制度・仕組み
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放デイの実地指導(運営指導)で職員は何を聞かれる?答え方3つと、指摘されたあとの話【職員向け】

daichi

事業所に通知が来てから、朝礼の空気が変わった。

先輩たちが書類の話をしている。

管理者は前より早く来て、遅く帰っている。

自分には「当日はいつもどおりでいてください」としか言われていない。

——いつもどおりって、何。

もし自分が何か聞かれて、答えられなかったら。

それで事業所が指摘を受けたら、自分のせいになるんじゃないか。

検索しても出てくるのは、必要書類・人員配置・算定要件——事業者向けの記事ばかりです。

この記事は、職員の側から書きます。

先に結論

① 指導の相手は事業者です。国のマニュアルには「事業所の管理者などから説明を受ける」と書かれています。

② 職員に聞かれるのは書類の中身ではなく、「日頃どうしていますか」です。

③ 分からないことは「確認します」で構いません。その場で作らないでください。

④ 指摘は事業所に対するものです。職員個人への処分ではありません。

⑤ 担当者が高圧的な態度をとることは、マニュアルで禁じられています。

わかば
わかば

だいち先生、来月うちに実地指導が来るんです。
私、何を聞かれるんでしょうか…。
答えられなかったらどうしよう。

だいち
だいち

まず、いちばん大事なところから。
あれは事業所に来るもので、きみを試しに来るものじゃない。
それを知っているだけで、当日の立ち方が変わるよ。

まず、名前の話をします

検索するときは「実地指導」で出てきます。

ただ、国の資料での正式な呼び方は「運営指導」です。

いちばん新しい資料は、厚生労働省の「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル(令和8年6月)」です。

そこでは、運営指導について「原則、実地に行うもの」と説明されています。

つまり「実地でやる指導」だから実地指導、という呼び方が現場に残っているだけで、別のものではありません。

通知の文書に「運営指導」と書いてあっても、身構えなくて大丈夫です。

指導は2種類あります

集団指導 自治体が複数の事業所を集めて、制度の説明などを行うもの。

運営指導 事業所ごとに、原則として事業所に来て行うもの。今回の話はこちらです。

マニュアルでは、この2つは「指導という車の両輪」と説明されています。集団指導で伝えた内容が現場に届いているかを確かめる機会が、運営指導という位置づけです。

誰が説明するのか。職員はどこにいるのか

ここが、いちばん誤解されているところです。

マニュアルには、こう書かれています。

マニュアルの記述

「基本的には、本マニュアルで定められた『確認項目及び確認文書』に基づき、障害福祉サービス事業所の管理者などから各確認項目について、確認文書を見ながら説明を受けることになります」

説明する側は管理者などです。書類を出して、順に説明していくのは管理者の仕事です。

では職員は何をするのか。

マニュアルには、確認項目を補完するヒアリングの例が載っています。

補完、という言葉のとおりです。

職員は主役ではありません。

わかば
わかば

じゃあ、私は書類の中身を覚えなくていいんですか。

だいち
だいち

覚えなくていい。
というより、覚えているふりをするほうが危ない。
聞かれるのは書類の中身じゃなくて、きみが毎日やっていることだから。

職員に聞かれるのは、こういうことです

マニュアルに載っている質問の例を、そのまま並べます。

読むと分かりますが、どれも書類の暗記では答えられません。

利用者について聞かれること(マニュアルの例)

  • 利用者/入所者の日頃の様子はいかがですか
  • 利用者/入所者の希望はどのように確認していますか
  • アセスメント(利用者の状態や希望を把握すること)はどのように行っていますか。どのような時に行っていますか
  • サービス計画にある目標の達成状況を、どのように確認していますか
  • 定期的にモニタリング(計画どおり進んでいるかを見直すこと)を行っていますか

「本人の意思を確認する工夫をしているか」という着眼点も書かれています。

発言が出にくい方に選択式で質問する、目の動きや手に込められる力で確認する——

こうした例がマニュアルに挙げられています。

運営について聞かれること(マニュアルの例)

  • 職員の中で、法人の他の部署と兼務している方はいますか
  • 非常災害に備え、どのような訓練を行っていますか
  • 利用者/入所者の秘密保持について、従業員にどのような形で誓約をさせていますか
  • 苦情をどのように受け付けていますか

並べてみると、聞かれているのは「日頃どうしていますか」だけです。

正解を暗記していく試験ではありません。

答え方は、3つだけです

この3つで足ります

  • ① 見たこと・やっていることを、そのまま言う うまく言おうとしなくて大丈夫です。「◯◯のときは、□□しています」で足ります。
  • ② 分からないことは「確認します」 これがいちばん大事です。その場で作らないでください。
  • ③ 良く見せようとしない やっていないことを「やっています」と言うと、確認文書と食い違います。食い違いのほうが問題になります。

「分かりません」は減点ではありません。

知らないことを知っているように答えるほうが、事業所を危なくします。

わかば
わかば

「確認します」って言っていいんですね。
知らないと怒られると思ってました…。

だいち
だいち

むしろそれが正解。
きみが答えるべきなのは、きみが知っていることだけ。
制度の解釈や書類の話は、管理者と児発管の担当だ。

これは行政指導です。処分ではありません

ここは、知っているかどうかで当日の緊張がかなり変わります。

運営指導は、法律上行政指導にあたります。

行政指導とは(マニュアルの記述)

「行政指導は、法律上の拘束力を有する手段によってその内容を実現しようとする行政処分とは異なり、あくまで相手方の任意の協力によってのみ実現されるものです」

さらに、行政機関は行政指導に従わなかったことのみを理由として、相手方に不利益な取扱いをすることはできないとされています(行政手続法第32条第2項)。

根拠は行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号です。

そして、相手方は事業者です。

あなた個人ではありません。

担当者がやってはいけないことも、決まっています

これもマニュアルに明記されています。

運営指導の担当者が行ってはいけないこと

  • 高圧的な言動
  • 担当職員の主観に基づく指導
  • 前回の指導内容と根拠なく大きく異なる指導
  • 事業者側に負担を強いる指導

さらに、文書での指摘も口頭での指摘も、法令等の具体的かつ直接的な根拠が必要とされています。

「なんとなく良くない」で指摘されることはありません。

怖い人が来て一方的に責められる、という場ではありません。

もし当日そう感じたら、それはマニュアルの想定から外れています。

指摘されたら、どうなるのか

指摘は2種類に分けて運用されています。

指摘の2種類

  • 文書指導(文書指摘) 法令や基準に違反している場合。改善期限を定めて、改善報告書の提出を求められます。
  • 口頭指導(口頭指摘) 違反はあるが、程度が軽いなどの場合。改善報告は不要です。

どちらも根拠の提示が必要です。

改善報告書を出すのは、事業者です

マニュアルには、改善報告書に書くべきことが決められています。

・どのような改善を行ったのか(具体的な内容)

・完了していない場合は「いつまでに何を行うのか」を明確に示すこと

そして「努力します」などの抽象的な表現は認められませんと書かれています。

これは事業所が出す書類です。職員個人が処分される仕組みではありません。

ヒヤリハットについて、知っておくといいこと

マニュアルに、職員にとって心強い記述があります。

事故防止の項目で、こう書かれています。

マニュアルの記述

ヒヤリハット報告の仕組みがあっても、従業者が報告をためらう場合など、有効に機能していない場合は、報告を行った従業者が評価されるなど、インセンティブが働く仕組みづくりを指導することが必要とされています。

読み方を変えます。

「書いたら責められる」職場のほうが、指摘される側です。

書きにくいと感じているなら、それはあなたの問題ではありません。

ヒヤリハットの書き方は別の記事にまとめています。

前日までに、職員ができること

特別な準備は要りません。

やるとしたら、この3つです。

前日までの3つ

  • ① 自分が書いた記録を、いくつか読み返す 何を書いたか思い出しておくだけで、当日の答えが出やすくなります。
  • ② 日頃やっていることを、一度言葉にしてみる 「声かけはどうしていますか」に、いきなり答えるのは難しいものです。頭の中で1回やっておくと違います。
  • ③ 分からないことを、先に聞いておく 当日より前に管理者に聞けば、それは準備です。

やってはいけないのは、記録をさかのぼって書き足すことです。

事実でないことを書き足すのは、記録の改ざんにあたります。

空欄があるなら、空欄のままにしてください。

よくある質問

Q. 当日は休んだほうがいいですか。

A. 通常どおりで構いません。シフトは事業所が決めます。休むよう指示があった場合はそれに従ってください。自己判断で休む必要はありません。

Q. 答えられなかったら、怒られますか。

A. マニュアルでは、担当者の高圧的な言動は禁じられています。分からないことは「確認します」と答えてください。それが正しい対応です。

Q. 記録に書き漏れがあるのを知っています。今から足していいですか。

A. 足さないでください。 あとから事実でないことを書き足すのは改ざんです。書き漏れがあることは、管理者に伝えておくほうが安全です。

Q. パートやアルバイトも対象ですか。

A. 補完のヒアリングは、その場にいる職員に向けられることがあります。雇用の形で分かれるものではありません。答え方は同じで大丈夫です。

Q. 利用者さんがいる前で聞かれることはありますか。

A. 進め方は自治体と事業所によって異なります。マニュアルでは、事業者の理解と同意を前提に柔軟に選択・配慮することが求められるとされています。

Q. うちの事業所は何を準備すればいいですか。

A. 準備するものは、確認項目と確認文書に沿って自治体から示されます。職員が判断するものではないので、管理者の指示に従ってください。

まとめ

この記事のポイント

  • ① 正式な呼び方は運営指導。実地指導と別のものではありません。
  • ② 説明するのは管理者など。職員は補完のヒアリングに答える立場です。
  • ③ 聞かれるのは書類ではなく「日頃どうしていますか」。
  • ④ 分からないことは「確認します」。その場で作らないでください。
  • ⑤ 運営指導は行政指導。行政処分とは異なり、任意の協力で実現されるものです。
  • ⑥ 担当者の高圧的な言動は禁じられています。指摘には根拠の提示が必要です。
  • ⑦ 改善報告書を出すのは事業者。職員個人への処分ではありません。
  • ⑧ 記録をさかのぼって書き足さないでください。
だいち
だいち

通知が来ただけで不安になるのは、ちゃんと仕事をしている人だ。
どうでもいい人は、そもそも心配しない。
当日は、いつもの自分でいれば足りる。
今日のあなたに、はなまる。

出典

厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル(令和8年6月)」(PDF)

行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号・第32条第2項

※実施方法・確認項目・進め方は自治体によって異なります。実際の運用は、勤務先と自治体の情報で確認してください。

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