放デイで有給が取れない…「人が足りない」と言われたときの考え方と伝え方【職員向け】
有給を使いたいと申し出たら、「人手が足りないから困る」と言われた。
それ以上は言えなくなって、結局その日は出勤した——。
放デイや児童発達支援で働いていると、有給の話はどうしても切り出しにくくなります。
実際、「放デイ 有給 取れない」で検索すると、出てくるのは事業所を運営する側に向けた記事ばかりです。
人員配置基準(子どもの人数に対して、職員を何人置くかの決まり)をどう満たすか、有給を取られたときにどう回すか。中には「予告なく有給を取らせないことが大切」と書かれたページもあります。
つまり、有給が取れずに困って調べた職員が、自分を止める側の情報を読むことになる。
この記事は、そこを埋めるために書きました。職員の側から見た、有給の話です。
先に、この記事の結論
年次有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。事業所が与えるご褒美ではありません。
「人が足りない」は、その日を動かす理由にはなっても、取らせない理由にはなりません。
取り方にはコツがあります。早めに・書面で・代案つきで出すと通りやすくなります。

有給を使いたいと言ったら、「人手がないから困るよ」と言われて…。
休まないほうがいいでしょうか。

結論から言うと、休んでいいよ。
有給は労働基準法で決まっている権利で、事業所の温情でもらうものじゃないんだ。
ただ、現場には現場の事情もある。だから今日は「権利」と「通し方」の両方を渡すね。
なぜ放デイは有給を取りにくいのか
最初に、構造の話をします。あなたの職場が特別に厳しいわけではないかもしれません。
放デイと児発には、営業時間を通じて一定の人数を配置しなければならないという基準があります。
そして多くの事業所は、そのぎりぎりの人数で回しています。
だから、1人が休むと基準を割ってしまう。管理者が渋い顔をするのは、そういう事情があるからです。
有給が取りにくくなる3つの事情
- ①最低限の人数で運営しているため、1人抜けると基準を割る
- ②加算(決められた条件を満たすと、事業所に上乗せで入るお金)の要件に人の配置が絡む場合があり、休みが収入に影響することがある
- ③代わりに入れる人が限られている(誰でもできる仕事ではない)
これは事実です。ただし——ここからが大事なところ。
その体制を組んでいるのは経営側であって、職員ではありません。
ぎりぎりの人数で回すと決めたのは事業所の判断です。そのしわ寄せとして職員の権利が消えるのは、順番が逆です。
余裕をもって人を配置している事業所も、実際にあります。「放デイだから仕方ない」ではなく、「この事業所の体制の問題」として切り分けてください。
「人が足りないから無理」は正しいのか
では、断られたら諦めるしかないのか。ここを正確に押さえておきましょう。
年次有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。
要件(勤続期間と出勤率)を満たせば、正社員でもパートでも付与されます。パートの場合は勤務日数に応じた日数になります。
そして、原則として労働者が指定した日に取得できるとされています。
ただし、使用者には「時季変更権」というものがあります。
これは、その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合に、別の日にずらしてもらうことができる、という仕組みです。
ここが誤解されやすいところ
- 時季変更権は「日をずらす」権利であって、「取らせない」権利ではない
- 「忙しいから」という理由だけで、いつまでも先送りにできるものではない
- そもそも代わりの人を手配する努力をしたかどうかも、判断の材料になるとされています
つまり、「人が足りないから今日は無理」はあり得ても、「だから有給は使えない」は成り立ちません。
断られたときに聞くべきは「では、いつなら大丈夫ですか」です。
この一言で、話が「取れるか取れないか」から「いつ取るか」に変わります。
角も立ちません。相手の事情を認めたうえで、こちらの権利も手放していないからです。
なお、制度の細かい要件や自分のケースがどうなるかは、労働基準監督署で確認するのが確実です。相談は無料でできます。

もう1つ知っておいてほしいことがある。
いまは年10日以上の有給がある人に、年5日は取らせることが使用者側の義務になっているんだ。
つまり「取らせない」は、事業所にとってもリスクなんだよ。
これは責める材料じゃなくて、相談しやすくするための知識として持っておいて。
通りやすい出し方【4つのコツ】
権利があっても、現場では言い方で結果が変わります。角を立てずに通すコツを4つ。
有給が通りやすくなる4つのコツ
- ①早めに出す(シフトが組まれる前。月末〜月初が狙い目)
- ②口頭だけで終わらせず、申請書や書面に残す
- ③代案を添える(「この日が難しければ、翌週の◯日でも」)
- ④理由は詳しく言わなくてよい(「私用のため」で足りる)
①がいちばん効きます。
シフトが組まれたあとに申し出ると、実際に現場が回らなくなるため断られやすい。逆に、組む前なら最初から人員を考えて組んでもらえます。
②は、あとで「聞いていない」にならないための備えです。
口頭で伝えて流された経験があるなら、次からは申請書を出すか、伝えた日をメモに残しておいてください。
③の代案は、心理的にとても効きます。
「この日に絶対休みます」より「この日が難しければ翌週でも」のほうが、相手も動きやすい。取れる確率が上がります。
④について。有給の理由を細かく説明する義務はありません。
「私用のため」で十分です。ただ、通りやすさを優先するなら「通院のため」など、動かしにくい事情を添えるのも一つの方法です。
それでも取れないときは
早めに出した。書面にも残した。代案も添えた。それでも何ヶ月も取れない——。
そこまで来たら、職場の中だけで解決しようとしなくて大丈夫です。
外に相談できる場所
- 労働基準監督署(有給の取り扱いについて相談できます。無料)
- 労働局の総合労働相談コーナー(職場のトラブル全般。予約不要・無料)
相談したからといって、すぐに会社へ通報が行くわけではありません。まず「自分のケースはどうなのか」を聞くだけでも構いません。
そのときのために、記録を残しておいてください。
残しておきたい記録
- 申請した日付と、伝えた相手
- 断られた場合、その理由として言われたこと
- 自分の有給の残日数(給与明細に記載されていることが多い)
日付と1〜2行のメモで十分です。記憶は薄れますが、記録は薄れません。
これは職場と争うための準備ではありません。相談したときに、状況を正確に説明できるようにしておくためです。
ミニ相談室:有給のモヤモヤ

パートですが、有給がついていません。もらえないのでしょうか。

パートでも有給は付きます。勤務日数に応じた日数がね。
「うちはパートに有給はない」と言われたら、それは制度の理解が間違っている可能性が高い。
まずは給与明細か雇用契約書(入るときに交わした、働く条件が書かれた書類)で残日数を確認して、それでも不明なら労基署に聞いてみて。無料だよ。

台風で施設が閉まった日、有給を使うことになると言われました。

それは慎重に確認したほうがいい。
事業所の都合で休みになった日を、本人の有給で処理するのは基本的におかしいんだ。
まず「これは休業扱いですか、有給扱いですか」と聞いてみて。
納得できない場合は、労基署に相談していい案件だよ。

退職前に有給を消化したいのですが、言い出しにくくて…。

退職前の消化は、辞めると伝えるときにセットで相談するのがコツだよ。
「最終出勤を◯日にして、そのあと有給を消化させていただきたいです」——この形で先に出す。
後出しになるほど調整が難しくなるからね。

有給を申請したら、露骨に嫌な顔をされました。

その反応は、きみの申請が間違っているからじゃない。
ぎりぎりの人数で回している職場の余裕のなさが出ているだけなんだ。
気まずさは残るけど、権利を使ったことを後ろめたく思う必要はないよ。
ただ、その反応が毎回続くなら、それは職場の体質として見ておいたほうがいい。
有給が取れない職場は、他のことも危ない
最後に、少し引いた話をします。
有給が取れない職場には、たいてい他の問題も同時に起きています。
同時に起きやすいこと
- 休憩が取れない(子どもと一緒の昼食が休憩扱いになっている)
- 記録を持ち帰るのが常態化している
- 人が辞めても補充されない
- 残業代の扱いがあいまい
特に1つ目は現場でよく見かけます。子どもを見ながらの食事は、労働からの解放とは言えません。
フォークを使えない子を介助しながら、こぼしたものを片づけながらの昼食が「休憩」として扱われている——こうした声は、現場から実際に上がっています。
これらが揃っているなら、有給1日の話ではなく、働き方の全体が削られている状態です。
いまの職場がどの段階にあるかは、職員がすぐ辞める職場の特徴7つで採点できます。
① 業界内で、職場だけ変える。
子どもと関わる仕事は続けたい人の道です。有給の取得実績は、面接や見学で確認できます。
▶ ハローワークインターネットサービス(公的機関・無料)
※在職中でも使えます。地域の求人を自分の目で見られます。
② 業界の外を見てみる。
「休みが取れる働き方に変えたい」と感じているなら、外の条件を知ってから決める道もあります。
福祉の外も、見てみたい人へ
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※20代・正社員未経験の方向けのサービスです。相談=転職ではありません。比べる材料を増やすつもりで大丈夫です。
求人を見るときは、「有給消化率」や「取得実績」が書かれているかを確認してください。
書いていない場合は、面接で聞いて構いません。答えを渋る職場は、その時点で情報になります。
逆に、数字ですぐ答えられる事業所は、日ごろから記録して管理しているということ。それ自体が信頼の材料になります。
よくある質問
Q. 有給の理由を細かく聞かれます。答える義務はありますか。
原則として、理由を細かく説明する義務はありません。「私用のため」で足ります。
ただし、時季変更の相談をされる場合もあるので、動かせない予定なら「通院のため」などと伝えるほうがスムーズです。
Q. 有給が何日あるか分かりません。
給与明細に記載されていることが多いです。見当たらない場合は、管理者や事務担当に確認して構いません。
これは当然の質問で、聞くこと自体に問題はありません。
Q. 「うちは有給がない」と言われました。
要件を満たす労働者に有給を付与することは、法律で定められています。
事業所の方針で無くせるものではないので、労働基準監督署に相談してください。相談は無料です。
Q. パートですが、有給がつきません。
A. 有給はパートにもつきます。日数は週の所定労働日数などに応じて決まります(比例付与・労働基準法第39条第3項)。6か月続けて勤務し、その間の出勤率が8割以上であることが条件です。まず雇用契約書で、自分の週の所定労働日数と所定労働時間を確認します。
この記事のまとめ
①有給は労働基準法で定められた権利。事業所が与えるご褒美ではない。
②「人が足りない」は日をずらす理由にはなるが、取らせない理由にはならない。
③断られたら「では、いつなら大丈夫ですか」と聞く。話が前に進む。
④通し方のコツは4つ——早めに・書面で・代案つき・理由は簡潔に。
⑤何ヶ月も取れないなら、労働基準監督署に相談していい。記録は残しておく。

今日のあなたに、はなまる
休みを取ることに罪悪感を持つのは、現場を大事に思っているからです。
でも、休んで回復したあなたのほうが、子どもたちにとっても良い先生です。
今日もおつかれさまでした。
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