放デイの活動が5分で終わった…残り時間に焦らないための考え方と、余ったとき用の引き出し3つ【職員向け】
10分はもつと思っていた活動が、5分で終わった。
「もう終わり?」「次なにするの?」と声が上がる。
時計を見ると、お迎えまであと20分。
頭の中で、使えそうな遊びを必死に探している。
検索すると、出てくるのは「5分でできるレクアイデア集」です。
でも、いま困っているのはネタの数より、目の前の20分をどう過ごすかのほうだと思います。
この記事では、余った時間の扱い方を書きます。
先に結論
① 早く終わるのは失敗ではありません。かかる時間は、その日の子どもの様子で変わります。
② 慌てて次の活動を出す前に、まず区切りを伝え直します。
③ いちばん準備がいらないのは、同じ活動をもう一度やることです。
④ 余ったとき用の引き出しを3つだけ決めておきます。静かに過ごす・少し体を動かす・選べる。
⑤ 余った時間を、子どもが選ぶ時間にする方法もあります。国のガイドラインにも、その考え方が書かれています。

今日、工作が5分で終わっちゃって…。
残りの時間、みんなうろうろしてて、私だけすごく焦ってました。

5分で終わったのは、みんながすぐ取りかかれたってことでもあるよ。
焦るのは「時間を埋めなきゃ」と思っているからなんだ。
そこから整理しよう。
早く終わるのは、失敗ではありません
活動にかかる時間は、同じ活動でも日によって変わります。
人数、その日の体調、前の時間に何があったか、説明がすっと伝わったかどうか。
見積もりが外れたのは、準備が悪かったからとは限りません。
早く終わるときによくあること
- 思っていたより早く分かった ルールがシンプルで、すぐ動けた
- 順番がすぐ回った 人数が少ない日だった
- 盛り上がって一気に進んだ
- 途中で気持ちが離れた 難しかった、待つ時間が長かった
どれに近かったかで、次の手が変わります。
原因を1つに決めるための表ではありません。
上の3つは、子どもたちが取りかかれた結果です。
4つ目に近いなら、次に出すときは条件を減らす側を考える材料になります。
減らし方は活動に入れない子がいるときの記事にまとめています。
まず「区切り」を伝え直す
慌てて次の遊びを出すと、子どもから見ると予定が急に変わったことになります。
先に、残りの時間で何をするのかを短く伝えます。
国の放課後等デイサービスガイドラインには、1日の時間の組み方について、こう書かれています。
ガイドラインの記述
「タイムテーブルは、こどもの生活リズムを大切にし、日常生活動作の習得や、こどもが見通しを持って自発的に活動できるよう促されることが期待される」
発達障害のあるこどもに対しては「予定等の見通しをわかりやすくすること」が必要とされています。
予定が空いた時間は、見通しが持ちにくくなる時間でもあります。
だから、埋める前に伝えます。
そのまま使える伝え方の例
「おしまい。次は、お迎えまで『もう1回』をやります」
「時計の長い針が6になるまで、〇〇をします」
「3回やったら、おかたづけです」
口で言うだけでなく、ホワイトボードに書く、時計を指さすなど、目で見える形にすると伝わりやすい子もいます。
いちばん準備がいらないのは、同じ活動をもう一度
余った時間に、いちばん準備がいらないのは、いまやった活動をもう一度やることです。
1回目でルールを覚えたばかりなので、2回目のほうが入りやすい子もいます。
そのままでもいいし、条件をひとつだけ変えても構いません。
ルールを1つ足す・立場を入れ替える・回数に挑戦する、の3つは室内遊びアイデア15に書いています。
条件の変え方8つは活動がネタ切れのときの記事にまとめています。

同じのをもう1回って、手抜きに見えないですか。

2回目にしか見えないこともあるんだ。
1回目は説明を聞くので精一杯だった子が、2回目で自分から動く、とかね。
それを見られたなら、余った時間はちゃんと使えてる。
余ったとき用の「引き出し」を3つ決めておく
その場で探すから、焦ります。
余ったとき用のものを、先に3つだけ決めておきます。
引き出しは、種類で3つ
- ① 静かに過ごすもの 座ったまま、声を出さずにできる。例:静かな時間、間違いさがし
- ② 少し体を動かすもの 場所をあまり取らない。例:まねっこ体操、スローモーション
- ③ 選べるもの 2つか3つから子どもが選ぶ。例:本・パズル・お絵かき
中身は、事業所にある物とその日の子どもに合わせてください。
3つを毎回同じにしておくと、子どもにとっても見通しを持ちやすくなることがあります。
引き出しに入れるものの目安
① 準備がいらない
② 場所を移動しない
③ 途中でやめても困らない
④ 1人でも、数人でもできる
療育の活動アイデア32では、時間を「5分以内」にしぼると12個が残ります。
準備が「なし」のものを選んでおくと、その場ですぐに出せます。
余った時間を「選べる時間」にする
余った時間を、全部職員が埋める必要はありません。
ガイドラインには、こういう記述もあります。
ガイドラインの記述
「こどもが望む遊びや体験、余暇等を自分で選択しながら取り組むことができるよう、多彩な活動プログラムを用意する。その際には、個別性に配慮された環境やこどもがリラックスできる環境の中で行うことができるよう工夫することが重要である」
「こどもが様々なことを考えながら自己選択・自己決定する時間を意識的につくり、こどもが大人に見守られているという安心感の中で体験できる機会を意図的に提供し、丁寧に見守る支援を行うこと」
自分で選ぶ時間は、空白の時間ではありません。
何を選ぶか、選んだあとどう過ごすかを見る時間になります。
選べる時間にするときの形
- 選択肢は2〜3つに絞る 「好きなことしていいよ」だと、決めるところで止まる子もいます。
- 目で見て選べるようにする 物を並べる、カードを指さす。
- 「休む」「見ている」も選択肢に入れる
- 終わりの合図を先に決める
選べる時間は、放っておく時間ではありません。職員は見守る側に回ります。

自由時間にすると、なんだかサボってるみたいで気が引けてました。

ガイドラインにも「選択しながら」「丁寧に見守る」って書いてあるよ。
選ぶ時間を作るのも、支援の形のひとつなんだ。
何を選んだかは、そのまま記録に書ける。
次の見積もりを、少しだけ直す
毎回のように余るなら、活動を長くするより、時間の組み方を変えます。
時間の組み方3つ
- ① 長さではなく「区切り」で組む 「10分の工作」ではなく「作る → 見せ合う → 片づける」。区切りごとに伸ばしたり縮めたりできます。
- ② 予備の枠を先に入れておく 活動のあとに「引き出しの時間」を5分置いておく。余らなければ、そのまま片づけに回します。
- ③ 何分で終わったかを残す 「5分で終了」の1行でも、次に同じ活動を出すときの目安になります。
活動の予定は、事業所の活動プログラムに沿って組まれています。
大きく組み替えたいときは、児発管(児童発達支援管理責任者。支援の計画をつくる責任者)や管理者に相談してください。
やらないほうがいいこと3つ
焦ったときほど気をつけたいこと
- ① 慌てて新しい活動を始める 説明が長くなり、見通しがかえって崩れやすくなります。
- ② 職員だけで盛り上げようとする 声が大きくなるほど、落ち着かなくなる子もいます。
- ③ 「時間が余っちゃった」と困った顔をする 職員の焦りは、子どもに伝わることがあります。
焦ったときほど、「区切りを伝える」に戻ってください。
記録に、何を書くか
「時間が余ったので自由遊びをした」だけでは、次の人が何もできません。
記録の書き方の例
⭕「紙コップ積みは5分で全員が終了した。職員が『もう1回、今度は3段まで』と伝えた。6人中5人が続けて取り組み、1人は本のコーナーへ移動した。」
⭕「活動後の10分は、本・パズル・お絵かきの3つから選ぶ時間とした。本人はカードを指さしてパズルを選び、終了の合図まで続けた。」
❌「時間が余ったので自由遊びをした」 何を選んだか、どう過ごしたかが残りません。
早く終わったことも、書いていい事実です。
次に同じ活動を出す職員の目安になります。
事実で書く型は支援記録の例文100選にまとめています。
よくある質問
Q. 余った時間に、宿題や個別の課題をやってもいいですか。
A. 事業所の方針と、その子の計画によります。空いた時間がいつも課題になると、活動を早く終えたくなくなる子もいます。先に児発管に確認してください。
Q. 引き出しの遊びも、すぐに終わってしまいます。
A. 3つを順番に回して構いません。どれも早く終わる日は、その日の子どもたちが疲れているのかもしれません。静かに過ごすものを長めに取ってください。
Q. 先輩に「時間配分ができていない」と言われました。
A. 何分で終わったか、どこで区切ったかを記録に残しておくと、次の配分を一緒に考える材料になります。1人で直すより、見積もりを相談するほうが早く決まります。
Q. 余った時間に、子ども同士のトラブルが起きます。
A. 空いた時間に起きやすいなら、予備の枠に座って過ごすものを入れておく方法があります。起きた場面は記録に残して、職員間で共有してください。
まとめ
この記事のポイント
- ① 早く終わるのは失敗ではありません。かかる時間は、その日の様子で変わります。
- ② まず区切りを伝え直す。ガイドラインでも、見通しを持って活動できることが大切にされています。
- ③ 準備がいらないのは同じ活動をもう一度。条件をひとつ変えても構いません。
- ④ 余ったとき用の引き出しを3つ。静かに過ごす/少し体を動かす/選べる。
- ⑤ 余った時間を子どもが選ぶ時間にしてもいい。職員は見守る側に回ります。
- ⑥ 毎回余るなら、長さでなく区切りで組む。何分で終わったかを残す。

5分で終わった活動を、最後まで見届けた。
時計を見て焦ったのは、子どもの時間をむだにしたくなかったからだ。
区切りを伝えて、もう1回。それで十分。
今日のあなたに、はなまる。
出典
こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)」(PDF)
※記事中の伝え方と記録の例は、説明のための一般的な例です。実際の対応は、個別支援計画と勤務先の方針に合わせてください。
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