順番が待てない子への対応|「待つ練習」より待ち時間を減らす4つの方法
順番を決めて、並んでもらう。
3人目くらいから、列がくずれる。
横入りが起きて、言い合いになる。
結局、活動より並び直しに時間を使っている。
この記事では、待てるようにする前に、待つ時間そのものを減らすやり方をまとめます。
先に結論
① 先にやるのは「待つ練習」ではなく、待ち時間を減らすことです。
② 減らし方は4つ。人数を分ける・道具を増やす・順番を見える形にする・待つ間にやることを作る。
③ 割り込みは、順番が分からないことが理由のこともあります。
④ 何もしない時間に座らせて待たせるのは、練習になりにくい形です。
⑤ 変えた条件と、どこまで待てたかを記録に残します。

だいち先生、順番待ちのたびに割り込みが起きて、活動が進みません。
待てるように練習したほうがいいんでしょうか。

練習の前に、待ち時間の長さを見てみよう。
10人で1つの道具を回していたら、9回ぶん待つことになる。
それは、多くの大人でもきついよ。
「待つ練習」を目的にしない
知恵袋には、保護者からこんな声がありました。
療育の場で、ほかの子が食べ終わるまで何もせずに座って待つ時間があり、それが苦痛で「お昼を食べずに帰りたい」と言い出した。
事業所からは「お弁当の時間くらいしか待つ練習ができない」と説明された、という内容です。
待つ場面をわざわざ作ると、できない場面を増やすことにつながりかねません。
国の放課後等デイサービスガイドラインには、「順番」「待つ」という言葉は出てきません。
書かれているのは、次のような内容です。
ガイドラインの記述
「障害の特性を踏まえ、時間や空間を本人にわかりやすく構造化することや、不安な気持ちを落ち着かせる環境を整える」
「集団に参加するための手順やルールを理解し、こどもの希望に応じて、遊びや集団活動に参加できるよう支援する」
つまり、待てるかどうかを試す場面より、手順が分かる形に整えることが先に置かれています。
待ち時間を減らす4つ
① 人数を分ける
- 10人で1列にせず、2グループ3グループに分けます。
- 職員が足りない日は、活動そのものを2つにして、人数を半分にします。
② 道具を増やす・回し方を変える
- ボールを2個にする、道具を2セットにする。それだけで待ちが半分になります。
- 1人の持ち時間を短くします。「1回3球まで」など、終わりを数で決めます。
③ 順番を見える形にする
- ホワイトボードに名前を並べる、番号札を渡す、順番のカードを持つ。
- 「次は〇〇さん、そのあとが〇〇さん」と、次と、その次だけを示します。
- 残り時間はタイマーなど、目で見える形にすると分かりやすくなることがあります。
④ 待つ間にやることを作る
- 点数を数える係、道具を渡す係、応援する係。役割があると、待ち時間が「出番までの時間」に変わります。
- 座って待つ場所を決めておきます。立ったまま待つと、ぶつかりやすくなります。
活動の条件を変える考え方は足すと減らすにまとめています。
時間を見える形にする道具は道具一覧に載せています。

道具を増やすのは、甘やかしになりませんか。

逆だよ。
待ち時間が短いほど、順番を守れた場面が増える。
できた場面が増えるほうが、次につながるんだ。
▶ 順番を見える形にする道具の例
事業所にあるもので足ります。無いときに買い足す場合の例です。使い方は子どもの様子に合わせて変えてください。
※Amazonのアソシエイトとして、支援員のミカタは適格販売により収入を得ています。
割り込みが起きたとき
割り込みは、ルールを破りたいから起きるとは限りません。
いつ自分の番が来るのか分からないと、確かめるために前に出ることがあります。
その場の動き
- 責める前に、順番を見せ直す 「いまは〇〇さん。次があなた」と指で示します。
- 次を約束する 「このあとすぐだよ」ではなく「〇〇さんの次」と具体的に。
- 終わりを示す 「あと2人で終わり」と全体の見通しも伝えます。
- 取り合いになったら、いったん止める 間に入り、道具を職員が持ちます。
言い合いに発展したときの入り方は、下の記事にまとめています。
それでも難しいときは、活動の側を見る
同じ子が毎回崩れるなら、その子の課題として書く前に、活動の条件を見ます。
見るところ
- 1回の待ち時間は何分か 実際に計ってみます。体感より長いことがあります。
- 人数は適切か その日の人数で、その活動が成立するか。
- 並ぶ場所 通路、出入り口の前は、人がぶつかって崩れやすくなります。
- 時間帯 帰りの前、おやつの前は、そわそわしやすい時間です。
活動に入れない子がいるときの考え方はこの記事に書いています。
記録は「待てなかった」で終わらせない
書き方の例
- 「玉入れ。10人を2グループに分けたところ、順番を抜かす場面はなかった」
- 「ボールを2個にした。待ち時間は1回30秒ほど。最後まで列にいた」
- 「順番をホワイトボードに書いた日は、『次は自分?』と職員に確認してから戻った」
どの条件のときにどうだったかを書くと、次の活動を組むときに使えます。
記録の言い方は支援記録の例文100選にあります。
よくある質問
Q. 「学校では待てないと困るから、ここでも練習してほしい」と言われました。
A. 事業所としてどう考えるかを児発管に確認します。伝えるときは「待つ場面を減らしたら、順番を守れた回数が増えた」のように、場面と回数で話すと共有しやすくなります。
Q. 1人だけ順番を早くするのは、不公平に見えませんか。
A. 順番を変えるのではなく、全員の待ち時間を短くするのが今回の方法です。全体の組み方を変えます。
Q. 道具を増やす予算がありません。
A. グループを分ける、持ち時間を短くする、役割を作る。この3つはお金をかけずにできます。
Q. 待っている間にふざけてしまう子がいます。
A. 待つ場所と姿勢を決めると変わることがあります。座る位置に印を置く、壁を背にするなど、場所の側を変えてみてください。
まとめ
この記事のポイント
- ① 先にやるのは待ち時間を減らすこと。練習を目的にしません。
- ② 減らし方は人数・道具・見える化・待つ間の役割の4つ。
- ③ 割り込みは順番が分からないことが理由のこともあります。
- ④ ガイドラインにあるのは「時間や空間の構造化」「集団に参加するための手順やルールの理解」。
- ⑤ 記録は条件とどこまでできたかで残します。

順番でもめるたびに困っていたのは、全員に楽しく参加してほしかったからだ。
待ち時間を半分にするだけで、もめる回数も減っていく。
今日のあなたに、はなまる。
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