日本版DBSで放デイ職員は何をする?2026年12月施行|本人がやる2つのことと、通知のしくみ【職員向け】
2026年12月から「こども性暴力防止法」
——いわゆる日本版DBSが始まります。
放課後等デイサービスも対象です。
けれど検索して出てくるのは、事業所が何を整備すべきかという記事ばかりです。
規程を作る、研修体制を整える、相談窓口を設ける。
読んでも、働いている自分が何をすることになるのかが分かりません。
この記事は、そこだけを書きます。
内容はこども家庭庁が「対象従事者向け」に出している資料にもとづいています。
先に結論だけ
① 放デイ・児発は義務の対象です。手を挙げるかどうかを選ぶ立場ではありません。
② 確認されるのは「特定性犯罪の前科」だけです。交通違反やその他の犯罪は対象になりません。
③ 職員がやることは2つ。本人情報の入力と、戸籍などの本人確認書類の登録です。
④ 通知のしくみが非対称です。「なし」は事業所へ直接、「あり」は先に本人に届きます。
⑤ 結果は第三者に開示できません。保護者から聞かれても答えません。漏らした人には罰則があります。

だいち先生、日本版DBSって、私も何かするんでしょうか。
職場からはまだ何も言われていなくて…。

するよ。
でもやることは2つだけなんだ。
怖い話に聞こえるけど、中身を知ると落ち着く。
順番に見ていこう。
放デイは「義務の対象」です
こども家庭庁の資料では、対象になる事業者が2つに分けられています。
2つの区分
- 学校設置者等 学校、認可保育所、認定こども園など。公立・私立を問わずすべてが対象です。
- 民間教育保育等事業者 学習塾やスポーツクラブなど。こども家庭庁に申請して認められた場合に対象となります。
指定障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援)は、前者に含まれます。
つまり手を挙げるかどうかではなく、義務です。
「うちは小さい事業所だから関係ない」ということはありません。
いずれ、あなたのところにも手続きの話が来ます。
確認されるのは「特定性犯罪の前科」だけです
ここが、いちばん誤解されているところです。
知恵袋などを見ていると、こういう不安が並んでいます。
——昔の交通違反も調べられるんじゃないか。
——全部の犯罪歴が職場に知られるんじゃないか。
そうではありません。
確認されるのは、これだけです
こども家庭庁の資料では「性犯罪歴」=「特定性犯罪の前科」と定義されています。
例として挙げられているのは、不同意性交/不同意わいせつ/児童買春/児童ポルノ所持/盗撮/痴漢/未成年淫行などです。
これらの犯罪が大人に対して行われた場合も、確認の対象になります。
一方で、これに当たらない犯罪は確認されません。
交通違反も、それ以外の前科も対象外です。

じゃあ、交通違反の反則金は関係ないんですね。

関係ない。
ここを知らないまま不安になってる人が、すごく多いんだ。
調べられる範囲は法律で決まっている。
広げて心配する必要はないよ。
職員がやることは、2つだけです
手続きは、こども家庭庁が新しく作る「こまもろうシステム」というしくみで行われます。
事業所がやることと、職員本人がやることが分かれています。
本人がやるのは、次の2つです。
① 本人情報の入力
- 氏名・住所・生年月日・性別などを、こまもろうシステムに入力します。
- これは事業所が申請するために必要な情報です。
② 本人確認書類の登録(戸籍)
- 過去のすべての戸籍・除籍を登録する必要があります。現在のものだけでは足りません。
- 方法A:マイナンバーカードを使う スマートフォンの専用アプリでマイナンバーカードを読み取ると、戸籍情報を登録できます。
- 方法B:自治体の窓口で取る 「戸籍(除籍)電子証明書提供用識別符号」という16桁のコードが書かれた書面を受け取り、それを入力します。
⚠️ 自治体の戸籍の電算化が進んでいない場合、コードが取れず窓口で紙の戸籍・除籍を取って内容を入力することになります。
方法Aのほうが手間は少ないので、マイナンバーカードを持っているなら先に用意しておくとラクです。
外国籍の場合は戸籍ではなく、在留カード・住民票・旅券などが必要になります。
また、過去に氏名・国籍・性別・生年月日が変わっている場合は、それを示す書類も求められます。
ここは知っておいてください
戸籍の提出がなく、犯罪事実確認(性犯罪歴があるかどうかを確かめる手続き)が行えない場合は、こどもと接する業務に就くことができません。
つまり「出さない」という選択は、実質的に現場に立てなくなることを意味します。
事業所から連絡が来たら、後回しにせず早めに進めるほうが自分のためです。
通知のしくみが、実は非対称です
ここは、ほとんど説明されていません。
けれど職員が知っておくべきことのなかで、いちばん重要だと思います。
結果の届き方
- 性犯罪歴が「なし」の場合 → 事業所へ直接通知されます。本人には届きません。
- 性犯罪歴が「あり」の場合 → 先に本人へ通知が届きます。
「あり」の通知が来たとき、本人には訂正を請求する機会があります。
情報が正しければ、訂正しない旨を登録します。
そして、ここが重要です。
※2週間で自動的に進みます
訂正請求をしないまま2週間が経つと、事業所に性犯罪歴が通知されます。
もし内容に誤りがあるなら、その2週間のあいだにシステム上で訂正を請求する必要があります。
放っておいて止まるものではありません。

知らなかったら、そのまま過ぎてしまいそうです…。

そう。だから知っておくこと自体が守りになるんだ。
この2週間の話は、事業所向けの記事にはほとんど出てこない。
本人にしか関係ない情報だからね。
いつ、やることになるのか
タイミングは3つ
- ① いま働いている人(現職者) 義務対象の事業では、施行の日から3年以内に確認を行うことが必要とされています。12月に一斉に、ではありません。
- ② これから採用される人 従事を開始する前に、事業所が確認を終えている必要があります。
- ③ 続けて働いている人 5年ごとに再確認が行われます。1回で終わりではありません。
手続きにかかる期間の目安
- 日本国籍の場合:2週間〜1か月
- 外国籍の場合:1か月〜2か月
転職を考えている場合、次の職場でこの期間が必要になることは頭に入れておいてください。
「来週から来て」がしにくくなる可能性があります。
なお、やむを得ない事情がある場合に、確認の前に働き始められる「いとま特例」という例外もあります。
ただしその場合は、原則としてこどもと一対一にならないことなどが求められます。
施行の時点ですでに働いている人・内定している人は、この特例の対象にはなりません。
自分の情報は、どう扱われるのか
犯罪歴という、極めて扱いに注意が必要な情報です。
法律では、事業所側に厳しい義務が課されています。
事業所に求められること
- 記録を適正に管理すること
- 目的外に使ったり、第三者に提供したりしないこと
- 漏えいした場合はこども家庭庁に報告すること
- 適切に廃棄・消去すること
「性犯罪歴なし」という情報も、同じく管理の対象です。
「あの人は白だった」といった言い方も含まれます。
保護者から聞かれても、答えません
こども家庭庁の資料には、たとえ保護者からの問合せがあっても、これらの情報を開示することはないと明記されています。
そして、情報を漏らした場合の罰則は、事業所ではなく違反した個人に科されます。
・業務を通じて知った情報をみだりに他人に知らせた場合 → 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
・不正な利益を図る目的で提供した場合 → 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
民事上の損害賠償責任が生じるおそれもあるとされています。
これは、あなたを縛る話であると同時に、あなたを守る話でもあります。
職場の誰かが噂話として広めることは、法律上できません。
「不適切な行為」で萎縮しなくていい理由
現場でいちばん心配されているのは、たぶんここです。
——手をつないだらダメなのか。
——抱っこを求められたら、どうすればいいのか。
——トイレの介助はどうなるのか。
法律では「性暴力」とは別に、「不適切な行為」という区分が置かれています。
行為そのものは性暴力に当たらないけれど、続いたり広がったりすると性暴力につながる可能性のある行為です。
範囲を決めるのは、事業所です
こども家庭庁の資料では、何が「不適切な行為」に当たるかは事業によって異なるため、各事業所が実態に即して範囲を定めることとされています。
そして、定めるときの留意点として、はっきりこう書かれています。
・現場の従事者とコミュニケーションを図る
・従事者が過度に萎縮しないよう留意する
つまり「何がよくて何がダメか」を職員に説明することは、事業所の側の仕事です。
だから、こう聞いていいということです。
「うちの事業所では、どこからが不適切な行為になりますか」
これは反抗でも、後ろ暗い質問でもありません。
基準がないまま働くほうが、あなたにとって危険です。

聞いていいことだったんですね。
触れちゃいけない話題だと思ってました。

むしろ聞かれる前提で決めることになってるんだ。
基準がはっきりしている職場のほうが、働きやすい。
これは職員を守るための線引きでもある。
よくある質問
Q. 交通違反があります。引っかかりますか。
A. 対象になりません。
確認されるのは特定性犯罪の前科だけです。
Q. パートや学生アルバイトも対象ですか。
A. 雇用形態ではなく、こどもと接する対象業務に従事するかどうかで決まります。
自分がどう扱われるかは、事業所に確認してください。
Q. 手続きを断ることはできますか。
A. 断ること自体を禁じる規定ではありませんが、
戸籍の提出がなく確認が行えない場合は、こどもと接する業務に就くことができませんとされています。
結果として、現場に立てなくなります。
Q. 過去にそういうことがあった場合、必ず解雇ですか。
A. 原則として、こどもと接する業務に就くことはできません。
こども家庭庁の資料では、新規採用なら内定取消し、現職者なら対象業務以外への配置転換などが例として挙げられています。
防止措置(子どもと接する業務から外すなど、性暴力を防ぐためにとる対応)をめぐって労使間でトラブルになった場合は、各都道府県の労働局にある「総合労働相談コーナー」を使えるとも書かれています。
Q. 送迎の運転だけしています。対象ですか。
A. 対象業務の整理は事業所が行います。
こどもと接する業務に含まれるかどうかは、勤務先に確認するのが確実です。
Q. 施行日は正確にいつですか。
A. 2026年12月25日です。こども家庭庁の資料に、施行予定日として示されています。
ただし運用の細部は施行に向けて更新されるので、最新はこども家庭庁のサイトで確認してください。
まとめ
この記事のポイント
- ① 放デイ・児発は義務の対象。選べる立場ではありません。
- ② 確認されるのは特定性犯罪の前科だけ。交通違反もその他の犯罪も対象外です。
- ③ 職員がやるのは本人情報の入力と過去すべての戸籍の登録の2つ。マイナンバーカードがあると早いです。
- ④ 「なし」は事業所へ直接、「あり」は先に本人へ。訂正しないまま2週間で事業所に通知されます。
- ⑤ 現職者は施行から3年以内、新規採用は従事開始前、その後は5年ごと。
- ⑥ 結果は第三者に開示されません。保護者にも。漏らした個人には罰則があります。
- ⑦ 「不適切な行為」の範囲は事業所が決めるもの。職員が過度に萎縮しないよう留意すると国が明記しています。聞いて構いません。

制度が変わるとき、いちばん不安になるのは現場の人だ。
でも中身を知っている人は、振り回されない。
ここまで読んだあなたは、もう大丈夫。
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