放デイで新人を教える立場になった…2年目でも渡せる3段階と、時間がないときの1日3分【職員向け】
「今日から入る◯◯さん、見てあげてね」
そう言われたとき、いちばん最初に浮かんだのは、たぶんこれだと思います。
——自分だって、まだ聞きながらやっているのに。
教える時間はどこにもありません。
自分の担当の子を見ながら、横で新人の動きも見て、質問にも答える。
検索して出てくるのは、研修制度の作り方や、育成計画の記事ばかりです。
この記事は、2年目で急に教える側になった職員に向けて書きます。
先に結論
① 教えるのは支援の正解ではなく、今日の動き方です。
② 渡す順番を決めます。1日目・1週目・1か月目の3段階。
③ 一度に全部渡しません。1回に1つ。
④ 「見て覚えて」は伝わりにくいです。やって見せる → 横で見る → 1人でやってもらう。
⑤ 職員を育てる体制を作るのは設置者・管理者の管理業務と、国のガイドラインに書かれています。1人で背負う話ではありません。

だいち先生、来週から新人さんがつくことになって…。
私、まだ2年目で自分のこともいっぱいなのに、教えられるんでしょうか。

教える順番が回ってきただけで、あなたが完成したから任された訳じゃないよ。
だから「全部教える」は最初に降ろしていい。
渡す順番を決めれば、2年目でも渡せる。
教える側になって不安なのは、あなただけではありません
知恵袋には、同じ立場の相談がいくつも残っています。
同じ立場の人の声(要旨・5件)
- 2年目でリーダーになり、年下の新人への接し方が分からない。声をかけても反応が悪く、1年間悩んで何度も泣いた。
- 3年目で初めて後輩と組んだ。1人でやっていたときより気をつかい、イライラする自分が嫌になる。
- 新人教育を任されたが、注意すると反発される。どこまで言っていいのか分からない。
- 1つ上なだけなのに、間違いを指摘していいのか迷う。
- 指導係の先輩が忙しく、ほとんど教われないまま2年目になった人がいる。
5件のうち3件が「自分もできていないのに教える立場になった」、3件が「注意すると関係が悪くなる」でした。
不安の中身は、能力ではなく立場のほうです。
渡す順番を、3段階で決める
教えることを全部並べると、渡しきれません。
いつ渡すかを決めると、1回分が軽くなります。
1日目に渡すもの
- 子どもの呼び方 名前と、呼ばれ方(あだ名・さん付けなど事業所の決まり)。
- 今日の流れ 来所から送迎までの順番だけ。時間は覚えなくて大丈夫と伝えます。
- 危ない場面 その日いる子で、特に気をつける場面を1つか2つ。
- 困ったときに声をかける相手 あなたと、あなたが動けないときの相手。
- 今日見ていてほしいところ 「今日は◯◯さんの様子を見ていてください」と、役割を1つ渡します。
1日目に支援の考え方は渡しません。動き方だけで足ります。
1週目に渡すもの
- 見学 → 横につく → やってみる 同じ場面を、この順で3回に分けます。
- 任せる範囲を先に言う 「今週はここまで」と線を引きます。できたら増やす、ではなく先に決めます。
- その子の好きなこと・苦手な場面 1人分ずつ。全員分は渡しません。
- 記録の見本 書き方を説明するより、書かれた記録を1枚見せるほうが早いです。
1か月目に渡すもの
- 連絡帳や記録を、下書きまで 提出前に見る人を決めておきます。
- 保護者への短い受け答え 答えられないことは「確認します」でよい、と先に伝えます。
- 会議や打合せでの発言 見たことを1つ言う、から始めてもらいます。
単独での送迎、薬に関わること、命に関わる判断は別です。
いつ任せるかは、あなたではなく事業所が決めることです。
教わる側から見た整理は新人研修がないときの記事にまとめています。
新人に読んでもらうこともできます。
教える時間がないときの3分
まとまった時間は、たぶん取れません。
そのかわり、3か所に1分ずつ置きます。
1日3分の型
朝の1分 「今日は◯◯さんの近くで、□□の場面を見ていてください」
活動前の1分 「この場面は、こうします」と、これから起きることを1つだけ先に伝える
帰りの1分 「今日はどこが分からなかったですか」と1つだけ聞く
3分で足りない日もあります。その日は帰りの1分だけでも構いません。
帰りの1分は、質問をためないための時間です。
聞けなかった質問は、次の日に持ち越されて、そのうち聞かれなくなります。

「何か質問ある?」って聞くと、いつも「大丈夫です」って返ってきます。

それ、質問がないんじゃなくて、質問が作れないことが多いんだ。
「今日どこが分からなかった?」に変えると出てくる。
もっと具体的にするなら「おやつの場面、動き方は分かった?」だね。
「見て覚えて」は伝わりにくい
自分がそう教わったから、同じようにしてしまいがちです。
ただ、見ているだけでは、何を見ればいいのかが分かりません。
渡し方の3段階
- ① やって見せる その場面を、あなたがやります。終わったあとに「いま、何をしたと思いますか」と聞くと、見るところが変わります。
- ② 横で見る 新人にやってもらい、あなたは隣にいます。途中で口を出さず、危ないときだけ入ります。
- ③ 1人でやってもらう 終わったあとに、よかったところを1つ、次に変えるところを1つ。
③で伝えるのは2つまでです。3つ以上は残りません。
注意するときの3つ
注意そのものを避ける必要はありません。
伝え方だけ、先に決めておきます。
注意するときに決めておくこと
- ① 子どもや他の職員の前で言わない 場所を変えるか、時間をずらします。
- ② 人ではなく、行動だけを言う 「危ないよ」ではなく「あの場面では、先に手を離してください」。
- ③ 理由を先に言う 「◯◯だから、こうします」の順にすると、指示ではなく説明になります。
それでも反発されるときは、1人で抱えずに児発管(児童発達支援管理責任者=支援の計画をつくる責任者)や管理者へ共有してください。
言い換えの例
❌「なんでそうしたの?」 → ⭕「あの場面、どう考えて動きましたか」
❌「前も言ったよね」 → ⭕「もう一度だけ確認させてください」
❌「危ないから見てて」 → ⭕「この場面は、私が前に立つので、後ろから見ていてください」
自分もできていない、と思うとき
教える側になっても、分からないことはあります。
そのときは、分かるふりをしないでください。
「それは私も自信がないので、一緒に確認しましょう」で足ります。
この一言は、新人にとっても確認していいという見本になります。
それに、教えることはあなたの評価ではありません。
イライラする日があっても、それは相手を嫌っているという意味とは限りません。
自分の担当を持ちながら人を見るのは、単純に負荷が増えています。

正直、自分の仕事が遅れてイライラしてしまう日があります…。

それは気持ちの問題じゃなくて、量の問題だよ。
教える時間は、あなたの持ち時間から出ている。
そこは事業所に見てもらうところなんだ。
職員を育てるのは、事業所の管理業務です
国の放課後等デイサービスガイドラインには、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「職員の知識・技術の向上の取組は、設置者・管理者の重要な管理業務の一つである」
「設置者・管理者は、職員の資質の向上の支援に関する計画を策定し、その計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保することが必要である」
「児童発達支援管理責任者は、職員に対する技術指導及び助言を行うことも業務となっており、設置者・管理者は、事業所内における研修の企画等に当たっては、児童発達支援管理責任者と共同して対応していくことが必要である」
つまり、新人を育てる責任があなた個人に置かれているわけではありません。
あなたがするのは、日々の動き方を渡すところまでです。
管理者・児発管に相談していいこと
- 教える範囲(どこまで自分が見て、どこからを上に上げるか)
- 教える時間(自分の担当を軽くしてもらえないか)
- 任せる時期(送迎・記録・保護者対応をいつから任せるか)
- うまくいっていないと感じたときの相談先
相談は、うまく教えられていないという報告ではありません。
体制を決め直すための情報です。
渡したことを、1行残す
誰が何をどこまで渡したかが分からないと、同じことを2回教えたり、誰も教えていない項目が残ったりします。
残し方の例
「9/12 来所から送迎までの流れを説明。◯◯さんの水分の場面だけ、横について実施。」
「9/13 記録の見本を1枚渡した。次は下書きまでやってもらう。」
「送迎はまだ同乗のみ。単独は未定(管理者に確認中)。」
引き継ぎ表でも、共有のメモでも構いません。
記録の書き方は支援記録の例文100選にもまとめています。
よくある質問
Q. 自分より年上の新人に、どう教えればいいですか。
A. 敬語のまま、事実と手順だけを渡してください。教える立場と年齢は別です。言いにくい内容は、管理者から伝えてもらう方法もあります。
Q. 教えたのに、同じことを何度も聞かれます。
A. 口で渡したものは残りません。紙かメモに1枚だけまとめて渡すと、聞かれる回数が減ることがあります。
Q. 新人が動かず、待っているだけに見えます。
A. 何をしていいか分からない時間だと思います。「この時間は、この子のそばにいてください」と、役割を1つ渡してみてください。
Q. 自分の担当の子を見られなくなりました。
A. それは配置の話です。「教える日は担当を1人減らせませんか」と管理者に相談してください。
Q. 教えるのが向いていない気がします。
A. 教え方は、やり方を知っているかどうかの問題です。1日目・1週目・1か月目に分ける、1回に1つ、この2つだけでも形になります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 渡すのは支援の正解ではなく今日の動き方。
- ② 1日目・1週目・1か月目に分けて渡します。1日目は動き方だけ。
- ③ 教える時間がなければ、朝1分・活動前1分・帰り1分。
- ④ 渡し方はやって見せる → 横で見る → 1人でやってもらう。伝えるのは2つまで。
- ⑤ 注意は人前で言わない・行動だけ・理由を先に。
- ⑥ 職員を育てる体制は設置者・管理者の管理業務。範囲と時間は相談していい。

自分もまだ途中なのに、人に渡す側になった。
それでも「どう教えよう」と考えた時点で、もう教える人の側に立っている。
1日目は動き方だけ。それで十分。
今日のあなたに、はなまる。
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