放デイの活動に入れない子がいる…誘い方より先に、活動の側を減らす5つ【現場目線】
みんなで輪になったとき、その輪の外に、毎回ひとり。
声をかけると、もっと離れていく。
手を引くと、泣く。
何もしないでいると、今度は自分を責めることになる。
放っておいていいのか。無理にでも入れるべきなのか。
検索して出てくるのは、どう誘うか、どう見立てるかの話ばかりです。
この記事は、そこを書きません。
誘い方ではなく、活動の側を変える話を書きます。
先に結論
① 入れないのは、その子だけの問題とは限りません。活動の条件が多すぎることがあります。
② 新しい遊びを足すのではなく、いまの活動から減らします。言葉・選択肢・待ち時間・道具・難しさ。
③ 減らすのは、その子のためだけではありません。全体が落ち着く場面があります。
④ 「入れた・入れない」の2つで見ません。今日どこまで来られたかで見ます。
⑤ 入らなかった日も、記録は書けます。

だいち先生、今日もあの子だけ入れなくて。
何度も誘ったんですけど、余計に離れちゃって…。
私の誘い方が下手なんだと思います。

何度も誘えたのは、見ていたからだよ。
ただ、誘い方をいくら変えても届かない日はある。
そういう日は、子どもの側じゃなくて活動の側を見る。
誘い方を変える前に、活動の側を見ます
「活動に入れない子 対応」で調べると、声のかけ方の記事が出てきます。
それが効く日もあります。
ただ、誘い方を変えても届かない日は、入り口の手前でつまずいていることがあります。
活動の側にある、入りにくさを5つ挙げます。
活動の側にある、入りにくさ
- 言葉が多い 説明が長い。ルールが複数ある。始まる前に覚えることが増えている。
- 選択肢が多い 「好きなのを選んでいいよ」は、決めるところから始まる活動になっています。
- 待ち時間が長い 順番が来るまで、やることがありません。待っている時間のほうが長い活動があります。
- 道具と音が多い 机の上にものが並んでいる。音楽が鳴っている。どこを見ればいいのかが決まっていません。
- 難しさが合っていない できる形になる前に、本番が始まっています。
5つとも、子どもではなく活動の側にあります。
ここは職員の手で変えられます。
足すのではなく、減らす
活動のネタが尽きたとき、新しい遊びを探しがちです。
入れない子がいるときも、その子用に別のものを用意しがちです。
どちらも、増やす方向です。
増やすと準備が増えて、条件も増えます。
減らすほうが、その日のうちにできます。
減らす5つ
言葉を減らす 説明をやめて、実物を見せる。やってみせる。話す量を半分にしてみます。
選択肢を減らす 「好きなのどうぞ」を「この2つのどっち?」に変えます。
待ち時間を減らす 1人ずつを2人ずつに。列を2本にします。
道具と刺激を減らす 使わないものを片づける。音を止める。人数を分けます。
難しさを下げる 距離を短くする。回数を減らす。できる形まで下げてから始めます。
この5つは、その日その場で決められます。
道具を買い足す必要も、活動を作り直す必要もありません。
減らすと、何が見えやすくなるか
言葉を減らすと、何を使えば伝わるのかが見えやすくなります。実物なのか、やってみせることなのか。
選択肢を減らすと、決めるまでにかかる時間が見えやすくなります。選んだあと取りかかれるかどうかも分かります。
待ち時間を減らすと、崩れていたのが待ち時間だったのかどうかが分かります。
道具と刺激を減らすと、どの刺激が影響していそうかが絞れます。
難しさを下げると、取りかかれるかどうかが分かります。一度できたあと、自分から続けるかどうかも見えます。
減らすのは、あきらめることではありません。
どこでつまずいているのかを、確かめる作業です。

減らすだけ、なんですね。

そう。足すのは準備がいる。減らすのは今日できる。
それに、減らしたほうが、こっちも見る余裕ができるんだ。
減らすと、その子以外にも変化が出ることがあります
ここが、個別の声かけと違うところです。
待ち時間を短くすると、待てていた子の崩れが減る場面があります。
道具を減らすと、取り合いが起きにくくなる場面があります。
音を止めると、話が通りやすくなる場面があります。
その子のための調整が、全体の調整になっていることがあります。
「あの子のために特別なことをしている」という後ろめたさが、少し軽くなるかもしれません。
減らしたあと、何を見るか
「参加できるようになったか」ではありません。
どこまで来られたかを見ます。
同じ部屋にいる。/こちらを見ている。/近づいてくる。/道具を触る。/1回だけやる。/最後までいる。
この並びのどこにいたかは、その日の記録に書けます。
ただし、減らしたままにしない
減らすのは入り口をつくるためです。
ずっと減らしたままだと、その子だけ別の活動になっていきます。
周りの子から見ても、違う形が続いていることになります。
入れた日が続いたら、減らしたものをひとつだけ戻してみてください。
戻すのは、いちどにひとつです。
戻す順の例
- まず難しさを戻す(距離や回数を元に近づける)
- 次に選択肢を戻す(2つから3つに)
- 言葉と待ち時間は、最後まで減らしたままでも構いません
戻して入れなくなったら、また減らします。
行ったり来たりが普通です。一度で決まるものではありません。
それでも入らない日の見方
「入れた・入れない」の2つで見ると、ほとんどの日が「入れなかった」になります。
段階に分けると、動いたところが見えます。
参加の段階
- ① 同じ部屋にいる
- ② こちらを見ている・音を聞いている
- ③ 近づいてくる
- ④ 道具を触る・持つ
- ⑤ 1回だけやってみる
- ⑥ 続けて参加する
先週は①だった子が、今日は③まで来たなら、それは記録に残す出来事です。
⑥まで行かないと意味がない、ということはありません。

先週は部屋の隅にいたのに、今日は近くで見てました。
あれ、書いていいんですね。

それが一番書くべきことだよ。
変わったところが見えたのは、先週のことを覚えていたから。
入らなかった日の、記録の書き方
「参加できなかった」とだけ書くと、次の人が何もできません。
見たことをそのまま書きます。
そのまま使える記録の例
集団活動の開始時、部屋の隅で活動の様子を見ていた。説明を短くして実物を見せたところ、道具の近くまで移動した。参加はしなかったが、終了まで同じ部屋にいた。
順番を待つ場面で列を離れたため、2人ずつ行う形に変更した。変更後は自分の番まで列に並んで待った。
使う道具を1種類に絞って実施。前回より道具の取り合いが少なく、活動に向かう時間が長かった。
どれも「できた・できない」で書いていません。
何を変えて、何が起きたかを書いています。
この形なら、次に入る職員がそのまま続けられます。
記録の書き方をまとめて見たい方は、支援記録の例文100選にも場面別の例があります。
減らし方を、今日の様子から選ぶ
5つのうち、どれを減らすかは、その日の様子で変わります。
落ち着かない日と、盛り上がりすぎている日では、減らすところが違います。
今日の様子から選べる形にしたものを用意しました。
無料で使えます(登録不要)
▶ いつもの活動を変える「足す」と「減らす」 今日の様子をひとつ選ぶと、試せる変え方と、記録の書き方の見本が出ます。
▶ 療育の活動アイデア32 人数・時間・場所・準備でしぼって、いま出せる活動を探せます。
よくある質問
Q. 無理にでも入れたほうがいいですか。
A. 事業所の方針によります。ただ、力ずくで入れた日の記録には「入れた」としか書けません。減らして近づいた日の記録には、何を変えて何が起きたかが書けます。次につながるのは後者です。
Q. ほかの子から「なんであの子はやらないの」と聞かれます。
A. 「今日はここから見る係」のように、役割の形にして伝える方法があります。見る側にも役割があると、輪の外にいることが説明のつく状態になります。
Q. 保護者に「参加していない」と伝えるのが気まずいです。
A. 「参加できませんでした」ではなく、段階で伝えます。「先週は部屋の隅でしたが、今日は道具の近くまで来ていました」なら、事実であり、動いたところも伝わります。
Q. 事業所の方針で「全員参加」と言われています。
A. 方針そのものは職員が変えられません。ただ、活動の中の言葉や待ち時間を減らすことは、方針を変えずにできます。参加の形を広げる調整として上げてみてください。
Q. 減らすと、活動が物足りなくなりませんか。
A. 減らすのは条件であって、活動そのものではありません。同じ活動のまま、入り口を下げる調整です。難しくしたい子には、あとから条件を足す形も取れます。
まとめ
この記事のポイント
- ① 誘い方を変えても届かない日は、活動の側を見ます。
- ② 入りにくさは5つ=言葉・選択肢・待ち時間・道具と刺激・難しさ。
- ③ 足すのは準備がいります。減らすのは今日できます。
- ④ その子のための調整が、全体の調整になっていることがあります。
- ⑤ 「入れた・入れない」ではなく、①〜⑥のどこまで来たかで見ます。
- ⑥ 入らなかった日も、何を変えて何が起きたかなら書けます。
こうした見方は、5つの領域のうち「人間関係・社会性」と関連して考えられます。
領域の当てはめ方は5領域を現場でどう使うかにまとめています。

輪の外にいる子を、毎回ちゃんと見ていた。
見ていない人は、入れないことにも気づかない。
今日のあなたに、はなまる。
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