活動で盛り上がりすぎて戻れない…興奮は「終わり方」の問題|下げる3段階と静かな活動の挟み方
盛り上がった。いい活動だった。
——はずが、終わったあとも部屋が静まらない。
走り回る。叫ぶ。声をかけても届かない。
次の活動に移れないまま、時間だけが過ぎていく。
この記事では、興奮を止める方法ではなく、上がりきる前に下げる組み方をまとめます。
先に結論
① 盛り上がりすぎは、子どもの問題より活動の終わり方の話として見ます。
② 上がりきってから止めるのは大変です。終わる前から下げ始めます。
③ 下げ方は動きの大きさを3段階で落とすこと。
④ 終わりの合図は、活動が始まる前に決めておきます。
⑤ 次が静かな活動なら、間に1つ挟みます。

だいち先生、ドッジボールのあと、部屋に戻っても全然静まりません。
楽しい活動はやめたほうがいいんでしょうか。

やめなくていいよ。
問題は活動の中身じゃなくて、終わり方だ。
全力で走ったあと、いきなり「座って」は無理がある。
盛り上がりすぎは「失敗」ではない
楽しい活動のあとに落ち着かないのは、活動がうまくいった証拠でもあります。
困るのは、次の予定に間に合わないこと。
それと、ぶつかる・転ぶなどが増えることです。
つまり、盛り上がりを減らすのではなく、下がる時間をつくるのが本題になります。
国の放課後等デイサービスガイドラインには「興奮」「クールダウン」という言葉は出てきません。
かわりに、環境を整えることについて次のように書かれています。
ガイドラインの記述
「発達障害のあるこどもに対しては、予定等の見通しをわかりやすくすることや、感覚の特性(感覚の過敏や鈍麻)に留意し、安心できる環境づくりが必要である」
「知的障害のあるこどもに対しては、活動内容や環境の設定を創意工夫し(中略)ゆとりや見通しをもって活動に取り組めるよう配慮する」
こどもが生活する空間として「静かな遊びのできる空間」を工夫して確保することが必要とされています。
見通しと、静かな場所。この2つが、そのまま今日の打ち手になります。
動きの大きさを3段階で下げる
いちばん効くのは、活動の順番を組み替えることです。
大 → 中 → 小
- 大:全身で動く 鬼ごっこ、ドッジボール、リレー。
- 中:立っているが移動は少ない 風船バレー、的当て、その場でのじゃんけんゲーム。
- 小:座ってやる カードゲーム、ぬり絵、工作、読み聞かせ。
大のあとに小を置かず、間に中を1つ入れます。5分でも違います。
時間がないときは、同じ活動の中で段階を下げる手もあります。
同じ活動のまま下げる
- 人数を減らす 最後の1回は半分ずつにして、見る側をつくります。
- ルールを小さくする 「歩いてやる」「声は出さない」など、条件を1つ足します。
- 道具を片づけながら終わる 片づけ自体を最後の活動にすると、動きが自然に小さくなります。
活動の条件を変える考え方は足すと減らすにまとめています。

盛り上がっている途中で止めると、ブーイングが出そうです。

だから終わりを先に言っておくんだ。
「あと3回で終わり」を、盛り上がる前に言う。
途中で言うと、取り上げられた感じになる。
終わりの合図は「始まる前」に決める
決めておく3つ
- いつ終わるか 時間ではなく回数のほうが分かりやすいことがあります。「あと3回」「1人2回まで」。
- 何で知らせるか タイマー、音、手を挙げる。毎回同じものにします。
- 終わったらどこに行くか 「終わったら自分の席」まで決めておくと、迷う時間が減ります。
合図を毎回変えると、合図として働きにくくなります。
残り時間を目で見える形にする道具は、
道具一覧にまとめています。
静かな活動を1つ挟む
次が宿題や連絡帳など静かなものなら、間に1つ挟みます。
挟みやすいもの
- 水を飲む 全員が座って、同じ動作をします。並ぶ場所を決めておきます。
- 片づけ 役割を分けて渡すと、動きながら落ち着いていきます。
- 読み聞かせ 声のトーンを下げる効果があります。短いもので十分です。
- 座ってできる手遊び だんだん小さい声にしていく形にします。
活動のストックは療育の活動アイデア32から、準備と人数でしぼって探せます。
それでも戻らない子がいるとき
全体が落ち着いても、1人だけ切り替わらないことがあります。
そのときは、全体の進行とその子を分けます。
分けて動く
- 全体は進める 止めて待つと、注目が集まって長引くことがあります。
- 1人つく 声をかけ続けるより、近くにいて待つほうが短く済むことがあります。
- 場所を変える 刺激の少ない場所に移ります。ガイドラインでも「静かな遊びのできる空間」の確保が挙げられています。
どこで待つかの決め方はクールダウンの場所にまとめています。
記録に残すこと
書き方の例
- 「ドッジボールのあと、風船バレーを5分入れた。部屋に戻る時間は前回より早かった」
- 「『あと3回』を先に伝えた日は、終わりの場面で抗議が出なかった」
- 「大きく動く活動のあとに読み聞かせを入れた。座って聞いていた」
活動の順番と、そのときの様子をセットで残すと、次の組み方に使えます。
記録の言い回しは支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. 楽しい活動を減らしたほうがいいですか。
A. 減らす必要はありません。減らすのではなく、後ろに下げる活動を足すほうが、現場としては楽になります。
Q. 時間がなくて、間に挟む活動が入れられません。
A. 片づけを最後の活動にします。時間を新しく取らずに、動きの大きさだけ下げられます。
Q. 「静かにして」と言っても届きません。
A. 声の大きさで勝とうとすると、部屋全体の音が上がることがあります。手を挙げる、明かりを一度落とすなど、音以外の合図に変えてみてください。
Q. 帰りの時間が迫っているときはどうしますか。
A. その日は順番を変えるより、活動を1つ短くします。終わりが押すと、そのあとの送迎まで慌ただしくなります。
Q. 毎回同じ子が走り回ります。
A. その子の課題として書く前に、活動の順番と場所を見ます。変えた条件と様子を記録に残して、児発管に相談してください。
まとめ
この記事のポイント
- ① 盛り上がりすぎは終わり方の話として見ます。
- ② 上がりきる前に、動きの大きさを大→中→小で下げます。
- ③ 終わりの合図は始まる前に決めて、毎回同じものを使います。
- ④ 次が静かな活動なら、間に1つ挟みます。
- ⑤ 1人だけ戻らないときは、全体と分けて動きます。

部屋が静まらないと焦るのは、次の時間も大事にしたいからだ。
活動をつまらなくする必要はない。
下りる道を1本つけておけば、それで足りる。
今日のあなたに、はなまる。
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