放デイの活動がネタ切れ…ネタを増やさずに乗り切る8つの変え方【職員向け】
来週の活動、何にしよう。
先月やったばかりの遊びを、また出すことになりそう。
検索すると「活動ネタ20選」「134選」が並びます。
読んで、いくつかメモして、それでもまた来月には同じところに戻ってきます。
ネタを増やしても、ネタ切れは終わりません。
この記事では、ネタを増やさずに乗り切るやり方を書きます。
先に結論
① ネタ切れの正体は、数が足りないことではありません。
② 良い支援=良いネタ、ではありません。ここが疲れる原因になっています。
③ 遊びはそのままで、条件をひとつ変えるだけで中身が変わります。
④ 変え方は2種類。「足す」は見えるようにするため、「減らす」は参加しやすくするためです。
⑤ どちらも「これをすれば伸びる」という話ではなく、その子の様子を見る場面が作りやすくなるという話です。

来週の活動、まだ決まってなくて。
ネタ探しに時間ばかり使ってる気がします…。

それ、探し方の問題じゃないんだ。
「毎回ちがう活動を用意しなきゃ」と思っていることのほうが、しんどさの原因になってる。
そこから外していこう。
「良い支援をするには、良いネタが要る」は思い込みです
まじめな人ほど、こう考えます。
——ちゃんと療育をしたい。だから毎回、新しい活動を用意しないと。
その気持ちは正しいのですが、結論が1つずれています。
支援の質は、活動の種類の多さだけで決まるものではありません。
国の考え方も、そうなっています
こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)では、支援の基本はその子に合わせて組み立てることだとされています。
求められているのは目新しい活動を次々に出すことではありません。
同じ活動でも、その子のニーズに合わせて組み立て直すほうが、考え方としては近いです。
※詳しい整理は5領域を現場でどう使うかにまとめました。
つまり、ネタが尽きたことは、あなたの力不足ではありません。
増やし続ける前提そのものに無理があります。
ネタ切れの正体は、3つに分かれます
よく見ると、困りごとが違います
- ① 種類が足りない 新しい活動を知らない。→ これは「◯◯選」で解決します。
- ② 同じ活動を続けると飽きる 子どもが乗ってこない。→ これは種類を増やしても、また同じことが起きます。
- ③ その活動に入れない子がいる みんなでやると、入れない子が出てくる。→ これは新しい活動を持ってきても解決しません。
「◯◯選」が効くのは①だけです。
現場で本当に困るのは②と③です。この記事は②と③を扱います。

…たしかに、ネタが増えても「またあの子が入れなかった」は毎回起きてます。

そこなんだ。
入れない理由は、活動が古いからとは限らない。
活動の条件が、その子に合っていない可能性もある。
だったら、活動じゃなくて条件を変えればいい。
条件をひとつだけ変える
やり方は単純です。
いつもの遊びの、条件をひとつだけ変えます。
2種類あります。目的が違うので、分けて考えてください。
【足す】見えるようにするため
- ① 条件を足す 「自由にやる」→「赤いものだけ」「3回だけ」。→ 指示を聞いて、途中で動きを切り替える様子が見えやすくなります。
- ② 順番を作る 「全員同時」→「1人ずつ」。→ 待つ姿、友だちのやり方を見ているか、自分の番が分かっているかが見えやすくなります。
- ③ 役割を作る 全員がプレイヤー→「配る係・数える係・合図する係」。→ プレイヤー以外の入り方が見えます。
- ④ 終わりを先に見せる 始める前に「あと3回で終わり」と伝える。→ 見通しの持ち方と、終わりの受け入れ方が見えやすくなります。
【減らす】参加しやすくするため
- ⑤ 言葉を減らす 説明を短くする。実物を見せる、やってみせる。→ 何なら伝わるのかが分かります。
- ⑥ 選択肢を減らす 「好きなのどうぞ」→「この2つのどっち?」。→ 決めやすくなります。
- ⑦ 待ち時間を減らす 1人ずつ→「2人ずつ同時に」。→ 待てずに崩れる場面が減ります。
- ⑧ 道具・刺激を減らす 音を止める、物を片づける、人数を分ける。→ 落ち着いて取り組みやすい条件になります。
「入れない子がいる」ときは、まず「何を足せばできるか」ではなく「何を減らせば参加しやすくなるか」を考えてみる方法があります。
大事なので、はっきり書きます
これは「この条件にすれば、この力が伸びる」という話ではありません。
できるのは、その子の様子を見る場面を作りやすくすることまでです。
何が育つかは、その子との積み重ねで決まります。
子どもを試すための仕掛けにしないでください。
今日の様子から、変え方を選ぶ
その日の子どもたちを見てから決めると、外しにくくなります。
今日の状態から選ぶ
- 落ち着いて取り組みたい日 → ⑧刺激を減らす/⑥選択肢を減らす/④終わりを先に見せる
- 体を動かしたい日 → ①条件を足す(回数・距離)
- 待つ経験を入れたい日 → ②順番を作る/③役割を作る
- 待ち時間が長くなりやすい日 → ⑦2人ずつにする/③役割を作る
- やり取りを増やしたい日 → ③役割を作る/⑧道具を1人1個から共有にする
- 切り替えを促したい日 → ①条件を足す(合図の色・音)/④終わりを先に見せる
- 入れない子がいる日 → ⑤言葉を減らす/⑥選択肢を減らす/③役割を作る(考え方は活動に入れない子がいるときの記事に)
「これをすれば落ち着く」ではありません。落ち着いて取り組みやすい条件を作る、というだけです。合わない日もあります。

活動を変えなくていいなら、準備がすごく楽になります。

そうだね。
新しい活動を覚えること自体が負担になる子もいる。
その場合は、見慣れた遊びをベースに条件だけ変えるほうが、参加しやすさにつながることもあるよ。
同じ遊びを3回使う
具体的にやってみます。
よくある「新聞紙ジャンプ」を例にします。
1つの遊びを、3週に分けて使う
- 1週目:そのままやる 床に新聞紙を置いて跳ぶ。→ 両足で跳ぶ様子や、新聞紙との距離に合わせて動きを調整する様子が見えやすくなります。
- 2週目:条件を足す 「赤い新聞紙だけ踏む」。→ 色の指示を受け取って行動を切り替える様子や、間違えたあとの反応が見えやすくなります。
- 3週目:順番を作る 「1人ずつ挑戦、ほかの子は数える係」。→ 自分の番を待つ様子、友だちのやり方を見ている様子、役割の引き受け方が見えやすくなります。
準備物は3週間とも同じ、新聞紙だけです。
それでも、見えることは毎週変わります。
もし2週目で崩れたら、条件を足すのをやめて【減らす】に切り替えます。
うまくいかないのは失敗ではありません。
その子には条件が多すぎた、という情報が手に入っただけです。
増やしても尽きるのは、理由があります
ネタを50個ストックしても、半年たつとまた同じ悩みに戻ります。
理由は3つです。
増やす方式が続かない理由
- ① 使えるのは一部だけ 50個知っていても、人数・時間・場所・その日のメンバーに合うのは数個です。使えないものは在庫として持っているだけになります。
- ② 探す時間が毎回かかる 「今日は何を出すか」を毎回ゼロから選び直すので、仕事量が減りません。
- ③ 慣れるほうが速いことがある 新しい活動でも、数回で慣れてしまうことがあります。増やす速度より、飽きる速度のほうが速くなりがちです。
だから在庫を増やすのではなく、1つの活動から取り出せる場面を増やすほうが、続きます。
明日からの1週間、こう組む
実際にやるとき、迷わないための組み方を置いておきます。
1週間の型
- 月:そのままやる いつもの遊びを、いつもどおり。ここは何も変えません。
- 火:ひとつ足す 条件を1つだけ。2つ足さないでください。何が効いたか分からなくなります。
- 水:合わなかったら減らす 火曜に崩れた子がいたら、その子には【減らす】側に切り替えます。
- 木:順番か役割を入れる 人の関わり方を変えます。
- 金:そのままに戻す 最後は安心して終われる形に。週の終わりに難しくしないのがコツです。
※これは一例です。曜日や頻度は、事業所の活動予定と子どもの様子に合わせて調整してください。毎日変える必要はありません。週に1〜2回、条件を変える日を作るだけでも足ります。
やらないほうがいいこと 3つ
ここは気をつけてください
- ① 一度に2つ以上変えない 条件を2つ足すと、何が原因で崩れたのか分からなくなります。変えるのは1回に1つです。
- ② 子どもを試す道具にしない 「この子はどこまでできるか」を確かめるために条件を足すのは、目的が違います。見えるようにするのは、その子を助けるためです。
- ③ 「できた/できない」で終わらせない 条件を変えて何が起きたかを見るのが目的です。できなかった日も、その条件は合わなかったという情報になります。
見えたことを、記録に残す
条件を変えると、記録に書けることが増えます。
いちばん困る「今日も楽しそうに参加していました」から抜け出せます。
書き方の例
- ❌ 「新聞紙ジャンプを楽しんでいました」
- ⭕ 「赤い新聞紙だけ踏む活動では、職員の『赤』の合図を聞いて、該当の新聞紙まで移動し、両足で跳ぶことができた。1回だけ違う色を踏んだが、声をかけると自分で戻った」
- ❌ 「順番を待てました」
- ⭕ 「1人ずつ挑戦する形にしたところ、自分の番まで座って待つことができた。前回は列を離れる場面があった」
事実で書く型は支援記録の例文100選にまとめてあります。
書いた文が主観に寄っていないかは記録チェッカーで確認できます。
よくある質問
Q. 毎回同じ遊びだと、保護者にどう思われますか。
A. 連絡帳に「何をしたか」だけ書くと、同じに見えます。
「今日はここを変えてみました」「こういう様子が見られました」まで書くと、伝わり方が変わります。
Q. 条件を足したら、子どもが怒ってしまいました。
A. その子には条件が多かった、ということです。
次は【減らす】から入ってください。いきなり戻して構いません。
Q. 事業所の活動プログラムが決まっていて、変えられません。
A. 活動そのものを変える必要はありません。
声かけの量、順番、役割なら、その場で調整できることが多いです。
大きく変えたいときは、児発管(児童発達支援管理責任者。支援の計画をつくる責任者)や管理者に相談してください。
Q. 新しいネタも知りたいです。
A. 室内遊びアイデア15に、準備がほぼ要らないものをまとめました。
この記事の変え方と組み合わせると、15個が何通りにもなります。
まとめ
この記事のポイント
- ① ネタ切れの正体は数の不足ではありません。増やしてもまた尽きます。
- ② 良い支援=良いネタ、ではありません。そこを外すと、ずいぶん楽になります。
- ③ 条件をひとつ変える。活動はそのままで構いません。
- ④ 足す=見えるようにするため/減らす=参加しやすくするため。目的が違います。
- ⑤ 「入れない子がいる」に効くのは、ほとんど減らすほうです。
- ⑥ できるのは様子を見る場面を作ることまで。効果を約束するものではありません。

新しいネタを探すのをやめても、支援の質は落ちない。
むしろ、同じ遊びを何度も見ている人のほうが、その子の変化に気づける。
探す時間を、見る時間にまわそう。
今日のあなたに、はなまる。
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