活動の終わりに切り替えられない…切り替えは「前の5分」で決まる|予告・残りの見せ方・次の言い方
「はい、おしまい」。
——動かない。
もう一度言う。声が大きくなる。相手も大きくなる。
送迎の時間は迫ってくる。
この記事では、その瞬間の声かけではなく、前の5分でやることをまとめます。
先に結論
① 切り替えは、その瞬間ではなく前の5分で決まります。
② 予告は時間より、回数か、目に見えるもののほうが伝わることがあります。
③ 「終わり」だけ言わず、終わったあとに何があるかを言います。
④ 声かけの種類を増やさず、同じ言い方を繰り返します。
⑤ 毎回ぶつかるなら、終わりの時刻ではなく終わりの作りを見ます。

だいち先生、帰りの時間になると毎回もめます。
「時間だよ」と言っても、全然やめてくれません。

やめられないんじゃなくて、急に終わりが来ているのかもしれない。
盛り上がっている最中に「はい終わり」は、大人でもつらいよ。
その瞬間に説得しない
終わりの場面でもめているとき、その場で交渉すると長引きやすくなります。
言葉を足すほど、やりとりそのものが続いてしまうからです。
国の放課後等デイサービスガイドラインには、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「発達障害のあるこどもに対しては、予定等の見通しをわかりやすくすることや、感覚の特性(感覚の過敏や鈍麻)に留意し、安心できる環境づくりが必要である」
「知的障害のあるこどもに対しては、活動内容や環境の設定を創意工夫し(中略)ゆとりや見通しをもって活動に取り組めるよう配慮する」
また「時間や空間を本人にわかりやすく構造化すること」も挙げられています。
見通しは、終わる瞬間ではなく、始まる前と途中に作るものです。
前の5分でやる3つ
① 予告する
- 時間より回数 「あと5分」より「あと3回」のほうが分かりやすいことがあります。
- 2回に分ける 「あと3回」→「あと1回」。1回だけの予告だと、急に感じられることがあります。
- 近くで言う 遠くから全体に言うと、届かないことがあります。
② 残りを見せる
- タイマー 残りが目で見える形のものにします。音だけだと、鳴った瞬間が急になります。
- 物で見せる ブロック3つを1つずつ減らす、カードを裏返すなど、手元で減らします。
- ホワイトボードに書く 「あと3かい」と数字で書いて、線で消していきます。
③ 次を言う
- 終わりではなく、次の始まり 「おしまい」ではなく「次はおやつ」と言います。
- 行き先を言う 「終わったら玄関」まで決めておくと、体が動きやすくなります。
- 楽しみを1つ残す 最後にやる好きなことを、活動の前から決めておきます。
残り時間が見える道具は道具一覧にまとめています。

予告しても、その時になると結局もめます。

予告してるのに崩れるなら、予告の形が合っていないのかもしれない。
音だけ、口だけになっていないか見てみよう。
▶ 残りを見せる道具の例
まずは事業所にあるものを探してください。無い場合に用意するなら、こういうものがあります。
※Amazonのアソシエイトとして、支援員のミカタは適格販売により収入を得ています。
声かけの「種類」を増やさない
動かないとき、言い方を変えて何度も声をかけたくなります。
ただ、言葉が増えるほど、聞き取る量も増えます。
こう変える
- 同じ言葉を、同じトーンで 「〇〇さん、次はおやつ」を、間をあけて繰り返します。
- 説得しない 「みんな待ってるよ」「約束したよね」は、やりとりを増やすことがあります。
- 待つ時間を決めておく 「30秒待つ」と自分の中で決めると、焦りが減ります。
- 体の向きで示す 言葉より、行き先のほうを向いて立つほうが伝わることがあります。
それでも動かないとき
動かし方を変える
- 選べる形にする 「やめる/やめない」ではなく「歩いて行く/走って行く」のように、どちらでも終わる選択肢にします。
- 物を持ってもらう 片づけの道具や自分の荷物を渡すと、動き出しやすくなることがあります。
- 役割を渡す 「電気を消す係」など、終わりの場面に出番を作ります。
- 移動を先にする 説明より先に、場所を変えます。場所が変わると気持ちも変わることがあります。
それでも荒れてしまったときの場所の作り方はクールダウンの場所にあります。
対応したあとの自分の立て直し方はこの記事に書いています。
帰りの時間にぶつかるとき
送迎がある日は、終わりの時刻を動かせません。
だからこそ、最後の活動の選び方が効いてきます。
帰り前の組み方
- 盛り上がる活動を最後にしない 動きの大きい活動は、帰りの1つ前までにします。
- 終わりが決まっている活動にする 枚数、個数、曲1曲など、区切りがはっきりしたもの。
- 準備を先に済ませる 荷物と上着を先にまとめておくと、最後の5分が短くなります。
活動の順番の下げ方は盛り上がりすぎたときにまとめています。
送迎先での立ち話のしかたはこの記事にあります。
記録に残すこと
書き方の例
- 「『あと3回』を2回に分けて伝えた日は、声をかけて1分ほどで片づけに入った」
- 「タイマーを見える場所に置いた。鳴ったあと、自分でブロックを箱に入れた」
- 「帰り前をカードゲームにした日は、玄関まで走らずに歩いた」
やり方と、そのときの様子をセットで残すと、次の組み方に使えます。
記録の言い回しは支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. 「あと1回」と言ったのに、まだ続けます。
A. 予告した回数は動かさないほうが、次から伝わりやすくなります。1回のばすなら「今日はあと2回にするね」と、先に言い直します。
Q. 泣いて座り込んだら、抱えて移動していいですか。
A. 体を持ち上げる形は、事業所の決まりを確認してからです。身体拘束の線があるので、個人の判断で決めません。
Q. 時間になってから予告する余裕がありません。
A. 予告を増やすのではなく、活動を1つ短くします。終わりが押すと、そのあとの送迎まで慌ただしくなります。
Q. 毎回同じ子だけ切り替わりません。
A. その子の課題として書く前に、終わりの作りを見ます。何の活動のあとか、誰が声をかけたか、どの形の予告だったかを残してみてください。
Q. 保護者から「家でも切り替えができない」と言われました。
A. 事業所でうまくいった形があれば、やり方として伝えます。「家でもやってください」ではなく「ここではこうしています」と置くほうが、受け取りやすくなります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 切り替えは前の5分で決まります。その瞬間に説得しません。
- ② 予告は回数・目に見えるもので、2回に分けます。
- ③ 「終わり」ではなく次の始まりを言います。
- ④ 声かけの種類を増やさず、同じ言い方を繰り返します。
- ⑤ 帰り前は、終わりが決まっている活動にします。

毎回ぶつかると、自分の言い方が悪いのかと思えてくる。
でも、崩れているのは終わりの作りのほうだ。
前の5分を変えれば、同じ言葉でも通ることがある。
今日のあなたに、はなまる。
あわせて使えるもの
▶ 療育の活動アイデア32 終わりが決まっている活動も、準備と人数でしぼって探せます。
▶ 放課後等デイサービスに向いてない?と悩むあなたへ うまくいかない日が続くときに読む記事です。
▶ 音が苦手な子(聴覚過敏)への工夫 道具の前に、音そのものを減らす5つを書いています。
▶ 支援員のミカタの公式LINE 「この場面で困った」を送ってもらえれば、記事にすることがあります。
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