遊びのルールが伝わらない…伝え方の前に「数」を減らす|1つずつ足す進め方と崩れたときの戻し方
ルールを説明した。みんなうなずいた。
始めた瞬間、誰も守っていない。
「さっき言ったよね」と止めるたびに、遊びが途切れる。
最後は、遊びより注意のほうが多くなっている。
この記事では、伝え方を変える前に、ルールの数を減らすやり方をまとめます。
先に結論
① 伝わらないときは、伝え方より先にルールの数を見ます。
② 最初は1つだけ。守れたら足していきます。
③ 説明より見本。やって見せてから始めます。
④ 崩れたときの戻し方を、始める前に決めておきます。
⑤ ルールは、子どもと一緒に作ることもできます。

だいち先生、ルールを3回説明したのに、始めたら全然守られませんでした。
説明のしかたが下手なんでしょうか。

3回説明したなら、伝え方の問題じゃないかもしれない。
覚えることが多すぎるんじゃないかな。
ルールは、バリアになることがある
守れないルールが並んでいると、参加そのものが難しくなります。
国の放課後等デイサービスガイドラインには、合理的配慮についてこう書かれています。
ガイドラインの記述
「物理的な環境や意思疎通、ルールや慣行など、何が障害のあるこどもの活動を制限する社会的なバリアとなっているのか、また、それを取り除くために必要な対応はどのようなものがあるか、などについて検討していくことが重要である」
ルールそのものが、活動を制限する側になることがある。
そう書かれている、ということです。
だから、まず見るのは子どもの理解ではなくルールの数になります。
数え方
- 自分が説明した内容を、文の数で数えます。「〜したら〜」も1つです。
- 3つを超えていたら、その場では多いと考えます。
- 安全にかかわるもの以外は、あとから足せます。
最初は1つから足す
ガイドラインには、遊びの段階についてこう書かれています。
ガイドラインの記述
「周囲にこどもがいても無関心である一人遊びの状態から並行遊びを行い、大人が介入して行う連合的な遊び、役割分担したりルールを守って遊ぶ協同遊びを通して、徐々に社会性の発達を支援する」
ルールのある遊びは、段階のいちばん後ろにあります。
いきなりそこから始めない、という順番が示されています。
足し方の例(いすとりゲーム)
- 1回目 「音が止まったら座る」だけ。いすは人数ぶん用意します。
- 2回目 いすを1つ減らします。座れなかった人がどうするかは、その場で決めます。
- 3回目 「座れなかったら応援する係」を足します。
最初から全部そろえず、1回ごとに1つ足します。
活動の条件を1つずつ動かす考え方は足すと減らすにまとめています。

物足りなく見えませんか。

崩れて止まるより、簡単でも最後まで続くほうが楽しいよ。
足りなかったら、子どものほうから「もっと難しくして」と言ってくる。
説明より、見本
聞いて覚えるのが難しい場面では、言葉を増やしても届きにくくなります。
ガイドラインの記述
「発達障害のあるこどもに対しては、予定等の見通しをわかりやすくすることや(中略)具体的又は視覚的な手段を用いながら、活動や場面の理解を促すことや、人と関わる際の具体的な方法や手段を個々の特性に応じて身に付けることが必要である」
見せ方
- 職員2人でやって見せる 説明の前に、1回やります。見てから聞くほうが入りやすいことがあります。
- 1回お試しをする 「今のは練習」と伝えて、本番前に1回まわします。
- 絵か写真にする ホワイトボードに、やることを1つだけ大きく書きます。
- やらないことより、やることを言う 「走らない」より「歩く」。
崩れたときの戻し方を、先に決めておく
崩れること自体は起きます。
問題は、崩れてから考え始めることです。
先に決めておく3つ
- 止める合図 笛、手を挙げる、音楽を止める。毎回同じものにします。
- 戻る場所 「いったん壁のところに集合」と決めておきます。
- やり直すか、変えるか 同じルールでもう1回やるのか、ルールを1つ減らすのか。その場で迷わないよう、基準を持っておきます。
「今日は難しかったから、次は1つ減らそう」と言えると、失敗として終わりません。
言い合いに発展したときの入り方はこの記事にあります。
盛り上がりすぎて戻れないときはこの記事にまとめています。
ルールは、一緒に作れる
ガイドラインには、こども自身が参画することについて、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「こどもとともに活動を企画したり過ごし方のルールをつくったりするなど、こどもが主体的に参画できる機会を設け、こどもが意見を表明しやすい環境づくりを行いながら、こどもとともに活動を組み立てていく取組を行っていく」
やり方
- 1つだけ聞く 「どうしたら全員できると思う?」を、遊びの前か、崩れたあとに聞きます。
- 出た案をそのまま試す うまくいかなくても、試したこと自体が次につながります。
- 決まったことを書き出す ホワイトボードに残すと、次回そのまま使えます。
活動に入れない子がいるときの考え方はこの記事に書いています。
記録に残すこと
書き方の例
- 「いすとりゲーム。ルールを『音が止まったら座る』の1つにしたところ、最後まで参加した」
- 「2回目に『座れなかったら応援』を足した。応援の場所を決めたら、列から離れなかった」
- 「ルールを子どもと決めた日は、守れなかった子に周りが声をかける場面があった」
ルールをいくつにしたか、どこで足したか。
それを残すと、次の活動を組むときに使えます。
記録の言い回しは支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. ルールを減らすと、学べることが減りませんか。
A. 参加できていない状態では、そもそも経験が積み上がりません。守れた回数を増やすほうが先だと考えます。
Q. 学年差が大きくて、同じルールだと合いません。
A. 人を分けるより、役割を分ける方法があります。上の学年に審判や進行を渡すと、同じ場にいられます。
Q. わざと守らない子がいます。
A. 「わざと」に見える場面でも、注目を集める方法がそれしかないことがあります。守れたときに声をかける回数を増やしてみてください。
Q. 途中でルールを変えると、不公平になりませんか。
A. 途中ではなく、区切りで変えます。「次の回から」と全員に言えば、変更として共有できます。
Q. 毎回同じ子が崩します。
A. 直前に何があったかを毎回残します。人ではなく場面に共通点が見えると、条件を変える手がかりになります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 伝わらないときは、まずルールの数を数えます。3つを超えたら多いと考えます。
- ② 最初は1つ。1回ごとに1つ足します。
- ③ 説明より見本。やって見せてから始めます。
- ④ 崩れたときの合図・戻る場所・やり直し方を先に決めます。
- ⑤ ルールは子どもと一緒に作ることもできます。

注意ばかりになってしまう日は、ちゃんと遊んでほしかった日だ。
ルールを1つにして、最後まで続いたなら、それは成立している。
今日のあなたに、はなまる。
あわせて使えるもの
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