制度・仕組み
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放デイで職員がケガをしたら?労災の考え方と、その場でやるべきこと【職員向け】

daichi

腕にアザができた。引っかかれた傷が、しばらく消えない。

それでも、その場では笑って「大丈夫です」と言ってしまった。

放デイや児童発達支援の現場では、職員がケガをすることがあります。

噛まれる、叩かれる、蹴られる、物を投げられる——特に体の大きい高学年や中学生の力は、大人が思っている以上です。

この記事では、職員自身がケガをしたときにどうすればいいかを整理しました。

その場でやること、記録の残し方、労災(労災保険。仕事中のケガの治療費などが出るしくみ)の考え方、そして「これくらいで」と我慢しないための線引きまで。

先に伝えておきます。あなたがケガをしたことは、あなたの関わり方が下手だったからではありません。

先に、この記事の結論

業務中のケガは、労災保険の対象になり得ます。まず職場に報告してください。

「これくらいで」と黙るのがいちばん危険。小さな傷でも記録に残す。

ケガが繰り返される職場は、あなたの技術ではなく体制の問題です。

わかば
わかば

子どもに蹴られてアザができたんですが、大した怪我じゃないので黙っていました…。
いちいち報告したら、面倒な人だと思われそうで。

だいち
だいち

その気持ちは分かるけど、報告は面倒じゃなくて、必要な手続きなんだ。
あとから痛みが強くなることもあるし、記録がないと後で困るのは自分。
それに、報告が積み重なって初めて職場は「体制を見直そう」と動くんだよ。

業務中のケガは、労災の対象になり得ます

まず、基本的な考え方から。

労災保険は、仕事中や通勤中に起きたケガや病気を補償するための制度です。

支援中に利用者から受けたケガも、業務中の出来事であれば対象になり得ます。

正社員だけの制度ではありません。パート・アルバイトも含め、雇用されて働いている人が対象になるのが原則です。

ただし、実際に認定されるかどうかは個別の状況によって判断されます。

だからこそ、自己判断で「これは対象外だろう」と決めてしまわないことが大切です。

判断するのはあなたではなく、労働基準監督署です。

「たぶん認められないだろう」と自分で結論を出して報告しないと、認められたはずの補償まで失うことになります。

制度の詳しい内容や手続きは、厚生労働省や労働基準監督署の案内で確認してください。

ケガをしたら、その場でやる4ステップ

実際にケガをしたときの動き方です。

ケガをしたときの4ステップ

  • ①その場で応急処置をする(噛まれた・引っかかれた場合は流水で洗う)
  • ②その場ですぐ職場に報告する(後回しにしない)
  • ③写真と記録を残す(傷の状態・日時・場面)
  • ④痛みや腫れがあれば受診する。受診時に「仕事中のケガ」と伝える

②を後回しにしないでください。

「帰る前に言おう」と思っているうちに、言いそびれるのが典型的なパターンです。

その場で「今、噛まれました」と一言伝えるだけで構いません。

忙しい場面なら、落ち着いてから改めて伝えれば大丈夫です。大事なのは、その日のうちに伝えることです。

④の「仕事中のケガ」と伝えることが、実務上とても重要です。

これを伝えずに健康保険で受診すると、後から切り替えの手続きが必要になり、かえって面倒になることがあります。

噛まれた場合の具体的な応急処置は、放デイで子どもに噛まれたら?応急処置と心のケアにまとめてあります。

▶ その場の応急処置に使うものの例

事業所の救急箱が基本です。中身が切れていることもあるので、確認しておくと動きやすくなります。

▶ 放デイ職員の道具一覧|用途べつにまとめました

※Amazonのアソシエイトとして、支援員のミカタは適格販売により収入を得ています。

「これくらいで」と言えない3つの理由と、その誤解

多くの職員が報告をためらいます。理由はだいたいこの3つです。

報告をためらう3つの理由

  • ①こんな小さなケガで騒ぐのは大げさだと思う
  • ②その子が悪者にされるのが嫌だ
  • ③職場に迷惑をかけたくない

①について。小さく見えるケガでも、翌日に腫れたり、痛みが強くなったりすることがあります。

それに、記録があることで初めて「この現場では月に何件起きているのか」が見えるようになります。

②について。これがいちばん多い理由かもしれません。

でも、報告は「その子を責める手続き」ではありません。

その子がなぜその行動に至ったのか、どうすれば防げたのか——支援を見直すための情報です。

報告しないということは、その子の支援を改善する機会を失うということでもあります。

③について。職員のケガを把握できていない職場のほうが、後で大きな問題になります。

報告は迷惑ではなく、職場のリスク管理に必要な情報です。

もし報告して嫌な顔をされるなら、それは報告した側ではなく、受け取る側の問題です。

記録に残しておくこと

あとで自分を守るのは、記録です。

残しておきたい記録

  • 日時・場所・そのときの職員数と子どもの人数
  • 何が起きたか(事実のみ。感情や推測は分けて書く)
  • 傷の写真(受傷直後と、翌日以降の変化)
  • 誰に報告したか、その反応
  • 受診した場合は、受診日と医療機関名

スマホのメモで構いません。日付と数行あれば十分です。

特に「誰に報告したか」を残してください。

後になって「聞いていない」という話になったとき、記録があるかどうかで立場がまったく変わります。

これは職場を疑うためではなく、記憶が曖昧になるのを防ぐためです。

何ヶ月も経ってから「あれはいつだったか」を思い出すのは、想像以上に難しいものです。

会社が消極的なときは

残念ながら、労災の手続きに消極的な職場も存在します。

「これくらいなら健康保険で」「大げさにしないで」と言われるケースです。

知っておいてほしいのは、労災の請求は、働く本人が行える手続きだということ。

会社が協力してくれない場合でも、労働基準監督署に相談することができます。

窓口では、あなたの状況で何ができるかを教えてもらえます。相談は無料です。

また、労働条件全般については労働局の総合労働相談コーナー(無料)も利用できます。

「会社に悪いから」と我慢して、治療費を自分で払う必要はありません。

だいち
だいち

労災を使うと会社に迷惑がかかる、と思っている人は多いんだけど、労災保険はそのためにある制度なんだ。
使うことで職員が守られ、職場も体制を見直すきっかけになる。
むしろ、隠して無かったことにするほうが、次の誰かが同じケガをする原因になるんだよ。

心の不調も、放っておかないでください

ケガは体だけとは限りません。

暴言を浴び続けた、繰り返し叩かれた——そういう経験が積み重なると、心のほうが先に限界を迎えることがあります。

心のサインが出ていたら

  • その子の顔を見ると体がこわばる
  • 出勤前に動悸がする、涙が出る
  • 2週間以上、眠れない・食欲がない状態が続いている

こうした状態が続く場合は、早めに医療機関に相談してください。

業務が原因の心身の不調についても、労災の対象となる場合があります。

判断は個別なので、労働基準監督署や医療機関に相談するのが確実です。

公的な相談先としては、厚生労働省の「こころの耳」もあります。

「体の傷は見えるけれど、心の傷は見えない」——だからこそ、自分で言葉にすることが必要です。

「これくらいで休むなんて」と思う必要はありません。積み重なった消耗は、本人にしか分からないからです。

ミニ相談室:ケガをめぐるモヤモヤ

わかば
わかば

アザができる程度の暴力が日常的にあります。でも「その程度」で騒ぐのは違う気がして…。

だいち
だいち

「その程度」の基準を、自分で下げていないかを確認してほしい。
最初は驚いていたことが、半年で当たり前になる——現場ではよく起きることなんだ。
基準がずれていないかを測る方法は簡単。「これが家族の身に起きたら、どう思うか」で考えてみて。それが本来の基準だよ。

わかば
わかば

高学年の男の子で、力が強くて本気で怖いです。私が対応するのが無理なんでしょうか。

だいち
だいち

無理なんじゃなくて、体格差のある相手に一人で対応する体制のほうが無理なんだ。
これは技術より配置の問題。「この子の対応は2人体制にしてほしい」と伝えていい案件だよ。
それでも変わらないなら、職員の安全を軽く見ている職場ということになる。

わかば
わかば

同じ職場で労災が続いています。これって普通ですか?

だいち
だいち

普通じゃないよ。労災が繰り返される職場には、構造的な原因があることが多い。
人員が足りない、危険な場面が予測できていない、報告しても対策が取られない——このあたりが多いね。
そして怖いのは、そういう職場ほど「慣れれば大丈夫」と言いがちなこと。慣れてはいけないものに慣らされていないか、一度立ち止まってほしい。

ケガが続く職場は、体制の問題です

最後に、いちばん伝えたいことを書きます。

子どもが職員に手を出してしまうこと自体は、支援の現場で起こり得ることです。

問題は、それが繰り返されているのに、体制が何も変わらないことです。

職員の安全が守られていない職場のサイン

  • ケガの報告をしても、対応や配置が変わらない
  • 「慣れれば大丈夫」「あなたの関わり方の問題」と言われる
  • 危険が予測される場面でも、常に1人で対応させられる
  • 労災の手続きに職場が消極的
  • 同じ理由で辞めていく職員が続いている

こうした職場で「自分がもっとうまくやれば」と考え続けるのは、危険な方向のがんばりです。

技術で防げるケガもありますが、体制でしか防げないケガもあります。

その2つを混同すると、いつまでも自分を責め続けることになります。

あなたが安全でなければ、子どもの安全も守れません。

恐怖を抱えたまま現場に立つと、判断が鈍り、結果として支援の質も落ちてしまいます。

職場そのものの見極めは職員がすぐ辞める職場の特徴7つで採点できます。

① 業界内で、職場だけ変える。

子どもと関わる仕事は続けたい人の道です。同じ放デイでも、職員の安全への配慮はまったく違います。

▶ ハローワークインターネットサービス(公的機関・無料)

※在職中でも使えます。地域の求人を自分の目で見られます。

② 業界の外を見てみる。

身体的な負担そのものから離れたいと感じているなら、外を知ってから決める道もあります。

福祉の外も、見てみたい人へ

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※20代・正社員未経験の方向けのサービスです。相談=転職ではありません。比べる材料を増やすつもりで大丈夫です。

よくある質問

Q. パートやアルバイトでも労災は使えますか。

雇用されて働いている人であれば、雇用形態にかかわらず対象になるのが原則です。

自分が対象かどうか不安な場合は、労働基準監督署に確認してください。

Q. 通院の交通費や休んだ分の給料はどうなりますか。

労災と認定された場合、療養や休業に関する給付の仕組みがあります。

ただし内容と条件は個別に判断されるため、具体的な金額や手続きは労働基準監督署に確認するのが確実です。

Q. 子どもに責任を問うことになりませんか。

労災は、働く人の補償のための制度です。子どもや保護者に賠償を求める手続きとは別のものです。

報告や記録は、その子を責めるためではなく、支援と体制を見直すために使われます。

この記事のまとめ

①業務中のケガは労災の対象になり得る。雇用形態を問わず、まず職場に報告する。

②その場で4ステップ=応急処置・即報告・記録と写真・受診時に「仕事中のケガ」と伝える。

③「これくらいで」と黙ると、支援を見直す機会も、自分を守る記録も失われる。

④会社が消極的でも、本人が労働基準監督署に相談できる。

⑤ケガが繰り返される職場は体制の問題。あなたが安全でなければ、子どもも守れない。

だいち
だいち

今日のあなたに、はなまる
痛い思いをしても、その子を嫌いにならずにいるあなたへ。
その優しさを続けるためにも、自分の体と心は守ってください。
今日もおつかれさまでした。

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