放デイの送迎を1人で任されたら?添乗なしで運転するときに決めておく5つと、事業所に確認していいこと【職員向け】
「今日の迎え、1人で回ってもらえる?」
運転席に座ると、後ろの席の子の様子はミラー越しにしか見えない。
次の学校で車を降りるとき、乗っている子をどうすればいいのか。
走っている途中で、後ろから声が上がったら。
この記事では、添乗がつかない送迎を任されたときに出発前に決めておくことと、事業所に確認していいことをまとめます。
先に結論
① 1人の送迎は、運転中は運転だけが前提です。何か起きたら、安全な場所に止めてから動きます。
② 出発前に決めておくのは5つ。座る位置、乗り降りの順番、車を離れるときの決まり、止まる場所、連絡のしかた。
③ いちばん迷うのは迎え先で車を離れる場面です。自分で判断せず、事業所の決まりを先に聞きます。
④ 降りたあとは点呼と車内の確認。運営基準で、乗り降りのときの所在確認が求められています。
⑤ 「この組み合わせを1人では難しい」は、言っていいことです。場面を書いて上げます。

だいち先生、明日から送迎を1人で回ることになって…。
運転しながら子どもを見るなんて、できる気がしないです。

運転しながら見るのは、できなくて当たり前なんだ。
だから1人のときは「見る」より先に「決めておく」。
出発前に決めることを並べるね。
1人の送迎は「運転中は運転だけ」
添乗がいれば、運転する人と子どもを見る人を分けられます。
1人のときは、それができません。
だから、走っている間に子どもの対応をしない前提で組み立てます。
運転中の線
- 後ろを振り向かない 声が上がっても、まず安全な場所を探して止まります。
- 運転しながら電話をしない スマートフォンを手に持って通話や操作をしながら運転することは、道路交通法で禁止されています。
- 止めてから対応する ハザードを出し、止まってから振り向きます。
知恵袋には、保護者の立場から「1人の送迎で、運転しながら家庭に電話を入れているらしい」と心配する声もありました。
遅れの連絡も、止まってからにします。
出発前に決めておく5つ
1人の送迎で迷う場面は、だいたい決まっています。
出発前に、次の5つを確認しておきます。
決めておく5つ
- ① 座る位置 運転席に手が届く席に誰が座るか。手が出やすい子、立ち上がりやすい子の席は、事業所で決めた位置にします。
- ② 乗り降りの順番 誰を先に乗せて、誰から降ろすか。道路側のドアを開けない順番にします。
- ③ 車を離れるときの決まり 迎え先で車を降りるとき、乗っている子をどうするか。下の章で詳しく書きます。
- ④ 止まる場所 ルートの途中で、何かあったときに止められる場所。コンビニの駐車場など、先に目星をつけておきます。
- ⑤ 連絡のしかた 遅れる、事故、体調の変化。誰に、何で連絡するか。
チャイルドロックや窓のロックが使える車なら、出発前にかかっているかも確認します。
知恵袋には、他の人を傷つけてしまうことがある子を助手席に乗せて運転したところ、運転中に腕を強くつかまれ、事故になりそうで怖かった、という声がありました。
座る位置は、その日の気分ではなく、事前に決めておくものです。
シートベルトを外してしまう子への対応は送迎がきついときの記事に書いています。

座る位置って、自分で決めていいんですか。

決めるのは事業所だよ。
ただ、「この子とこの子を隣にすると手が出やすい」は、運転していた人がいちばん知っている。
気づいたことは、記録にして上げよう。
いちばん迷うのは、迎え先で車を離れるとき
学校や家の前で、次の子を迎えに車を降りる。
そのとき、乗っている子を車に残すのか、一緒に連れていくのか。
1人の送迎で、いちばん判断に困る場面です。
知恵袋には、働き始めたばかりの職員が、車に置いていくと暑いと思って窓を開けたまま1年生を連れて次の子を迎えに行ったところ、その子が走って車に戻り、窓から運転席に入ってロックやボタンを触ってしまった、という声がありました。
保護者の立場からも「他の子の送迎の間、子どもたちが車内に残されている。暑さも、勝手に動かしてしまうのも心配」という声がありました。
車を離れる前に、事業所に確認すること
- 車に残すのか、連れていくのか 子どもの状態や場所ごとに、決まりがあるかを聞きます。
- 残す場合の車の状態 エンジン、鍵、窓、エアコンをどうするか。
- 連れていく場合の歩き方 手をつなぐか、誰を先に歩かせるか。
- 離れていい時間の目安 出てくるのが遅い子を待つとき、どこまで待つか。
決まりがない場合は、その場で自分だけで決めずに、出発前に管理者か児発管に確認してください。
暑さ・飛び出し・車の操作は、どれも1人では同時に防げません。
降りたあとは、点呼と車内の確認
送迎の最後にやることは、決まっています。
国の放課後等デイサービスガイドラインには、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「設置者・管理者は、運営基準により、送迎や事業所外での活動のために自動車を運行する場合は、こどもの乗降時の際に点呼を行うなど、こどもの所在を確実に把握することができる方法により所在を確認するとともに、自動車にブザー等の安全装置を装備することが求められている」
「リスクの高い場面(例えば、食事、プール、移動、送迎、屋外活動などの場面)において職員が気を付けるべき点や役割等を明確にした安全管理マニュアルを作成することが重要である」
降りたあとの確認
- 乗った人数と降りた人数を合わせる 名前で数えます。
- いちばん後ろの席まで見る 座席の下や足元も見ます。
- 車の安全装置の手順どおりに ブザーの止め方などは、事業所の手順に合わせます。
送迎のマニュアルがあるなら、1人で回る前に一度読んでおきます。
ないなら、「送迎のときの決まりをまとめたものはありますか」と聞いてかまいません。
何も教わらないまま現場に出たときの動き方は新人研修がないときの記事にまとめています。
「1人では難しい」は言っていい
知恵袋には、働き始めて1週間で送迎を任され、送迎の注意や緊急時の対応を誰からも教わっていない、という声もありました。
1人で6人を乗せて走るのが当たり前になっている、という職員の声もあります。
上げるときの伝え方
- 場面で伝える 「〇曜日の帰り、〇〇さんと〇〇さんが隣になると、運転中に手が出ることがありました」
- 起きたことを記録する 日付、ルート、座る位置、何が起きたか、どこで止まったか。
- ヒヤリハットとして出す 事故にならなくても、危なかった場面は残します。
「自分が運転に慣れていないから」と伝える必要はありません。
組み合わせや場面の話として出します。
書き方はヒヤリハットの書き方にまとめています。

言ったら「運転できない人」って思われそうで…。

言っているのは「この組み合わせは1人だと危ない」ってことだよ。
それは運転の上手い下手とは別の話。
次に同じルートを走る人のためにもなる。
条文ではこう決められています(指定通所支援基準 第40条の3)
「指定児童発達支援事業者は、障害児の事業所外での活動、取組等のための移動その他の障害児の移動のために自動車を運行するときは、障害児の乗車及び降車の際に、点呼その他の障害児の所在を確実に把握することができる方法により、障害児の所在を確認しなければならない。」
第2項では、送迎を目的とした自動車について安全装置の装備が定められています。
(e-Gov・第71条により放課後等デイサービスに準用)
「点呼その他」と書かれているので、目で見て数えるだけでなく、名前を呼んで確かめる方法が想定されています。
1人で送迎に入るときほど、ここを省かない形にしておきます。
よくある質問
Q. 走っている途中で、子どもがシートベルトを外しました。
A. 運転しながら直そうとせず、安全な場所に止めてから対応します。繰り返すときは座る位置や声かけを事業所で決め直します。送迎がきついときの記事にも書いています。
Q. 迎えの時間に遅れそうです。
A. 止まれる場所で止まってから連絡します。遅れを取り戻すために急ぐより、連絡して待ってもらうほうが先です。
Q. 送迎中に保護者から話しかけられて、車を離れられません。
A. 車に子どもが残っているときは、長く話さず「あとで事業所からご連絡します」で切り上げます。送迎で保護者と何を話すかにも型があります。
Q. 送迎中に事故を起こしてしまったら。
A. 子どもの安全の確認、けがの手当て、警察と事業所への連絡が先です。業務中の事故の扱いは送迎がきついときの記事に書いています。
まとめ
この記事のポイント
- ① 1人の送迎は運転中は運転だけ。止まってから対応します。
- ② 出発前に座る位置・乗り降りの順番・車を離れるとき・止まる場所・連絡を決めます。
- ③ 迎え先で車を離れるときは、自分で判断せず事業所の決まりを先に聞く。
- ④ 降りたら点呼と、いちばん後ろの席までの確認。
- ⑤ 「この組み合わせは1人では難しい」は、場面と記録で上げていい。

1人で回るのが不安だったのは、子どもを乗せる重さをちゃんと分かっているからだ。
見ながら運転するんじゃなくて、決めてから走る。
今日のあなたに、はなまる。
出典
こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)」(PDF)
※送迎の人数や座る位置、車を離れるときの決まりは、事業所ごとに決められています。実際の動き方は、勤務先のマニュアルと管理者の指示に合わせてください。
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