発管とも呼ばれる、支援の計画をつくる責任者)に個別支援計画を確認する

最後のひとつが決め手になります。

計画に書かれている方針が、その子への関わりの基準になるからです。

個別支援計画(その子に何をどう支援するかを書いた、事業所の計画書)の読み方はこちらの記事にまとめました。

ここから先は、引き受けてはいけない

ここまでは「工夫でしのげる話」でした。

ここからは違います。

研修がないまま任されると危ないことがあります。

早い段階で任されたら、線を引く

  • 一人での送迎運転(道も子どもの特性も分からないうちは危険)
  • 薬に関わること(預かる・渡す・確認する、すべて事業所のルールの確認が先)
  • 医療的なケアや、体調が急変したときの判断
  • 自分ひとりだけで子どもを見る時間(複数の目がない状態)
  • 保護者への説明を、経緯を知らないまま任される

知恵袋にも、入って1週間半で単独の送迎を指示されて困っている、という相談がありました。

これは、断ってよい種類のお願いです。

断り方は、できませんと言い切る必要はありません。

「まだ一人では危ないので、あと数回、一緒に乗せてください」という形にします。

拒否ではなく、条件を出す形にすると通りやすくなります。

それでも押し切られる場合は、記録に残してください。

いつ・誰から・何を言われたかを、日付つきで自分のメモに書いておきます。

何かあったときに、あなたを守るのはその記録です。

職員がケガをしたときの考え方はこちらの記事にまとめています。

それでも教えてもらえない、というとき

忙しくて教えられないのと、教える気がないのは違います。

知恵袋には、転職してきた人が新人という理由で質問に答えてもらえなかった、という相談もありました。

こういうときは、聞く相手を1人に固定しないでください。

相手を分散させる

  • 現場の動き=いちばん近くにいるパート職員に聞く
  • 書類と記録=管理者か児童発達支援管理責任者に聞く
  • 子どもの背景=その子の担当をしている職員に聞く

1人に集中させると、その人が忙しい日はゼロになります。

3方向に分けておくと、どこかは開いています。

人間関係でこじれそうなときは、人間関係の記事も読んでみてください。

この職場、大丈夫?を見分ける

研修がないこと自体は、正直めずらしくありません。

問題は、その先です。

様子を見ていい職場

  • 研修はないが、聞けば答えてくれる
  • 危ないことは止めてくれる
  • ミスをしたとき、原因を一緒に考えてくれる
  • 「分からない」と言っても責められない

危ない職場

  • 聞いても答えず、あとで「なぜやらなかった」と責める
  • 危険なことを一人で任せ、断ると態度が変わる
  • 子どもの前で職員を叱責する
  • 人がどんどん辞めていくのに、理由を誰も説明しない

知恵袋にも、面接で聞いた話と実際の仕事が違い、子どもや他の職員の前で叱責される、という相談がありました。

下の4つに複数当てはまるなら、あなたの成長の問題ではありません。

職員が定着しない職場の特徴は、すぐ辞める職場の見分け方にまとめています。

それでも合わないと感じたら

研修がない職場で最初の数ヶ月を過ごすと、「自分は向いていない」と思い込みやすくなります。

でも、教わっていないことをできないのは、当たり前です。

向いていないのではなく、まだ教わっていないだけ、という可能性のほうが高い。

それでも合わないと感じるなら、環境を変える選択肢もあります。

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よくある質問

Q. 研修がないのは、法律的に問題ないのですか。

事業所として実施が求められている研修はあります。

ただし、新人にどこまで教えるかを細かく定めたものではないため、育て方は事業所ごとに差が出ます。

気になる場合は、事業所の管理者に研修の予定を確認してみてください。

Q. 何ヶ月くらいで動けるようになりますか。

子どもの名前と流れが入るまでで、だいたい1ヶ月から3ヶ月が目安です。

週に何日入るかで大きく変わるので、日数が少ない人は焦らなくて大丈夫です。

Q. 分からないまま子どもと関わるのが怖いです。

その怖さは、正しい感覚です。

分からないうちは、指示を出す役ではなく、そばにいる役に徹してください。

見守ることも支援のひとつです。

Q. メモを取っていると、感じが悪いと思われませんか。

むしろ逆で、覚えようとしている姿勢は伝わります。

ただし、子どもの前で長時間書き込むのは避けて、休憩時間や退勤後にまとめるのが安全です。

この記事のまとめ

①研修がないのは、事業所側の時間と人手の事情が大きい。あなたの飲み込みの問題ではない。

②最初の1週間は5つだけ覚える。名前・嫌がること・好きなこと・動線・聞く相手。

③質問は「どうすればいいですか」をやめて、一言で答えられる形に変える。「明日でいいので」が効く。

④単独送迎・薬・命に関わる判断は、線を引いていい。断るのではなく条件を出す。

⑤聞いても答えず後で責める職場は、あなたの成長の問題ではない。見分けて、必要なら動く。

だいち
だいち

今日のあなたに、はなまる
教わっていないことができないのは、当たり前です。
それでも今日、名前も知らない子のそばに立ったあなたは、もう仕事をしています。
今日もおつかれさまでした。

教わらないまま記録を書かされることも多いはずです。書いたものを人に見せる前に、記録チェッカーで自分で点検できます。

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