放デイの5領域、現場ではどう使う?いつもの活動を当てはめる12例と記録の書き方【職員向け】
「今日の活動、5領域のどこに入れる?」
会議でそう聞かれて、答えに詰まったことはありませんか。
調べてみても、出てくるのは「5領域とは、健康・生活、運動・感覚……」という定義の説明ばかりです。
意味は分かる。
でも知りたいのはそこではありません。
いつもやっているおやつや外あそびが、どの領域に当たるのか。
記録に、どう書けばいいのか。
この記事は、そこだけを書きます。
先に、いちばん大きな誤解を解きます
5つの領域それぞれに、別々の目標を立てる必要はありません。
放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月・こども家庭庁)には、計画において「5つの欄を設けて、個々に異なる支援目標や支援内容を設定する必要はない」とはっきり書かれています。
ただし「各領域との関連性については必ず記載する」とされています。
つまり求められているのは5つに分けることではなく、いつもの支援がどの領域とつながっているかを言えることです。

…私、5つ全部に目標を立てなきゃいけないと思って、ずっと悩んでました。

そこで止まってる人、本当に多いんだ。
分けるんじゃなくて、つなげる。
いつもやってることが、もう5領域に当たってるんだよ。
5領域は、これです(30秒で確認)
念のため確認だけしておきます。
ガイドラインでは「本人支援」が5つの領域にまとめられています。
先に、ひとことで言うと
- 健康・生活 体の調子と、毎日の暮らしのこと
- 運動・感覚 体の動かし方と、感じ方のこと
- 認知・行動 物事の分かり方と、そこから出る行動のこと
- 言語・コミュニケーション ことばと、気持ちの伝え合いのこと
- 人間関係・社会性 人との関わりと、集団の中での過ごし方のこと
下に並べる「ねらい」は、ガイドラインに書かれているそのままの言葉です。
読みにくいと感じても大丈夫です。
実際の計画書にはこの言い回しで出てくるので、そのまま載せています。
本人支援の5領域
- 健康・生活 健康状態の維持・改善/生活習慣や生活リズムの形成/基本的生活スキルの獲得/生活におけるマネジメントスキルの育成
- 運動・感覚 姿勢と運動・動作の基本的技能/身体の移動能力/保有する感覚の活用/感覚の特性への対応
- 認知・行動 認知の特性の理解と対応/適切な認知と行動の習得/概念の形成/行動障害への予防及び対応
- 言語・コミュニケーション コミュニケーションの基礎的能力/言語の受容と表出/手段の選択と活用/状況に応じたコミュニケーション
- 人間関係・社会性 アタッチメント(愛着)の形成と安定/情緒の安定/他者との関わり/遊びを通じた社会性/自己の理解と行動の調整/仲間づくりと集団への参加
ガイドラインには「これらの領域の支援内容は、お互いに関連して成り立っており、重なる部分もある」と書かれています。
1つの活動が複数の領域にまたがるのが普通です。
無理に1つに決めなくて構いません。
いつもの活動を、そのまま当てはめる
ここが本題です。
新しい活動を考える必要はありません。
すでにやっていることが、そのまま当てはまります。
よくある活動と、つながる領域
- おやつ・食事 → 健康・生活(食事の習慣、噛むことや姿勢)/人間関係・社会性(一緒に食べる、順番を待つ)
- 手洗い・トイレ・着替え → 健康・生活(基本的生活スキルの獲得)
- 外あそび・体を動かす活動 → 運動・感覚(姿勢保持、移動能力、感覚の活用)
- トランポリン・粘土・水あそび → 運動・感覚(保有する感覚の活用、感覚の特性への対応)
- 宿題・学習の時間 → 認知・行動(大小・数・時間などの概念)/言語・コミュニケーション(読み書き)
- 制作・工作 → 認知・行動(形・色・空間の認知)/運動・感覚(手指の動き)
- ルールのある集団あそび → 人間関係・社会性(仲間づくりと集団への参加、一人あそびから協同あそびへ)
- ごっこ遊び・見立てあそび → 人間関係・社会性(見立てて遊ぶこと=象徴遊びを通じた社会性の発達)
- 予定表・スケジュールの提示 → 健康・生活(見て分かるようにする工夫=構造化による生活環境の調整)/認知・行動(時間の概念)
- 絵カード・気持ちのやり取り → 言語・コミュニケーション(手段の選択と活用)
- クールダウン・気持ちの立て直し → 人間関係・社会性(情緒の安定、安心の基地)
- 買い物・外出・公共交通の利用 → 運動・感覚(社会的な場面における移動能力)/人間関係・社会性
この対応づけは、ガイドラインに書かれた各領域の「ねらい」と「支援内容」から整理したものです。最終的にどう位置づけるかは、事業所の方針と児発管(児童発達支援管理責任者。支援の計画をつくる責任者)の判断が優先されます。迷ったら確認してください。

…全部、いつもやってることでした。

そう。
5領域は、新しい宿題じゃない。
今やっている支援に、名前をつけ直すだけなんだ。
気づけたあなたに、はなまる。
遊びを増やさなくても、条件をひとつ変えれば見え方が変わります
5領域を意識しようとすると、「新しい活動を考えないといけない」と思いがちです。
でも、いつもやっている遊びのままで大丈夫です。
条件をひとつ変えるだけで、見えるものが変わります。
いつもの遊びに、ひとつだけ足してみる
- ① 条件を足す 新聞紙ジャンプなら「赤い新聞紙だけ踏む」に変える。→ 指示を聞いて、途中で動きを切り替える様子が見えやすくなります。
- ② 順番を作る 全員が同時にやっていたのを「1人ずつ」に変える。→ 待つ姿、友だちのやり方を見ているか、自分の番が分かっているかが見えやすくなります。
- ③ 終わりを先に見せる 始める前に「あと3回で終わり」と伝えておく。→ 見通しの持ち方と、終わりの受け入れ方が見えやすくなります。
※これは「この条件にすればこの力が育つ」という話ではありません。
その様子を見る場面が作りやすくなる、というだけです。
何が育つかは、その子との積み重ね次第です。

遊びを変えなくてもいいんですね。
新しいネタを探さなきゃと思ってました。

ネタを増やすのは大変だし、キリがない。
いつもの遊びを、少し変えるほうが早いし、子どもも慣れてるぶん安心して取り組める。
大事なのは順番です。
「5領域に合う遊びを探す」のではなく、こう考えます。
この順番のほうが、現場では回ります
① いつもの遊びの条件をひとつ変える
② 子どもに新しい経験が生まれる
③ その様子を5領域の視点で見る
④ 見えたことを記録に残す
領域から遊びを逆算しようとすると、手が止まります。
目の前の遊びから始めたほうが、無理がありません。
「網羅する」の意味を、正しく取る
ガイドラインには、少し厳しい書き方もあります。
5領域の視点が網羅されていない状況で支援を提供することは、総合的な支援としてはふさわしいとは言えない、という趣旨の記述です。
これを読んで、身構えてしまう人がいます。
——毎日5つ全部やらないといけないのか。
そうではありません。
押さえる3点
- ① 網羅するのは「視点」です アセスメント(支援を決める前に、その子の様子や困りごとを確かめること)と計画のときに、5つの視点で見ているかどうかが問われています。1日の活動で5つを埋める話ではありません。
- ② 1つの活動が複数領域にまたがります ガイドライン自身が「重なる部分もある」と書いています。おやつの時間だけで2領域に関わります。
- ③ 問題視されているのは「特定の領域だけ」の状態 たとえば運動だけ、学習だけ、という偏り方です。
「総合的な支援」と「特定の領域に重点を置いた支援」の違い
総合的な支援=5領域の視点でアセスメントし、5領域を網羅したオーダーメイドの支援を行うこと。これが基本です。
特定の領域に重点を置いた支援=総合的な支援を行ったうえで、理学療法士などの専門性に基づくアセスメントを行い、特定の領域に重点を置いて計画的・個別集中的に行うもの。
つまり「重点」は、総合的な支援の代わりではなく、その上に乗るものです。ここを取り違えると「うちは運動特化だから」という説明が通らなくなります。
記録には、どう書けばいいか
いちばん実務的なところです。
領域名を書き足せばいい、という話ではありません。
順番はいつもどおりで大丈夫です。
書く順番
- ① 事実を書く いつ、何をして、どうだったか。ここは今までと同じです。
- ② そのあとに、つながりを一言 「順番を待つ場面があった」「初めて自分から誘っていた」など。
- ③ 領域名は、必要なときだけ 毎回すべての記録に領域名を書く必要はありません。計画とモニタリング(計画どおり進んでいるかを、決まった時期に見直すこと)でつながっていれば足ります。
⚠️ 事業所によって書式が決まっている場合は、それが最優先です。
「5領域の欄がある」書式なら、その運用に合わせてください。
よくある失敗は、領域名を書こうとして事実があいまいになることです。
「人間関係・社会性の力が伸びた」とだけ書かれた記録は、あとから誰も再現できません。
先に事実、あとから意味づけ。この順番を崩さないでください。
書き換えの例
- ❌ 「人間関係・社会性の面で成長が見られた」
- ⭕ 「カードゲームで、負けたあとに自分から『もう1回』と言った。前回は席を離れていた」
- ❌ 「認知・行動へのアプローチを行った」
- ⭕ 「工作で、見本を見ながら3つの手順を最後まで自分で進めた。途中で1回だけ確認を求めた」
下の書き方なら、読んだ人が同じ場面を思い浮かべられます。
領域とのつながりは、計画やモニタリングの側で書けば十分です。
事実で書く型は、支援記録の例文100選にまとめてあります。
書いた文が主観に寄っていないかは、記録チェッカーに貼れば数秒で確認できます。
会議で「どの領域?」と聞かれたときの答え方
その場で困らないための、短い型を置いておきます。
そのまま使える言い方
- 複数にまたがるとき 「中心は人間関係・社会性ですが、順番を待つところは認知・行動にも関わると思います」
- 迷っているとき 「健康・生活か人間関係・社会性か迷っています。どちらで整理していますか」
- 活動から説明するとき 「集団あそびなので、仲間づくりと集団への参加のところだと考えました」
- 子どもの姿から説明するとき 「◯◯さんが自分から誘えた場面があったので、そこを人間関係・社会性として見ています」
「分かりません」より「こう考えました、どうですか」のほうが話が進みます。
正解を当てるゲームではありません。

間違えたら怒られると思って、黙ってました。

5領域は、こどもをいろんな角度から見るためのものさしなんだ。
ものさしの当て方に、唯一の正解はない。
どう見たかを説明できれば、それでいい。
よくある質問
Q. 毎日の記録に、5つの領域を全部書くんですか。
A. その必要はありません。
ガイドラインで求められているのは計画における各領域との関連性の記載です。
日々の記録の書式は事業所が決めるので、勤務先の運用に合わせてください。
Q. 5つそれぞれに目標を立てる書式になっています。
A. その場合は、その書式に従ってください。
ガイドラインは「5つの欄を設けて個々に異なる目標を設定する必要はない」としているだけで、設けてはいけないとは書かれていません。
Q. うちは運動に特化しています。それでいいですか。
A. 特定の領域に重点を置くこと自体は想定されています。
ただしそれは総合的な支援を行ったうえでのものとされています。
重点だけで5領域の視点が欠けている状態は、ふさわしくないとされています。
Q. 現場職員が計画を書くわけではないのに、なぜ知る必要が?
A. 計画を作るのは児童発達支援管理責任者(児発管とも呼ばれる、支援の計画をつくる責任者)ですが、その材料になるのは現場の記録です。
あなたが書いた1行が、そのままアセスメントの根拠になります。
Q. 家族支援や地域連携も5領域に入りますか。
A. 入りません。
5領域は「本人支援」の中の分け方です。
ガイドラインでは、本人支援に加えて家族支援・移行支援・地域支援/地域連携もあわせて行うことが基本とされています。
まとめ
この記事のポイント
- ① 5つそれぞれに別の目標を立てる必要はありません。求められているのは各領域との関連性の記載です。
- ② 領域は重なるのが前提。1つの活動が複数にまたがって構いません。
- ③ いつもの活動が、すでに当てはまっています。おやつも、外あそびも、予定表の提示も。
- ④ 「網羅」は視点の話。1日で5つ埋める話ではありません。問題は特定領域だけに偏ることです。
- ⑤ 「特定の領域に重点」は総合的な支援の上に乗るもの。代わりにはなりません。
- ⑥ 記録は先に事実、あとから意味づけ。領域名を書こうとして事実をぼかさないこと。
出典
こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」
こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)」(PDF)
※この記事はガイドラインの記述を職員向けに整理したものです。実際の計画や記録の運用は、事業所の書式と児童発達支援管理責任者の方針が優先されます。
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