放デイで職員によって言うことが違う…板挟みをほどく3つの分け方と、聞き方の型【現場目線】
Aさんには「そこは待たせて」と言われた。
Bさんには「先にやらせてあげて」と言われた。
同じ場面で、同じ子で、逆のことを言われる。
どちらかに従えば、もう片方から「違う」と言われる。
そのたびに、自分の判断が悪いんだと思う。
検索すると出てくるのは「職員間で方針を統一しましょう」
——まとめる側に向けた記事ばかりです。
この記事は、板挟みになっている側から書きます。
先に結論
① あなたの判断が悪いわけではありません。指示が3種類まざっています。
② 3つに分けると、やることが変わります。
③ 方針の違い=聞けば解けます。/説明のない指示=計画を見ます。/明らかにおかしいこと=外に相談先があります。
④ どれか分からないときは、その場は流して、あとで確認で構いません。
⑤ ただし③だけは別です。国のガイドラインに「事業所の中だけで収束させない」と書かれています。

だいち先生、人によって言うことが違って…。
どっちに合わせても怒られる気がして、動けなくなります。

それ、きみが悪いんじゃない。
指示が統一されていないのは、職場の側の課題だ。
ただ、全部同じものとして受け取ると苦しくなる。
まず3つに分けよう。
なぜ、人によって違うことを言うのか
まず、多くの場合は悪意ではありません。
理由は、だいたいこの3つに収まります。
言うことが分かれる理由
- ① 見ている場面が違う Aさんは崩れたあとを何度も見ていて、Bさんは落ち着いている時間を多く見ている。同じ子でも、見てきた場面が違えば判断は変わります。
- ② 経験の重みが違う 前に大きく崩れた経験がある人は、慎重な指示を出しやすくなります。
- ③ 方針が言葉になっていない 「うちはこうする」が書かれていない職場では、各自の判断が基準になります。
③がいちばん多い原因です。これは職場の仕組みの話で、あなたの覚えの悪さではありません。
指示を、3つに分けます
ここがこの記事の中心です。
同じ「言うことが違う」でも、中身は3種類あります。
3つの分け方
- ① 方針の違い どちらでも支援として成り立つが、やり方が違う。例:待たせる/先にやらせる、声をかける/少し離れる。
- ② 説明のない指示 理由が分からないまま「こうして」と言われる。従っていいのか判断できない。
- ③ 明らかにおかしいこと 子どもの体を押さえる、閉じ込める、強い言葉で従わせる。支援の範囲を超えている。
①と②は職場の中で解けます。③だけは、外に相談先があります。
① 方針の違い = 聞けば解けます
聞き方にコツがあります。
「どちらが正しいですか」と聞かないことです。
この聞き方は、片方を否定する形になります。
聞かれた側も答えにくく、あなたが板挟みを持ち込んだ形になります。
そのまま使える聞き方
「◯◯のときは、どうするのが基本ですか。」
「順番を待てないときの対応、うちの基本の形はありますか。」
「AさんとBさんで違っていて」と言わずに、基本の形を聞きます。
答えが「その子による」だった場合は、次にこう聞けます。
「その子の場合は、どちらに寄せるのがいいですか。」
この聞き方なら、誰も否定していません。
答えが返ってきたら、それが今日からのあなたの基準になります。

「どっちが正しいですか」って聞いてました…。
あれ、まずかったんですね。

まずいというより、答えにくいんだ。
人を比べる質問になっているから。
比べるんじゃなくて、基本を聞く。
それだけで、返ってくるものが変わるよ。
② 説明のない指示 = 計画を見ます
理由が分からない指示は、従っていいのか判断できません。
そういうときの基準になるものがあります。
個別支援計画です。
その子について、何を目標にして、どう関わることになっているかが書いてあります。
職員の好みではなく、事業所として決めたことです。
計画があると、聞き方が変わります
「私はこう思うんですが」ではなく、
「計画に◯◯と書いてあったので、そこと合わせるとどうなりますか。」
自分の意見をぶつけるのではなく、すでにある決めごとを持ち出す形になります。
これなら、経験の浅い職員でも聞けます。
計画の読み方は個別支援計画は職員がどう読む?にまとめています。
読んだことがなければ、まずそこからです。
③ 明らかにおかしいこと = 外に相談先があります
ここだけは、これまでの2つと扱いが違います。
先輩がやっていても、長く続いていても、基準は法令とガイドラインの側にあります。
身体拘束について(放課後等デイサービスガイドライン)
「職員が自分の体でこどもを押さえつけて行動を制限することや、自分の意思で開けることのできない居室等に隔離すること等は身体拘束に当たり、運営基準により、(略)緊急やむを得ない場合を除き、禁止されている」
「よくあること」として流れていても、これは禁止されている行為です。
そして、通報についての記述があります。
通報について(同ガイドライン)
「職員から虐待を受けたと思われるこどもを発見した場合(相談を受けて虐待と認識した場合を含む。)、その者は、障害者虐待防止法第16条に規定されている通報義務に基づき、(略)市町村の窓口に通報する必要がある」
さらに、こう続きます。
「事業所の中だけで事実確認を進め、事態を収束させることなく、必ず市町村に通報した上で行政と連携して対応を進める必要がある」
読んでほしいのは、後半です。
事業所の中だけで終わらせない、と書かれています。
つまり「まず上司に相談して、様子を見る」で止めることを、国は想定していません。
これは、あなたが職場を裏切ることではありません。
そう動くように書かれているものです。

でも…先輩を告発するみたいで、こわいです。

その怖さは当たり前だよ。
ただ、通報は「誰かを罰してください」じゃない。
「この状況を見てください」なんだ。
判断するのは、きみじゃなくて行政の側。
なお、事業所には虐待防止委員会を定期的に開くことが運営基準で求められています。
責任者は通常、管理者です。
委員会がある職場なら、そこも相談の入口になります。
対応した「あと」の自分を守る話は癇癪・パニック対応がつらいときにも書いています。
その場では、どう動けばいいのか
3つに分ける話をしましたが、その場で分類できないことのほうが多いです。
なので、動き方はこれだけ覚えておけば足ります。
その場の動き方
- 子どもの安全に関わることは、その場で ケガにつながりそうなときは、判断を待たずに動いてください。
- それ以外は、その場は流していい 言われたとおりにして、あとで確認します。その場で議論している間は、支援が止まります。
- あとで、基本の形を聞く 「さっきの場面、基本はどうするんでしたか」で足ります。
その場で正解を出す必要はありません。
その日のうちに確認できれば十分です。
それでも変わらない職場もあります
聞いても答えが返ってこない。
聞くと不機嫌になる。
聞いた相手によって、また違うことを言われる。
そういう職場もあります。
そこまで来ると、あなたが工夫して解ける範囲を超えています。
相談先を、職場の外にも持っておいてください。
職場の外の相談先
- 市町村の障害福祉担当窓口 制度や運営についての相談ができます。
- 市町村の虐待防止センター(名称は自治体で異なります) ③にあたることの相談先です。
- 都道府県の総合労働相談コーナー 働き方のことなら無料で相談できます。
- 支援員のミカタの公式LINE 制度の相談には答えられませんが、記事の感想や「こんなことが知りたい」は受け取っています。
1人に全部を聞こうとしないでください。
聞く先を分けておくと、1つが止まっても詰まりません。
よくある質問
Q. 聞くと「自分で考えて」と言われます。
A. 考える材料が要ることを伝えてみてください。「考えたいので、判断の基準になるものを教えてください」と言い方を変えると、返ってくることがあります。
Q. 管理者と児発管でも言うことが違います。
A. その場合は個別支援計画が基準になります。計画は事業所として決めたものなので、そこに寄せて聞くのがいちばん揉めません。
Q. 言われたとおりにしたのに、あとで別の人に怒られました。
A. 「◯◯さんにこう聞いたので、そうしました」と事実を伝えて構いません。人を売ることにはなりません。指示が分かれていること自体を、上に知ってもらう必要があります。
Q. ③かどうか、自分では判断できません。
A. 判断しなくて大丈夫です。迷った時点で相談してよいことになっています。相談した結果「それは違う」となっても、あなたが責められる筋合いはありません。
Q. 通報したら、職場にいられなくなりませんか。
A. 通報を理由とした不利益な取扱いは、法律で禁じられています。ただ、実際の不安は残ると思います。だからこそ、先に外の窓口へ相談してから動く方法もあります。
まとめ
この記事のポイント
- ① 指示が分かれるのは、多くの場合方針が言葉になっていないから。あなたの覚えの問題ではありません。
- ② 3つに分けます=方針の違い/説明のない指示/明らかにおかしいこと。
- ③ 方針の違いは、「基本はどうするのが」と聞けば解けます。人を比べない聞き方で。
- ④ 説明のない指示は、個別支援計画を基準にします。
- ⑤ 明らかにおかしいことは、事業所の中だけで収束させないとガイドラインに書かれています。
- ⑥ その場は流していい。子どもの安全に関わることだけ、その場で。
- ⑦ 相談先は1つに絞らない。職場の外にも持っておきます。

人によって違うことに気づけたのは、ちゃんと見て、ちゃんと覚えているからだ。
気づかない人は、そもそも迷わない。
迷っている時点で、きみは仕事をしている。
今日のあなたに、はなまる。
出典
こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)」(PDF)
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律 第16条
※窓口の名称・手順は自治体によって異なります。実際の運用は、勤務先とお住まいの自治体の情報で確認してください。
あわせて読みたい
▶ 放デイの人間関係に疲れたら…こじらせない考え方と距離のとり方【現場目線】
▶ 個別支援計画は職員がどう読む?明日の支援に落とし込む3ステップ
▶ 放デイの癇癪・パニック対応がつらい…対応した「あと」の自分を守る方法
▶ 放デイの職員が怖いと感じたら?5つの対処法と相談先【現場目線】
▶ 【例文100選】放デイ・児発の支援記録の書き方|そのまま使える記録例とNG表現
▶ 放デイで相談できる先輩がいない…聞く相手を4つに分ける方法と、聞き方を軽くする型【現場目線】
▶ ベテラン職員に意見が言えないとき
▶ 放デイ職員の悩み まとめ
▶ 言うことを聞いてもらえないとき

