また「噛まれるかも」が怖い…距離を戻す4段階と、一人で戻さないための伝え方【放デイ職員向け】
あの子が近づいてくると、体がこわばる。
傷はもう治ったのに、同じ距離に入るのが怖い。
怖がっている自分が、職員として情けない気もする。
この記事は、怖さを消そうとせずに、距離だけ戻していくやり方を書きます。
先に結論
① 怖いのは気持ちの弱さではなく、体が覚えているからです。
② 距離は4段階に分けて戻します。いきなり元に戻しません。
③ 一人で戻さない。担当を一時的に替えるのは、事業所の仕事です。
④ 怖さは、言葉にして共有するほうが早く軽くなります。
⑤ 前の場面を分解して記録に残すと、次の予測がつきます。

噛まれてから、あの子の近くに行くのが怖くなってしまって。
こんなことで怖がる自分が嫌です。

それは、体が先に反応しているだけだよ。
気持ちで直そうとしないで、距離のほうを段階に分けよう。
① 怖いのは、体が覚えているから
痛い思いをしたあと、同じ場面で体がこわばるのは自然な反応です。
よくある出方
- その子が視界に入ると、肩と腕に力が入る。
- 近づかれると、無意識にあとずさりする。
- 勤務前の日に、その場面を思い出す。
- 他の子への声かけまで固くなる。
どれも、あなたの向き不向きの話ではありません。
反応が出ている、というだけです。
そして、この反応は子どもに伝わります。
だから「怖がらないようにする」ではなく、怖くならない距離から始めるほうが結果的に早く戻ります。
噛まれた直後の手当てや気持ちの整理は、子どもに噛まれたら?にまとめています。
② 距離を戻す4段階
いきなり元の関わりに戻すと、こわばりが相手にも伝わって、同じ場面が起きやすくなります。
この順番で戻す
- 1段階目=同じ空間にいるだけ。関わらず、別の子と過ごします。
- 2段階目=横に座る。正面に立たず、視線も合わせすぎません。
- 3段階目=道具をはさむ。ボール、カード、机など、間に物がある関わりにします。
- 4段階目=手が届く関わり。着替えや手洗いなど、短い場面から戻します。
1段階に何日かけても構いません。
戻れた日ではなく、こわばらなかった日を基準にします。
途中でこわばりが出たら、1つ前に戻します。
戻すことは失敗ではありません。
③ 一人で戻さない
ここがいちばん大事なところです。
段階を戻すあいだ、担当を替えるのは自然なことです。
職員の安全に配慮することは、法律に書かれています。
労働契約法 第五条(労働者の安全への配慮)
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
つまり、担当を替える・2人で入る・場面を分けるといった調整は、事業所の側が考えるものです。
あなたが我慢して埋めるものではありません。
管理者への伝え方
- 「先週の場面のあと、まだ近づくときにこわばります。」
- 「しばらく、正面での関わりは別の職員にお願いできますか。」
- 「同じ空間にはいます。段階を分けて戻したいです。」
辞めたい・外してほしい、ではなく「段階を分けたい」と言うと、話が早く通ります。
④ 怖さを言葉にして共有する
黙っていると、周りからは「関わりが減った」としか見えません。
誤解が重なると、もっと言いにくくなります。
共有する中身
- どの場面でこわばるか(時間帯・活動・人数)。
- いま何段階目にいるか。
- どこまで戻したいか。
気持ちではなく、段階の言葉で共有すると、周りも動きやすくなります。
記録に1行残しておくと、翌日の職員が同じ配置を組めます。
書き方は支援記録の書き方 例文100選が使えます。
誰にも言いにくいときは、相談できる先輩がいないに、相手を4つに分ける方法があります。
⑤ 前の場面を分解して残す
怖さが続くのは、次がいつ来るか分からないからです。
予測がつくと、怖さの量が減ります。
分解して書く4つ
- 時間帯=来所直後か、活動中か、帰る前か。
- 場所=人が多い部屋か、狭い場所か、外か。
- 直前にあったこと=予定が変わった、順番を待っていた、音が大きかった。
- 前ぶれ=声が小さくなった、手が止まった、同じ言葉を繰り返した。
4つがそろうと、危ない場面と安全な場面が分かれてきます。
分かれた分だけ、こわばる場面は減ります。
ヒヤリハットに残すときは、反省文にしない書き方があります。
ヒヤリハットの書き方の4項目が参考になります。
⑥ ケガをしていたときの扱い
噛まれて受診した場合、仕事中のケガとして扱われることがあります。
自分で立て替えたまま終わらせないように、事業所に報告しておきます。
考え方は職員がケガをしたら?にまとめています。
よくある質問
Q. 怖いと言ったら、向いていないと思われませんか。
A. 「怖い」ではなく「段階を分けたい」と伝えれば、調整の相談になります。中身は同じです。
Q. その子に嫌われたのでしょうか。
A. 噛むという行動は、嫌いという意味とは限りません。困っている合図として出ることもあります。原因を1つに決めないほうが、次の予測が当たります。
Q. 何日で戻るのが普通ですか。
A. 日数の目安はありません。段階が1つ進んだかどうかで見ます。
Q. 戻らないまま時間がたっています。
A. 戻さない選択もあります。担当の組み方を変えたまま働き続けている人はいます。
Q. 他の職員は平気そうに見えます。
A. 見えないだけのことがあります。段階の言葉で話すと、同じ話が出てくることがあります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 怖さは体の反応。弱さではない。
- ② 距離は同じ空間→横→道具越し→手の4段階で戻す。
- ③ 一人で戻さない。調整は事業所の仕事。
- ④ 段階の言葉で共有する。
- ⑤ 前の場面を4つに分解して残す。

怖いと思えるのは、危ないところがちゃんと見えているからだよ。
距離は、少しずつでいい。
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