放デイで相談できる先輩がいない…聞く相手を4つに分ける方法と、聞き方を軽くする型【現場目線】
分からないことがあるのに、聞ける人がいない。
先輩は走り回っていて、話しかける隙がない。
一度聞いたら「見て覚えて」と返ってきた。
中途で入ったので、できる前提で扱われている。
何度も聞くと、迷惑がられている気がする。
——結局、自己流でやっている。
検索して出てくるのは、求人サイトの「先輩の声」ばかりです。
この記事は、聞ける人がいないまま現場に立っている人に向けて書きます。
先に結論
① 「全部を聞ける1人」を探すのをやめます。そんな人は、どこの職場にもいません。
② 聞きたいことは4種類あります。種類ごとに、相手が違います。
③ その子のことは児発管に聞いていい。国のガイドラインに「職員に対する技術指導及び助言を行うことも業務」と書かれています。
④ 教えてもらえないのは、あなたの態度の問題ではありません。研修の機会を確保するのは設置者・管理者の管理業務です。
⑤ 相談先は、職場の外にもあります。

だいち先生、聞ける人がいなくて…。
みんな忙しそうで、私だけ何も分からないまま立ってます。

それ、1人に全部を聞こうとしてない?
「なんでも聞ける先輩」を探してると、いつまでも見つからない。
聞きたいことを分けるところから始めよう。
「相談できる先輩がいない」の正体
この悩みを分解すると、多くの場合こうなっています。
「①〜④を全部引き受けてくれる1人」がいない。
それは当然です。
そんな人は、どこの職場にもいません。
聞きたいことを分けると、それぞれ行き先が違うことが分かります。
聞きたいことは4種類
- ① 今日の動き方 次に何をするか。物がどこにあるか。→ その場にいる人なら誰でもいい。
- ② その子のこと どう関わるのが基本か。何を目標にしているか。→ 児発管(児童発達支援管理責任者。支援の計画をつくる責任者)。
- ③ 制度・書類・シフト 記録の様式、加算、勤務のこと。→ 管理者。
- ④ 気持ち・働き方 しんどい。向いていない気がする。→ 職場の外。
①を②の人に聞く必要はありません。
④を職場の中で解こうとすると、行き場がなくなります。
分けると、聞ける先が増えます。
② その子のことは、児発管に聞いていい
ここは、遠慮している人がとても多いところです。
ガイドラインには、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「児童発達支援管理責任者は、職員に対する技術指導及び助言を行うことも業務となっており、設置者・管理者は、事業所内における研修の企画等に当たっては、児童発達支援管理責任者と共同して対応していくことが必要である」
つまり、職員に教えることは児発管の業務のひとつです。
あなたが厚かましいから聞くのではありません。
そう決まっているから聞くのです。
聞き方は、短くて構いません。
そのまま使える聞き方
「◯◯さんの、切り替えのときの基本の関わり方を教えてください。」
「計画を読んだのですが、私の解釈が合っているか確認させてください。」
「あとで3分だけ、時間をいただけますか。」
3つ目が使いやすいです。今すぐでなくていい、と伝わります。

聞いていい相手だったんですね…。
ずっと、忙しい人の邪魔をしてると思ってました。

忙しいのは本当だよ。
でも「聞かれること」は仕事のうちなんだ。
だから、時間を選んで聞けばいい。
遠慮する話じゃなくて、タイミングの話。
教えてもらえないのは、あなたのせいではありません
ここを、はっきりさせておきます。
職員に教える仕組みを作るのは、事業所の側の仕事です。
ガイドラインの記述
「職員の知識・技術の向上の取組は、設置者・管理者の重要な管理業務の一つである」
「設置者・管理者は、職員の資質の向上の支援に関する計画を策定し、その計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保することが必要である」
計画を作るのも、研修の機会を用意するのも、管理者の側に書かれています。
研修の例も具体的に挙げられています。
ガイドラインに挙げられている研修の例
- 自治体・児童発達支援センター・障害児支援関係団体が実施する研修等への参加
- 事業所における研修会や勉強会の開催(ガイドラインを使った勉強会も含む)
- 事業所に講師を招いての研修
- 職員を他の事業所等に派遣しての研修
- 事業所内における自己研鑽のための図書の整備
ひとつも用意されていないなら、それは仕組みの側の話です。
あなたが要領を得ないから教われない、という話ではありません。
研修がないこと自体については新人研修がないまま現場に出された人へにも書いています。
事業所の外にも、支援について相談できる仕組みがあります
これは意外と知られていません。
児童発達支援センターには、地域の事業所を支える役割があります。
ガイドラインの記述
「児童発達支援センターには、地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(支援内容等の助言・援助)を有することが求められており、対応が難しいこどもや家族をはじめ、個別ケースへの支援も含めた障害児通所支援事業所全体への支援が行われることが期待される」
方法として、センターの職員が事業所を訪問する形と、事業所がセンターを訪ねる形が挙げられています。
職員が個人で申し込むものではありません。
ただ、そういう仕組みがあることを知っているだけで、提案の形にできます。
「この子の関わりで迷っていて、センターに相談する方法はありますか」と管理者に聞くことはできます。
聞き方を、軽くする
聞けない理由の多くは、「教えてください」が重いことです。
お願いの形になると、相手の時間を大きく奪う感じがします。
軽くする言い方があります。
重くしない聞き方
- 「これ、合ってますか」 教わるのではなく、確認を取る形。答えるほうも一言で済みます。
- 「あとで3分だけいいですか」 今でなくていいと伝わります。時間の長さを先に言うのが大事です。
- メモを見せる 「こう理解したんですが」と紙を出すと、説明の手間が減ります。
- まとめて聞く 思いつくたびに聞かず、3つたまってから一度に聞きます。
どれも相手の負担を減らす形です。
聞くのを遠慮するのではなく、聞き方を軽くします。
それでも聞けない日に、できること
聞ける人が本当にいない日もあります。
そういう日のために、聞かなくても手に入る先輩の判断があります。
記録です。
その子について、これまで職員が書いてきたものが残っています。
どんな場面で何をして、どうなったか。
それは、先輩の判断そのものです。
記録の読み方(聞けない日の代わりに)
① その子の記録を、さかのぼって3回分読みます。
② 同じ場面が繰り返し出てくるかを見ます。繰り返しなら、対応も決まっているはずです。
③ うまくいった日の記録を探します。何をしたときに落ち着いたかが書いてあります。
④ 分からなければ、その記録を持って児発管に聞きます。「この日の対応について教えてください」なら、質問が具体的になります。

記録って、書くものだと思ってました。
読むものでもあるんですね。

そう。記録は、その場にいなかった人へのメッセージだ。
きみが今日読んでいるのは、半年前の誰かが残してくれた判断。
そしてきみが今日書くものは、次に入る人が読む。
記録の書き方そのものは支援記録の例文100選にまとめています。
④ 気持ちのことは、職場の外へ
しんどい、向いていない気がする、この職場でいいのか。
これを職場の中で相談すると、話が評価の場になってしまうことがあります。
外に持っておいてください。
職場の外の相談先
- 市町村の障害福祉担当窓口 制度や運営についての相談ができます。
- 都道府県の総合労働相談コーナー 働き方のことなら無料で相談できます。
- 自治体・事業者団体が開く研修や勉強会 同じ立場の人と話せる場になります。ガイドラインでも参加が挙げられています。
- 支援員のミカタの公式LINE 制度の判断はできませんが、「こんなことが知りたい」を受け取っています。記事にすることもあります。
1人に全部を聞こうとしないでください。
聞く先を分けておくと、1つが止まっても詰まりません。
よくある質問
Q. 中途採用なので、いまさら聞けません。
A. 前の職場と手順が違うのは当然です。「前はこうしていたのですが、こちらではどうしますか」と聞くと、経験を否定せずに確認できます。
Q. 聞いたら「前も言ったよね」と言われました。
A. メモを取っていることを見せてください。「メモしたのですが、この部分が抜けていました」と言えば、覚える気がないわけではないと伝わります。
Q. 児発管が忙しくて捕まりません。
A. その場で捕まえるのをやめて、時間を予約してください。「今週のどこかで3分」と伝えるだけでも変わります。管理者に「時間をもらいたい」と伝える方法もあります。
Q. 聞くと不機嫌になる人がいます。
A. その人に聞くのをやめて構いません。4種類の分け方でいうと、その人が担当する範囲だけ別の人に回します。全員に聞ける必要はありません。
Q. 誰に聞いても違うことを言われます。
A. それは別の問題です。職員によって言うことが違うときの記事にまとめています。
まとめ
この記事のポイント
- ① 「全部を聞ける1人」を探さない。どこの職場にもいません。
- ② 聞きたいことは4種類=今日の動き方/その子のこと/制度と書類/気持ち。
- ③ その子のことは児発管の業務。ガイドラインに「技術指導及び助言を行うことも業務」と書かれています。
- ④ 教える仕組みを作るのは設置者・管理者の管理業務。教われないのは、あなたの問題ではありません。
- ⑤ 児童発達支援センターに、事業所を支える役割があります。
- ⑥ 聞き方を軽くする=「これ合ってますか」「あとで3分だけ」。
- ⑦ 聞けない日は記録を読む。それは先輩の判断そのものです。
- ⑧ 気持ちのことは職場の外へ。

聞ける人がいない中で、それでも今日も立っていた。
自己流でも、止まらずにやってきたってことだ。
ここから先は、1人で背負わなくていい。
今日のあなたに、はなまる。
出典
こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)」(PDF)
※体制・窓口・研修の有無は事業所と自治体によって異なります。実際の運用は、勤務先とお住まいの自治体の情報で確認してください。
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